メディア個別 パパにも知って欲しい「産後うつ」①~定義や原因、産後うつの基礎知識~ | パパコミ | ママテナ

パパにも知って欲しい「産後うつ」①~定義や原因、産後うつの基礎知識~

第275回 パパコミ

「産後うつ」という言葉、聞いたことはあるけど、詳しくわからない、という人も結構いるんじゃないでしょうか?産後うつとは一体どういうものなのか?なってしまったらどうすればいいのか?など、パパコミでは、ぜひパパにも知って欲しい産後うつのことを特集していきます。お話を伺ったのは、「すべての家族に産後ケア」を目指して、産後ケア普及の活動をしているNPO法人マドレボニータの代表、吉岡マコさん。初回となる今回は、産後うつについての基礎知識を伺いました。

約80%が体験 誰にでも起こりうるもの

今回はマドレボニータが2016年に出産を経験した女性1000人以上を対象に行ったアンケート調査の結果を基にお話しを伺いました。

まず、産後うつとはどのようなものなのでしょうか?

吉岡「この調査では産後うつを産後2週間から1年程度の間に以下のような症状がでたものと定義しています。

精神的に不安定になる・自信がなくなる 行動するのがおっくうになる 判断能力が衰える 感情表現が少なくなる

もちろん症状の種類や強弱は人によって違いますが、アンケートではかなり多くの産後女性がこのような症状を感じた経験があるようです。

精神科などの医療機関にかかって、産後うつの診断を受けるケースは5%程度と少ないですが、私たちはそれと同じような症状がありながら受診をしていない状態を『産後うつ未満』としています。

アンケートの回答で『産後うつの一歩手前だった』と答えた人を含め、何らかの症状を感じた人は、80%を越えているのがわかります。
このように産後うつの症状は決して珍しいことではなく、誰にでも起こりうることなのです」

発症リスクは1年続く

では、産後いつまで産後うつに備えていればいいのでしょうか?

吉岡「リスクがもっとも高いのは産後2週間頃。出産直後は大仕事を成し遂げた達成感や赤ちゃんのかわいさを感じて、少しハイになっているような状態です。そこから、ふと我に返るタイミングが2週間後くらいです。

ホルモンバランスも整っていない中で、体へのダメージは想像以上、なのに、やることはいっぱいだし、赤ちゃんをちゃんと育てなければいけないというプレッシャーもあって、追い詰められていくような状況になってしまいがちなのです。特にそれが初めての出産だと、わからないことが多いのでよりキツいと感じると思います。産後うつになるのは圧倒的に初産の人が多いです。

また、産後3ヵ月くらいまで、産後の早い時期にうつになるリスクが高いと思われていますが、もっと後に発症するケースも珍しくありません。1年後くらいまではリスクの高い状況が続きます。出産から数ヶ月が経っても、もう大丈夫と気を抜くことはできないのです。

また、産後1ヵ月のタイミングは特に注意が必要です。

里帰り出産をはじめ、産後1ヵ月の産褥期については、出産前からサポートをしてもらう準備をしていることが多いと思います。
双方の実家からご両親や兄弟姉妹が来てくれたり、パートナーが育休を取ったり、つまり何人かで協力して子育てをしている環境です。

そして、1ヵ月を迎えると赤ちゃんにとって初めての検診があります。
ここで、医師などに診てもらって、問題なく成長している、育てられていると言ってもらえると、ホッとします。今まで手探りでやってきたことが間違いなかったと初めて家族以外に、しかも先生に認められる瞬間。母親になったばかりの身としては本当にうれしいですよね。

そして、ホッとするのは母だけではありません。それまでサポートをしてきた実家のご両親や兄弟姉妹、もちろん父となったばかりの男性だって、ホッとすることでしょう。ですが、そこに落とし穴があります。
ホッとしたことでサポートの手を緩めてしまうと今まで何人かで協力してきた子育てを母親一人が担うこととなってしまうのです。

突然、負担が大きくなることで追い詰められてしまう産後女性は少なくありません。
検診で問題ないと言われ、ホッとすることも悪い事ではないですが、子育てはこれからまだまだ続いていくもの。
支える人たちはどはそこで気を緩めずに少なくとも3ヵ月くらいまでは、いつ産後うつになってもおかしくないくらいの心構えで産婦の変化を見逃さないようにしてください」

