過保護と過干渉はどう違うの?

過保護と過干渉はどう違うの?

第1回 親の過保護と過干渉がいけない本当の理由
少子化が進み、兄妹を持つ子が少なくなり、一人っ子が増えた現代、“過保護と過干渉”の親が増えていると言います。昔から、親の過保護や過干渉は子の教育に悪いと言われますが、一体何が悪いのでしょうか? 
そこで、『一人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者・立石美津子さんに過保護と過干渉についてお話を伺いました。

過保護と過干渉はセットになりやすい

まず、立石さんが“過保護と過干渉”についてわかりやすく説明してくださいました。

「過保護というのは、親が子どもを心配しすぎて“これはできないだろう”という前提で先回りをしてやってしまったり、子どもがやるべきことや責任を肩代わりしてしまうことなんです。過剰に保護をしているうちに、だんだんそれだけでも安心できず、“危ないからやめなさい!”“ああしなさい、こうしなさい!”“これにしなさい!”など、なんにでも干渉するのが、過干渉です。つまり、より過剰な過保護が過干渉なため、この両方はセットになりやすいんですね」(立石さん 以下同)

そして、この“過干渉”がさらに厄介なのだという。

「“この子にできるはずない”ということ前提で子どもの能力を低く見積もって、子どもが何かしようとするたびに、ことごとくさえぎる。親の価値観を押し付ける。そうすると、子どもはまず自信のない子に育ってしまい、結局、親は子どもをマインドコントロールしていることになります。そうすると、子は親の望んだとおりの行動をしないとダメなんだと思うようになり、親の顔色をうかがうようになります。さらに、人の目を気にするようになり、自分の意思を持てない意見を言えない大人になってしまいます。そして、親の価値観もそのままその子の価値観になってしまいます。1番じゃなきゃダメ!と言われて育てば、ビリの子をバカにしてしまったり、自分が一番でないとダメな人間だと思ってしまうんです」

過保護と過干渉はどう違うの?

親の過干渉が子どもの自己肯定感を低くする

親が良かれと思ってし続けた過干渉により、自立の芽を摘み、子どもを生きづらい状況にどんどん追い込んでしまうというのは、なんとも恐ろしいですね。

「過干渉は、自信を持つことができず、自己肯定感が低い子を育ててしまうことになります。さらに、失敗の経験をしてこなかったり、失敗を怒られて育つと、失敗を恐れて挑戦意欲もない子になってしまいます。子育ては、目先を見て行うのではなく、その子の将来への影響を見据えて行うことが大事だということがわかりますね。親の価値観が正しいとは限らないのです。我が子のあるがままを受け入れること、それこそがお子さんの自立、将来の幸せにつながるのです」

大事にしている花も、水を与えすぎれば枯れてしまいますね。お子さんへのせっかくの保護も、度が過ぎて自立の芽を摘んでしまわないように心がけましょう!
(構成・文/横田裕美子)

お話をお聞きした人

立石美津子
立石美津子
子育て本作家・講演家
幼稚園・小学校向け課外教室「エンピツらんど」の創業者。現在も0歳~小学校低学年の子ども達と触れ合いながら執筆、講演活動に奔走。自らは自閉症児を育てる母親。
幼稚園・小学校向け課外教室「エンピツらんど」の創業者。現在も0歳~小学校低学年の子ども達と触れ合いながら執筆、講演活動に奔走。自らは自閉症児を育てる母親。