【専門家アドバイス】本当に正しいダニ対策は?

第3回 どう対策したらいい? 梅雨時期に行いたいダニ対策
6~7月は、一年中で最もダニが増える時期だといわれている。アレルギーや小児ぜんそくなど子どもへの影響も気になるため、できれば早めに対策しておきたいが、どうすればダニを根本的に撃退できるのか。正しいダニ対策について、アース製薬の虫ケア用品ブランドマネージャー、渡辺優一さんに聞いた。

【専門家アドバイス】本当に正しいダニ対策は?

徹底的にダニ対策したいなら ポイントは“減らして予防”

ジメジメとして不快な梅雨時期だが、ダニにとっては居心地のいい環境なのだと渡辺さんはいう。

「ダニは温度が20度~30度、湿度が60%以上になると繁殖しやすくなり、この条件にぴったり合うのが梅雨時期です。その分、熱と乾燥には弱く、50度の環境では30分で死滅するといわれています」(渡辺さん 以下同)

ダニが増えにくくなる条件を知っておくと対策もしやすくなる。具体的には、どのように対策するのがいいのだろうか。

「ダニの死骸やフン、餌となる人のフケや垢を減らすためには、こまめに掃除機をかけるといいですよ。ほかにも、天気のいい日に窓を開けて風を通すなど、ダニが増えにくい環境はちょっとしたことで作れます」

これなら、日頃の掃除の範囲内でできる。効果が少ないといわれる布団の天日干しも、ダニが好む湿気を取るという意味では増殖の予防効果が期待できるのだとか。

ほかにも、布団乾燥機や除湿機の使用など、できる対策は意外と多い。一方で、渡辺さんはこう指摘する。

「掃除機や布団乾燥機などは対策としてはもちろんいいのですが、“ダニの数を減らして、増えにくくする”という意味では万全とはいえません」

徹底的にダニ対策をしたい人に使ってほしいのが、駆除剤だ。

「駆除剤のなかでも、ダニを増やさない効果のあるものをおすすめします。近頃はスプレータイプの製品も増えているので、手軽に使用できるメリットもあります。駆除した後は、掃除機で死骸やフンを吸い取ってください」

【専門家アドバイス】本当に正しいダニ対策は?

効率的にダニを撃退できる駆除剤だが、ぬいぐるみやベビー布団など、子どもが触れるものに薬剤を使用するのは抵抗がある人もいるだろう。そこで活用したいのが、ダニ対策グッズの使い分けだ。

「ダニ対策用品には、駆除用とダニよけがあります。ダニよけは薬剤ではなく、ダニが嫌がるハーブなどの植物由来の成分が配合されています。ダニを退治することはできませんが、使用した箇所にダニをよせつけない効果があるので、お子さんのぬいぐるみや枕などには適しています」

【専門家アドバイス】本当に正しいダニ対策は?

よけられるけど、ダニは退治できない。…となると、ダニよけを使用した場合、ダニはどこへ行くのだろう。

「たとえば、ぬいぐるみにダニよけスプレーをかけた場合、ダニはぬいぐるみからはいなくなりますが、ほかの快適な場所を探して移動します」

つまり、ダニよけを使っても家のなかの全体数は変わらないということ。状況の改善とは程遠いように感じられる。

「一部のダニをよけるよりも、環境を変えることが先決です。まずはしっかり駆除をして家のなかにいるダニの数を減らした上で、部分的にダニよけグッズを使用するといいですよ」

しまっていた夏物を着る前に! 衣替え時のダニ対策のポイント

5月は、冬物から夏物への衣替えのタイミングでもある。クローゼットや衣装ケースから出した衣類にも、ダニ対策は必要なのだろうか。

「当然ながら衣類にもダニはいるので、対策は必要です。洗剤でしっかり洗うとダニは落ちるので、洗えるものは着る前に一度洗濯するといいですね。寝具などのすぐに洗えないものの場合は、駆除剤やダニよけスプレーを吹きかけてからの使用をおすすめします」

防虫剤の活用も推奨すると渡辺さんは続ける。

「これまでの衣類用防虫剤はダニには効果がなかったのですが、最近はダニよけ効果がついている製品も売られています。衣類をしまうときと出して使う前の両方に使用すると、より効果的です」

小さくて目には見えないけど、ダニは家のなかに確実に存在する。しっかり退治するためには、「数を減らした上で予防する」このツーステップを押さえて対策しよう。
(取材・文:畑菜穂子 編集:ノオト)

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