「この服じゃなきゃ嫌!」のイヤイヤ期、ママはどう対応するべき?

第2回 子どもが自分の意思で服を選ぶメリット
赤ちゃんの頃は親が子どもにどんな服を着せるかを決めていた。でも成長して自我を持ち始めると、ママが選ぶ服に「これ嫌だ!」「こっちがいい!」と反発するケースも出てくる。

例えば、アンパンマンなどのキャラクターが好きになると「アンパンマンじゃなきゃ嫌だ!」と、ほかの服を着てくれないことも。そんな時、ママはどう対応したらいいのだろうか?

●親がある程度選択肢を与え、子どもに選ばせる方法もアリ

「アンパンマンは子どもにとって“ヒーローに対する憧れ”を表す象徴的な作品です。それにこだわるのは何かしら意味があるのでなるべく大切にしてほしいし、それを大事に思っている世界観を否定する必要はないと思います」

こう語るのは、玉川大学で乳幼児教育学を研究する大豆生田啓友(おおまめうだ ひろとも)教授。とはいえオシャレにこだわりが強いママだと、『キャラクターは着てほしくない』と思うことは少なくないだろう。そういった大人目線のオシャレを子どもに求めるのは、やはり“押しつけ”となってしまうのだろうか?

「そういう場合は『アンパンマンのお店ではこっちを買うけど、そうじゃないお店ではこっちを選ぼうね』と、両刀使いで誘導するのもひとつの手だと思います。あとは親が選んだ2つを見せて『これとこれ、どっちがいいと思う』と選ばせるとか。親がある程度は選択肢を提示してもいいのですが、大切なのは最終的な決定権を子どもに与えること。服はある意味、自分そのものです。子ども自身が決めることを大事にすることは、『自尊心』を大事にすることだとも考えています」(大豆田教授 以下同)

「この服じゃなきゃ嫌!」のイヤイヤ期、ママはどう対応するべき?

●薄着が心配、そんな時は上着を保育園に預ければいい

しかしファッションではなく、子どもが着たい服が薄着で「これじゃ風邪をひくかも」とママが困るケースもある。しかしそんな心配でも「そういうケースはたいてい、子どもの感覚が正しいことが多い(笑)」と大豆生田教授は断言する。

「僕は幼稚園や保育園の現場をたくさんみていますが、親は子どもに厚着させる傾向があります。もちろん、心配ですよね。ただ、大人と子どもでは運動量がまるで違いますし、子どもは汗もすごくかきますから」

幼稚園や保育園に行くとき「上着着なさい」「やだ!」と親子でもめるケースもよくあるが、そういう場合は先生に「うちの子は着ないっていいますが、もし冷えた時はこれを着させてください」といって、上着を1枚置いていくといいそうだ。

●着る服は前日の夜に決めてしまえば、朝にもめない!

朝のバタバタした登園時、子どもが「これ着たい!」「これじゃヤダ!」と、着る服がなかなか決まらないことも親としては頭を悩ませることのひとつだ。

「確かに登園時はドタバタしますし、寝起きがいい子ばかりではありませんよね。ぐずぐずの子に服を決めさせても、たいていもめます。そうならないためには前日から着る服を準備したほうが、流れはいいと思いますよ。そうすると子ども自身も見通しが立つので、朝もスムーズです」

事前に準備をしておけば、時間的な余裕もあるしイライラすることもなさそう。親は真正面から子どもの「これじゃなきゃ嫌!」にぶつかるのではなく、ちょっとした工夫によって機転を利かせることができれば、イライラは回避できることを覚えておこう。
(取材・文:高山惠 編集:ノオト)

お話をお聞きした人

大豆生田 啓友
玉川大学大学院教育学研究科教授
青山学院大学大学院を卒業後、青山学院幼稚園教諭などを経て現職へ。大学では乳幼児教育学、保育学、子育て支援を研究しているほか、NHKEテレ『すくすく子育て』などのメディアでも活躍。最新の著書は『ちょっとした言葉かけで変わる 保護者支援の新ルール 10の原則 』(メイト)、『子育てを元気にすることば ‐ママ・パパ・保育者へ。』(エイデル研究所)など。
青山学院大学大学院を卒業後、青山学院幼稚園教諭などを経て現職へ。大学では乳幼児教育学、保育学、子育て支援を研究しているほか、NHKEテレ『すくすく子育て』などのメディアでも活躍。最新の著書は『ちょっとした言葉かけで変わる 保護者支援の新ルール 10の原則 』(メイト)、『子育てを元気にすることば ‐ママ・パパ・保育者へ。』(エイデル研究所)など。