新型コロナよりも感染しやすい病気も。予防接種の大切さ

第29回 今よみたい!ママテナピックアップ

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、病院などの医療機関に行くことが心配だという方もたくさんいると思います。しかし、小さい子どもたちにとって脅威になりかねない病気はいろいろあります。今回は『祖父母手帳』や『小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK』の著者で小児科専門医の森戸やすみさんに、様々な病気から身を守るために必要な予防接種について教えていただきました。

予防接種を受けない人が増えている現状

新型コロナウイルスの感染拡大で、私たちの生活環境はいろいろと変わりました。目に見えず、いまだわからないことが多いウイルスの対策は本当に難しく、不安ばかりが募ると思います。特に乳幼児や未就学児を持つ親としては、我が子が感染してしまうのではないかと不安な日々を送っていると思います。

その影響を受けているのが、予防接種です。主に乳幼児は、たくさんの予防接種の通知が届き、対応するのも大変ですが、我が子の命を守るためにはとても大切なことです。ところが2020年6月に行われた日本小児科学会の分析によると、3歳児以降の定期の予防接種の接種率が低下傾向であることがわかりました。

特に接種率の低下が大きかったのは3歳児以降のようです。3歳児を対象とする日本脳炎の1回目の接種は35%減、小学校入学前の1年間に接種するはしか(麻疹)と風疹混合ワクチン(MR)の2回目は47%減と、年齢が上がるにつれて接種率は下がっています。(川崎市のデータ)

予防接種を受けていないからといって必ずかかってしまうわけではありませんが、これほどまでに受けていない子どもが多いというのはとても心配なことです。

はしかは1人から15人以上に広がる可能性が!

中でも心配なのがはしか(麻疹)です。新型コロナやインフルエンザは主に飛沫が感染経路ですが、はしかは空気感染します。つまり、かかっている人と同じエレベーターに乗ったり、同じ公共交通機関を利用するだけで感染する可能性があるのです。また、驚くべきはその感染力。過去の研究結果をみると、1人から15人以上に感染する可能性があるということです。新型コロナが1人から1人、ないしは2人程度の感染の可能性であることを考えると、いかに感染が広がりやすいかわかりますよね。

全世代の死亡率を見ると、はしかは新型コロナよりも低い数字が出ています。しかし、これはあくまで全世代のもの。新型コロナは子どもにかかるケースはそれほど多くないですし、重症になるケースも少ないです。一方ではしかの場合は合併症が起こりやすく重症化しやすい傾向があるので、さらに心配なのです。