どうして自転車保険の加入義務化が進んでいるの?

第1回 自転車保険、入ってますか? 加入が義務化される自治体も!
自転車保険の加入を義務付ける自治体が増えています。子どもの運転する自転車が死亡事故を起こし、数千万円の賠償金支払いが命じられたケースもあり、子を持つ親としては注目せざるを得ない話題ですよね。そこで、なぜ自転車保険の加入義務化が進んでいるのか、ファイナンシャルプランナーの加藤葉子さんにお話を伺いました。

「自転車保険」でなくてもいい? 義務化に対応する保険とは

自動車保険にくらべて、未だ耳に新しい感じもする自転車保険ですが、そもそもこれはどのようなものなのでしょうか?

「『自転車保険の義務化』という言葉に注目が集まっているものの、実は自治体が義務化してまで推奨しているのは、他人にケガをさせたり、物を壊したりなどで与えた損害を補償するための『個人賠償責任保険』に限られています。そして『自転車保険』は、この個人賠償責任保険と、自分のケガの治療費、死亡を補償してくれる『傷害保険』をセットにして自転車ユーザー向けに保険会社が販売しているものなのです。義務化に対応するために加入する場合であっても、必ずしも『自転車保険』と名のついたものでなくて構いません」

なるほど。一律で「自転車保険」とは言われていることには、わかりやすさ優先の側面があるようです。
※この記事では便宜上、義務化に関わる保険を「自転車保険」と書いています。

ちなみに個人賠償責任保険は自動車保険や火災保険などの特約になっていたり、クレジットカードに付帯していることもあるので(しかも適用は家族全員!)、忘れているだけで実は加入済みというケースも多いようです。あわてて加入する前に、現在の加入保険の状況を確認するべきでしょうね。

どうして自転車保険の加入義務化が進んでいるの?

自転車保険の義務化が進んでいる理由

では、その自転車保険の義務化が進んでいる理由は何でしょうか?

「小学生が起こしてしまった自転車事故で、9000万円を超える賠償金の支払いが命じられたというニュースが記憶に新しい方も多いでしょう。自治体が加入義務化に関心を高めている背景には、こうした自転車側が加害者となり、高額の賠償金が命じられる判例が増えていることがあります。お子様がこのような事故を起こしてしまうことは想像したくないかもしれませんが、この賠償責任は未成年といえども免れることができません。数千万円という高額な損害賠償額となった場合、加害者側に支払い能力がなければ、現実的にはどうにもならない面もありますので、被害者救済の面から『自転車保険』への関心はますます高まっていくのではないでしょうか」

なお現在、義務化されている府県は現在(平成30年4月1日時点)のところ
大阪府、滋賀県、兵庫県、鹿児島、京都府、埼玉県の1府、5県。
ほか名古屋市や、金沢市などのように県単位ではなく市レベルでの義務化となっている地域や、義務化の前段階にある地域もあります。

温度感に違いこそあれ、いずれ自転車保険の加入を推進していく流れは変わりません。自動車に乗るなら自動車保険に入っていないと非常識。自転車に乗るときも自転車保険に入っていないと非常識、そう言われる日も遠くないでしょう。(文・宇都宮雅之)