おたふくにならないために親が出来る唯一のこと

第3回 おたふく風邪の予防、症状、対処法
子どものおたふく風邪はもう済んだだろうか? 昨年、久しぶりにおたふく風邪が流行したというニュースがあったが、今年はおたふく風邪から難聴になった子どもの人数も日本耳鼻咽喉科学会が調査して発表した。難聴になると、耳の聴力は二度と戻らない。これはかからないに越したことはない。では、おたふく風邪の予防接種はどうなっているんだろうか? 地元で大人気、こども元気!内科クリニック院長、手塚勝也先生に聞いた。

● おたふく風邪の予防接種の受け方

おたふく風邪の予防接種は今どうなっているんでしょうか?

「おたふく風邪のワクチンは定期予防接種に入っていないために、一部の自治体で助成があるものの、6000円前後の有料になります。できれば一生のうちにワクチンを2回接種していただきたいと思います。1回だけでは長い年月のうちに免疫が落ちてしまうため、体に『思い出してよ』という感じで、ブースターをかけるために2回目を受けます」(手塚氏 以下同)

東京の一部の地域では、助成が出ているようだが、ぜひ受けたいところだ。どういうスケジュールで受けるのがいいだろうか?

「おたふく風邪の予防接種は、1歳から出来るのでなるべく早めに1回目を受けてください。2回目は小学校入学前に。うちでは、MRワクチンの追加時に勧めています。もしインフルエンザの予防接種と一緒に受けたかったら、インフルエンザは1週空けるのに対して、おたふく風邪は4週空けなくてはいけません。インフルエンザと一緒に2回受けたいと思ったら、1回目を打った1カ月後とかに打つのがいいかもしれません」

おたふく風邪親

● 2回受けるべきか?

おたふくの予防接種ワクチンを1回受けただけで安心している人も多いかと思いますが、やはり2回受けないといけないものなんだろうか?

「今1回しかやっていない子どもは、2回目をどんな時期でもいいからやってください。もう大学生になっていても受けてください。2回予防接種をやったとしても、おたふく風邪にならないというわけではないのですが、合併症に苦しむことはありません」

中高生はもちろん、大学生になった子どもでも予防接種は2回受けておこう。では、おたふく風邪をやった覚えがない大人も受けた方がいいんでしょうか?

「もう大人という年齢の方はだいたい免疫を持っていますので、やらなくても大丈夫です。周りにおたふく風邪の人がいて、気がつかないで軽くかかって終わっているはずです。それから僕らの時は“MMRワクチン“という予防接種の中におたふく風邪が入っていました。今はおたふくの“ムンプスワクチン“に副作用が出たとして外れて、“MRワクチン“にとして継続されています。世界的にはおたふく風邪込みの“MMRワクチン“が主流ですし、小児学科的にも早く無料化になって欲しいワクチンですが、自治体の財政的な問題もあり、まだ予定が立てられていません」

現在、おたふく風邪のワクチンは有料なのに対して、水ぼうそうは全国的に無料化された。早くおたふく風邪も無料化して欲しいが、手塚先生によると「たとえ有料でも絶対受けておいた方がいい。安いと思って受けてください!」と強く主張していた。おたふくは腫れる前からうつる可能性があるので、いつうつされるか分からない。合併症も誰がなるか分からない。季節を問わずかかる可能性があるので、早めにワクチンを打って安心しておこう。
(取材・文/谷亜ヒロコ)

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お話をうかがった人

手塚勝也
手塚勝也
こども元気!内科クリニック
1969生まれ、北里大学医学部卒。北里大学病院、聖マリアンナ医科大学病院などに勤務の後、2001年神奈川県川崎市でこども元気!内科クリニック開院。日本小児科学会会員、小児科専門医取得。地元の園医 校医などを多数兼任。
1969生まれ、北里大学医学部卒。北里大学病院、聖マリアンナ医科大学病院などに勤務の後、2001年神奈川県川崎市でこども元気!内科クリニック開院。日本小児科学会会員、小児科専門医取得。地元の園医 校医などを多数兼任。