SNSの「おめでとう」も一因に!?引き金になる孤独感

誰にでも起こりうることで、しかも長く続くこと。そうなると気になるのは、なぜなってしまうのか?吉岡さんに原因について聞きました。

吉岡「主な原因は、産後の体のダメージというフィジカルの部分と、孤独感やプレッシャーといったメンタルの部分の2つがあります。
ただしそれは、それぞれ別々の問題ではなくて、リンクしています。

まず、体のダメージについて。
産後の体は、本来は3週間ほど入院していてもおかしくないほどのダメージを負った状態です。
日常生活にも支障をきたすほど。だからこそ一刻も早く回復したいところですが、授乳や夜泣きがあるので充分に眠ることができません。充分に休める環境が整ってないとなかなか体力が戻らないのです。

そして、この寝不足な状態に加え、子育てのプレッシャーがメンタルにもよくない影響を与えます。
とてもイライラしやすい状況となり、周囲に当たってしまうことも。一方で、周囲に当たっている自分への自己嫌悪にも苦しみます。
『いい母親にならなくてはいけない』『世の中の母親はみんなやっていること』そういった考えに追い詰められてしまう人も多いのです。

また、より精神的に辛くなる原因となるのが、孤独感です。

赤ちゃんがいて外出できないという物理的な閉塞感。
それに伴って友人や同僚に会えなかったり、買い物を通してしか社会とつながれない、ということに気づいて、社会から疎外されていると感じてしまいます。そういう中でSNSでも孤立感を感じるケースもあるようです。

SNSで出産したことを報告すると、今までにないくらいのたくさんのいいね!がついたり、祝福コメントが寄せられます。しかし、その後はメッセージもパタッとなくなってしまう。もちろん周囲の人たちは、今は大変だろうからと気遣っているだけなのですが、そのいちばん大変な時期に、誰ともつながれない孤独感、そして、祝福の空気感とこの孤独感のギャップに心を痛めてしまうのです。

コミュニケーションが減ることで、辛さや悩みを吐き出せない辛さ。
また、周囲は子どもが産まれて幸せだろうと思っている時に、辛いとか苦しいと言ってはいけないのではないかという気持ちにもなります。

体も心もボロボロの状況。なのに、出口が見つからない。

そんな追い詰められた状況は、もちろん自分の気持ちや、ちょっとした行動で抜け出すことは難しいので、周囲の支えが必要です。
もちろん、一番近くに居るパートナーがその役割を果たすことが望ましいのですが、仕事が忙しく時間的な余裕がなかったり、体が回復していない状態で新生児の子育てを一人で担う大変さを想像できないなどいろいろな事情でうまくいかないことも少なくはないようです」

状況は理解していても、産後の不安定な体と心では上手に対応することが難しい産後うつ。
予防するためにできることはないのでしょうか?また、なってしまった場合にどうすればいいのでしょうか?
次回は産後うつの対応方法についてお伝えします。

▼取材協力・資料提供

NPO法人マドレボニータ

1998年に代表、吉岡が出産後の体調の著しい変化を体験したことをきっかけに、産後女性を対象とした心身の健康管理の取り組みや、産後の健康に対する知識体系がないことに問題意識を感じ2000年同年9月に設立。
広く一般市民に対して、産後ケアの重要性を啓蒙するとともに、産前・産後の女性に向けた、産前・産後のボディケア&フィットネスプログラムを開発・研究・普及し、プログラム提供者の養成を行うことで、母となった女性が子育ての導入期を健やかに過ごし、子どもの健全な育成、虐待の予防、夫婦不和の予防、地域の活性化、女性の再チャレンジとエンパワメント、少子化への歯止めに寄与することを目的として活動中。
※マドレボニータとはスペイン語で「美しい母」という意味。

https://www.madrebonita.com/

配信元

papacomi
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「パパコミ」は、0歳~6歳の子どもをもつパパや、そんなパパたちを応援するママを対象にした情報サイトです。未来を担う子どもと、子育て中のパパ・ママを「元気」にできるよう、育児に役立つ情報を日々発信しています。
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