毒親とは?毒親になりやすい母親の特徴を明治大学教授に聞いた

毒親とは?毒親になりやすい母親の特徴を明治大学教授に聞いた

第1回 あなたは毒親になってない?
突然だが、「毒親」という言葉を知っているだろうか? 毒親とは、子どもを自分の思い通りにしようとし、なかには暴力や虐待、過度の干渉などによって支配下に置こうとする親のこと。文字通り、子どもにとって「毒」になる親をいうそう。

近年、“毒親本”がベストセラーになるなど、注目を集めているが、なぜいま話題になっているの? 『子どもに何と言えばいいか、わからない時に読む本』(青春出版社)などの著書を持ち、教育カウンセラーで明治大学文学部教授の諸富祥彦先生に聞いた。

「もともと『毒親』という言葉は、臨床心理士の信田さよ子さんが書いた『母が重くてたまらないー墓守娘の嘆き』(2008年/春秋社)などから話題になり、2年くらい前から注目度が高まってきました。実は、“アダルトチルドレン”とも深いかかわりがあるんです」(諸富先生 以下同)

「アダルトチルドレン(AC)」は、「機能不全家族」のなかで育った子が、大人になってもなおトラウマを抱えていることを指す。自分に自信が持てない、他人の評価を気にしすぎるなどの特徴があるそう。

「ACは、欧米などではアルコール中毒の父親がいる家庭などをモデルとして考えられていました。でも、日本の場合、父親はいてもいなくても変わらない家庭が多く、結果的に子どもがACになっている傾向にあります」

そこで、日本ではACを拡大解釈することになったそう。日本にACを紹介した精神科医の斎藤学氏によると、日本人の多くに見られる傾向だという。

毒親とは?毒親になりやすい母親の特徴を明治大学教授に聞いた

「日本の特徴は、子どもがACになる原因の多くが、母親にあること。そうした原因となる母親を『毒親』と呼ぶようになりました。ただし、子どもを追い詰めているのは母親ですが、母親自身も孤立した子育てのなかで追い詰められてそうなってしまうので、いわば犠牲者でもあるのです」

大人になっても自分の親との関係性に悩む人はいる。でも注意したいのは、自分自身が「毒親」になるリスクもあるということだ。「毒親」になりやすい母親はどんなタイプなのだろう?

「真面目すぎて、ブレーキがきかなくなるタイプ。しっかりしようとしすぎて、子どもに対して過剰になってしまうのです。また、『ちゃんと子育てをしなければ』という思いを子どもに直接ぶつけてしまい、子どもが自分とは別人格だと忘れてしまうのも特徴です」

「毒親」が難しいのは、子どもに対して愛情も関心も強く持つからこそ、子どもを追い詰めてしまうところだが…。 

「お母さんは、つい手を焼きすぎてしまう傾向があるから、『何をするか』ではなく、『何をしないか』が重要なんです。してはいけないのは、暴言・暴力などの『毒を与えないこと』です」

子どもへの思いや愛が、子どもを追い詰めていないか、一度振り返ってみては?
(田幸和歌子+ノオト)

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お話をお聞きした人

諸富祥彦先生
諸富祥彦先生
明治大学文学部教授
臨床心理士、上級教育カウンセラー、学会認定カウンセラー。『男の子の育てかた』『女の子の育てかた』『一人っ子の育てかた』(WAVE出版)他、著書多数。TV、ラジオ出演多数。
臨床心理士、上級教育カウンセラー、学会認定カウンセラー。『男の子の育てかた』『女の子の育てかた』『一人っ子の育てかた』(WAVE出版)他、著書多数。TV、ラジオ出演多数。