「妻が憎くてたまらない!」と感じる夫 その原因とは?

第2回 夫が思う妻への本音
どんなに仲が良い夫婦でも、所詮は他人同士。口には出さないまでも、嫌だなと思っていることはひとつやふたつあって当然です。しかし、相手を「心底憎い!」と感じてしまうと修復はなかなか困難。離婚まで一直線になりかねません。

そこで、「妻が憎くてたまりません」という夫からの相談にも多数乗ってきたという、夫婦問題専門家の岡野あつこさんに、夫の本音を聞いてみました。

●痛いところをつかれると憎しみに火がつく

個人差があるので一括りにはできませんが、一般的に男性は総じてプライドが高いと言われます。そのため、本当のことであっても、自分の評価を下げるようなことを指摘されると、相手に対して憎しみが募るようです。

「妻から自分のマイナス面をつかれたり、子どもの前で悪口を言われたりすると憎くなってきますよね。妻からすると、改善してほしいという思いを込めてのことだとしても、プライドが高い男性は素直に反省することはなく、妻を嫌悪するだけなので逆効果と言えるでしょう」(岡野さん、以下同)

特に夫に近い人、たとえば上司や同僚、友人の前では要注意とのこと。「人前で馬鹿にされた」と恨みが溜まっていくようです。

「たとえば仕事や容姿など、本人がコンプレックスに思っている“痛いところ”を突かれちゃうと、感情をえぐられるものです。『気にしているけど、自分の意思ではどうすることもできないこと』を言葉にされると、よほどメンタルが強い人でない限り、普通は苦痛に感じてしまいます」

ちなみに、岡野さんがタブーとして挙げるのは、「給料」「容姿」「能力」「学歴」など。妻としては、いずれも気にせずにはいられないことかもしれません。しかし、露骨に指摘したところで、向上心を促すどころか憎まれては本末転倒です。

「たとえば、妻から『学歴がないから出世しないんじゃないの? 今からでも遅くないから大学に入りなおせば?』とか、『資格でも取って給料が高い仕事に転職してよ』と言われてしんどい、と相談にくる男性は少なくありません。こうした発言から読みとれるのは、妻が自分自身のステータスや生活を向上させたいという気持ち。もはや夫のためではなく、自分や子どものことしか考えていないことが透けて見えてしまいます。夫にしてみれば、『自分はこの家で大切に想われていない』と感じてしまい、心が離れていくものです」

岡野さんが相談を受けた夫の中には、妻から「子どものお受験の時に恥ずかしいから今からでも大学に入ってよ」と言われた人もいるとか。夫婦である以上、利害関係が生じるものですが、それ以前に人間関係が破たんしてしまっては元も子もありません。

夫婦のいじめ

●夫の親兄弟を非難することは禁物

また、夫婦関係の亀裂が決定的になるほどの憎しみに変わるのが、妻から自分の親兄弟を悪く言われた時だそう。

「人間誰しも同じですが、自分の親兄弟の悪口を言われると、自分を否定されたと感じてしまいます。たとえ、客観的に見てどんなに意地悪なお姑さん、お舅さんでも、本人にとっては唯一無二な存在。妻からすると、自分の気持ちを理解して欲しい一心だったとしても、夫の前で本人の親兄弟の悪口を言うのは厳禁です」

妻からしてみると、姑の側に立ち、自分の味方をしてくれない夫に苛立ちを感じるかもしれません。しかし、血のつながった家族を悪く言われて、いい気分がしないのは妻にとっても同じこと。

ちなみに、悪口までは言わないにしても、自分の親兄弟がないがしろにされるのも、同様に妻への恨みが募る行為だと言います。

「妻が自分の家族ばかりひいきして、夫の家族をおもんばからないケースは多々あります。たとえば、旅行のお土産に格差をつけたり、実家にはよく顔を出すのに夫の家族のところには行きたがらなかったりするなどが分かりやすい例かもしれません。親兄弟のことを大事に想っている夫であれば、なおさら妻に対して不快感を抱くはずです」

たとえ夫が憎しみの感情をあらわにしなくても、心の中でずっと怒りを溜めて、ある時爆発させる……なんて可能性もゼロではないかもしれません。結婚生活を永らえたいと思うのであれば、発言や態度を上手にコントロールする必要がありそうですね。
(取材・文=末吉陽子/やじろべえ)