メディア個別 川上未映子さんの「こんなときには、これを読むのよ!」 Vol.7 | 気になる“あの人”のインタビュー | ママの知りたいが集まるアンテナ「ママテナ」

川上未映子さんの「こんなときには、これを読むのよ!」 Vol.7

第12回 気になる“あの人”のインタビュー
芥川賞や中原中也賞など数々の賞を受賞した川上未映子さんが、独特な世界観のテーマで「こんなときに読みたい本」を推薦します!どんなテーマで、どんな本が登場するのか、新たな本との出会いをお楽しみください!

≪今回のおススメPOINT!≫

眠りに落ちる瞬間に、ふと甦ってくるあの感覚。それが何なのかを説明することはできないけれど、でもわたし、それのこと本当によく知ってるの──これはまるでもうひとつの記憶だとしか言いようのない永遠のイノセンス本!
 
並んだタイトルを眺めるだけでもう、こみあげる何かがある。匂い立つ色がみえる。

ここに流れているのは、もしかしたら性のない時間、子どもの時間なのかもしれないなあ。もちろん大島弓子の描く人物たちには恋愛に胸を悩ます思春期まっさかりの少年少女がたくさんいるし、武田百合子さんだって大人だし、『たけくらべ』の美登利だってそれとは気づかなくても恋をする。

けれども、みんなやっぱり、性がないのだ。人間をその人生でずいぶん長いあいだ苦しめたり、ときには至福のあれこれをくれたりする性というものに支配されるまえの世界の彼らは住人たちで、そこではみんなが「未性」を生きているのだと思う。

大人になった今ではもう失ってしまったものばかりが、いま生まれたばかりのような輝きと生命力でもって、ときに静かに、ときに弾みながら息づいてる。ページをひらいて、そこにある絵や言葉を胸にうつせば、いつだってその感覚を生き直すことができるんだって思わせてくれます。

大島弓子セレクション セブンストーリーズ

大島弓子セレクション セブンストーリーズ

大島弓子(著)
出版社:角川書店
『大島弓子セレクション』には代表作である『バナナブレッドのプディング』や『ダイエット』も収録されていて(ほか、すべての作品が絶品です)、初めての人も懐かしいなっていう人にもとてもおすすめ。
たけくらべ 現代語訳・樋口一葉

たけくらべ 現代語訳・樋口一葉

樋口一葉(著) 松浦理英子ほか訳
出版社:河出書房
『たけくらべ』は擬古文で書かれた原文に挫折した人、でも一度は読んでみたいと思う人にうってつけ。松浦理英子さんが句読点の位置と数を変えずに、原文の雰囲気をそのまま残し、わたしたちがすらすら読める現代語に翻訳してくれています。
日日雑記

日日雑記

武田百合子(著)
出版社:中央公論新社
『日日雑記』は『富士日記』で有名な武田百合子さんがひとりになってからの生活を綴った本で、今でもどこかで百合子さんがこんなふうに生きているんじゃないかと本気で思ってしまいます。わたしにとって、とても大切な本たちです。

プロフィール

川上未映子
川上未映子
1976年、大阪府生まれ。
2007年、デビュー小説『わたくし率 イン 歯ー、または世界』(講談社)が芥川龍之介賞候補に。早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。
2008年、小説『乳と卵』(文藝春秋)で第138回芥川賞を受賞。
2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』(青土社)で中原中也賞受賞。
小説『ヘヴン』(講談社)で芸術選奨文部科学大臣新人賞、紫式部文学賞受賞。初出演の映画『パンドラの匣』でキネマ旬報新人女優賞を受賞。
著書に『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』(講談社)、『ぜんぶの後に残るもの』(新潮社)、『すべて真夜中の恋人たち』(講談社)など。
1976年、大阪府生まれ。
2007年、デビュー小説『わたくし率 イン 歯ー、または世界』(講談社)が芥川龍之介賞候補に。早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。
2008年、小説『乳と卵』(文藝春秋)で第138回芥川賞を受賞。
2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』(青土社)で中原中也賞受賞。
小説『ヘヴン』(講談社)で芸術選奨文部科学大臣新人賞、紫式部文学賞受賞。初出演の映画『パンドラの匣』でキネマ旬報新人女優賞を受賞。
著書に『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』(講談社)、『ぜんぶの後に残るもの』(新潮社)、『すべて真夜中の恋人たち』(講談社)など。