子の性同一性障害、相談はどこへ?

子の性同一性障害、相談はどこへ?

第4回 わが子が性同一性障害だと思ったら?
心と体の性の不一致から、生きづらさを感じる性同一性障害。自治体の相談窓口や医療機関以外にも、最近では当事者同士が情報を交換や悩み相談ができる場が各地にでき始めているという。そのなかのひとつ、NPO法人 性同一性障害支援機構の取り組みについて、同機構・理事長の中山貴将さんに聞いた。

「性同一性障害者や性同一性障害に悩みを持つ人に対して、役立つ情報の提供をはじめ、精神的なケア支援、治療・施術についてのサポート、社会的な自立支援に関する事業、性同一性障害についての理解を広げるための研修講座や啓発活動、季節のイベントなどを行っています。ほかにも、心と体の外見上の不一致の緩和に役立つ服装の1つとして、しっかりと胸を押さえられるアンダーウェアなども紹介しています」(中山さん 以下同)

電話やメールでの相談窓口(予約制)もあり、専門知識があるカウンセラー2名が対応。性同一性障害の当事者以外に、家族やパートナー、友人、学校や職場で当事者との関わりがある人からの相談にも応えている。昨年夏には、教育者向けの勉強会や性同一性障害について理解を深めたい人を対象にした「気づきと学びのワークショップなども開催した。

子の性同一性障害、相談はどこへ?

「先日、家族カフェを開催したところ21名(親7名)の参加者がありました。 親御さんたちは『いつ子どもから言われるのかが怖かった』『カミングアウトを受けてから2年間は泣いて暮らしたが、今は何でも言い合える親子関係になりうれしい』など、各自の体験を話されていました。初めは涙ぐみながらお話されていた親御さんも、既に悩みを乗り越えられた親御さんからのアドバイスを受け、後半は笑顔を取り戻されていたのが印象的でした。当事者の方からも『改めて気付かされたこともあり、とても有意義な時間でした』とのありがたいご感想をいただきました」

同機構の多岐に渡る支援活動の背景には、中山さん自身の体験も大きく影響している。 中山さんは2008年に性別適合手術を受け、戸籍を女性から男性に変えた。情報量が少ないことや誤った情報が多い事実に直面した自身の体験をふまえ、正しい知識を多くの当事者に発信することを心がけているそう。

NPO法人など支援団体を探すときには、性同一性障害以外に、GID、LGBT(性的マイノリティ)、FTM(身体的には女性であるが性自認が男性)、MTF(身体的には男性であるが性自認が女性)などで検索するといいのだとか。正しい情報が得られ、悩みを共有できるネットワークは、大きな心の支えになるだろう。
(川野ヒロミ+ノオト)

お話をお聞きした人

中山貴将
NPO法人 性同一性障害支援機構
性同一障害の当事者で、2008年5月にタイで性別適合手術を受け、同年9月に戸籍上男性になる。2012年 9月、NPO法人性同一性障害支援機構を設立。
性同一障害の当事者で、2008年5月にタイで性別適合手術を受け、同年9月に戸籍上男性になる。2012年 9月、NPO法人性同一性障害支援機構を設立。