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諸外国の親権制度から読み解く子どもの福祉|子どもの福祉のために知るべきこと

第26回 離婚弁護士ナビ
この記事では、諸外国と日本の親権制度の違いを解説した後、子供を福祉を実現するために知っておくべきことを解説します。

離婚をした夫婦が考えなければならないことは多岐に渡りますが、そのうちの1つが「子どもの福祉」ではないでしょうか?

夫婦が離婚した場合、子どもの生活環境に少なからず変化を与えます。環境が変わることで必ず子どもに悪影響があるかといえばそうとも言い切れませんが、離婚後にも現状の環境を維持できるのであればそれに越したことはありません。

この記事ではこれから離婚を検討している夫婦や、離婚した夫婦に向けて、子どもの福祉を実現するために知っておくべきこと解説します。子どもの福祉について考える機会にしていただき、親権を考慮する際の参考にしていただければ幸いです。

子どもの福祉とは

現在、「子どもの福祉」は民法などによって明文では規定されていません。子どもの福祉は子どもがどのように育っていくべきなのか、親子関係はどういったものが適切かについて内包していますから、具体的に定義することは困難でしょう。

もっとも、離婚における調停や家庭裁判所の裁判例などを見てみると、「子が健やかに育っていくために、子にとって不利益を与えないこと」といったことが基本的な概念となっているようです。

言い換えれば、子どもにとって不利益にならないように大人が配慮すること、とも表現できるでしょう。

諸外国と日本の親権に対する考え方や制度の違い

日本では、親権について、民法で次の通り規定されています。

・子どもに対する監護と教育の権利義務(民法820条)
子どもと実際に一緒に住んで養育する。教育を受けさせる権利と義務。

・居所指定権(民法821条)
子どもが住む場所を指定する権利。

・懲戒権(民法822条)
子どもの監護や教育に必要な程度で懲戒する権利。

・職業許可権(民法823条)
子どもの労働を許可する権利。

・財産の管理権と代理権(民法824条)
子ども名義の財産を管理したり、法律行為を代理したりする権利。

また、日本では離婚した際、夫婦の一方だけが親権を所有する単独親権が採用されており、父母のどちらかしか親権者になれません。

諸外国と日本の親権に対する考え方や制度には、どういった違いがあるのでしょうか。ここで確認してみましょう。

■アメリカの親権に対する考え方やそれにまつわる制度

アメリカでは、子供の親権は各州の法律によって規定されていますが、概ね似通ったものとなっています。

基本的な親権の考え方は、子どもの最善の利益に基づいて決定されるべきとしており、父親と母親は平等に扱われ、性別によって親権獲得が有利になるということはありません。

また、離婚後も、共同親権といって父親と母親がともに親権を有することも可能な州も多いです。

共同親権には、「法的共同親権」と「物理的共同親権」の2つの要素があります。

法的共同親権では、子どもの教育や医療、宗教教育などを決定する権利を親に平等に与えています。法的共同親権の下では夫婦は協力して決定しなければならず、協議で合意に至らない場合には裁判所に判断を委ねることになります。

一方の物理的共同親権とは子どもが親と過ごす時間に関するものです。父親と母親で同じ時間を過ごしてもよいし、一方と長く過ごすことも可能です。

■ドイツの親権に対する考え方やそれにまつわる制度

ドイツでは、1957年に「男女同権法」が施行されたことにより、父親も母親も同等に子に対して親権を持っているとされています。

さらに、1979年に「親の配慮権に関する新規制法」が制定され、親権には、子の法定代理兼、身の上に対する配慮権、財産に対する配慮権などが含まれることを規定しています。加えて、同法律では、親権は子の成熟度に応じて自律性を尊重し、子と合意したうえで親権を行使すると規定されています。

また、ドイツにおいても、1982年に、離婚後の単独監護を定めた規定について、連邦憲法裁判所が違憲判決を下したことがきっかけとなり、1998年以降、離婚後の共同親権が認められるようになりました。教育・医療といった事項は両親の協議のより決定されます。また、ドイツでは少年局が設けられ、共同親権行使の援助などを行っています。

■イギリスの親権に対する考え方やそれにまつわる制度

イギリス(イングランド・ウェールズ)の親権は、1991年より施行された子ども法によって規定されています。同法律では親権を「親の責務(parental responsibility」としており、子どものしつけや教育、治療などの決定を行う際の責任や財産の適切な管理が親に課されています。

また、親の決定が必要な事項は成長に応じて子どもの判断・意思が尊重されることもあり、親の責務が制限さえる場合があります。

さらに、2014年に施行された「子ども及び家族法」において、イギリスも離婚後の共同親権が認められています。子どもが18歳になるまで両親は「親の責務」を行使する義務を負っており、親は共同して子どもを監護すると定められているのです。もし、共同監護ができない場合には、離婚後の子供に関する取り決めを行い、協議のうえ所定の陳述書を裁判所に出す必要があります。

面会交流の機会が少ない日本の現状

先進国の多くでは共同親権が認められているのに比べて、日本では単独親権しか認められていません。その結果として問題となってしまうのが、親と子との面会交流の少なさです。

まず、離婚時には面会交流について決定するものと民法では規定されているものの、実際に取り決めを行っているのは母子世帯で42.9%、父子世帯では20%となっています。(平成28年度全国ひとり親世帯等の調査)

 

引用:平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告

さらに、離婚時に面会交流の取り決めを行っていたとしても、離婚後に継続して面会していないケースも多くあります。同調査によれば、「面会交流を現在も行なっている」家庭は、母子世帯で29.8%、父子世帯で45.5%となっているのです。

引用:平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告

子育て支援制度の現状

離婚をした場合、働きながら子育てをしなければなりません。その時に頼りになるのが「子育て支援制度」だといえるでしょう。

日本では2012年に「子ども・子育て支援法」、「認定こども園法の一部改正」、「子ども・子育て支援法及び認定こども園法の一部改正法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の3つの法律が成立し、子育て支援が実施されています。

現状では、認定こども園の設立や児童手当の給付、企業主導型保育事業等の実施や、幼児教育・保育の無償化などが執り行われています。

子の監護と養育費に関して親が心得るべき大切な考え方

離婚をする際には、どちらが子を引き取るか決めなければなりません。これは監護権についての問題です。監護権は親権のうちの1つで次のような内容を含んでいます。

・身分行為の代理権

・居所指定権

・懲戒権

・職業許可権

離婚する場合には父母のうちどちらが親権者になるか決めなければなりません。日本では9割が協議離婚となっており、その時には夫婦が協議のうえで親権者を決めます。

監護権を行使するのは離婚の際に親権者となったほうです。子どもが乳幼児の場合には母親が親権者となるケースが多く見られますが、子どもが成長するにつれて本人の意思が尊重されるようになります。

また、教育費に関しては、日本では離婚相手から支払われないケースも少なくありません。

平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告によれば、離婚時に養育費の取り決めをしているのは、母子家庭で42.9%、父子世帯で20.8%となっており、現在も養育費を受けているのは、母子世帯が24.3%、父子世帯が3.2%となっているのです。

引用:平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告

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