2019年10月から始まった保育料無償化。対象施設や年齢を解説

第12回 知っておきたいママ情報
子育て世代の経済負担軽減のため、保育料無償化制度が始まりました。ただし、全額無償というわけではなく、施設や子どもの年齢、世帯年収によって、軽減される金額は異なります。条件を正しく知って疑問を解消し、上手に制度を活用しましょう。

2019年10月スタートの保育料無償化

2019年10月から、保育料が無償化になる制度が始まりました。子育て世代にとっては朗報だったのではないでしょうか?

当初は2019年4月に一部実施・2020年4月に全面実施という流れとなる予定でしたが、タイミングは前倒しされて2019年10月から全面スタートとなりました。

2019年10月の消費税増税で打撃を受ける子育て世代に配慮した結果だといわれています。ちょうど小さな子どもがいる家庭は大助かりですね。

せっかくの制度を正しく利用するためにも、内容をくわしく知っておきましょう。保育料無償化制度とは、そもそもどんなものなのかを説明します。

利用料を国が補助する制度

この制度は「幼保無償化(幼児教育無償化)」と呼ばれており、子どもの教育・保育にかかる料金を国が補助する制度です。従来の「児童手当」とは異なり、一部の年齢を除いて所得制限がありません。

この制度が生まれた背景には、子育て世代の経済的負担が大きいことが挙げられます。子どもにかかる教育・保育費を無償化することで、20~30代の若者が子どもを育てやすい環境をつくり、子どもたちに質の高い教育を平等に届けることを目的としているのです。

同時期にスタートした消費税により、国の税収は増加しています。その分の約15%が、幼保無償化に還元されているのです。

どのような施設が対象になる?

せっかく保育料無償化の制度があるのなら、恩恵をきちんと受けられる施設を利用したいものです。どのような施設が制度の対象となるのか、確認しておきましょう。

幼稚園、保育所、認定こども園など

保育料無償化制度が適用となるのは、定められた条件に当てはまる施設です。

「幼稚園」「保育所」「認定こども園」のほか、「幼稚園の預かり保育」「地域型保育(小規模保育・家庭的保育・居宅訪問型保育・事業所内保育)」「企業主導型保育事業」などを利用する家庭の子どもたちは、条件を満たしたうえで保育料が無償となります。

上記施設に当てはまらないインターナショナルスクールは、認定外保育園に入れずやむを得ず利用した場合などを除き、対象外である点に注意しましょう。

出典:子ども・子育て支援新制度ハンドブック(平成27年7月改訂版)

認可外保育施設など

「認可外保育施設」も、保育料無償化の対象となる施設です。一般的な認可外保育施設のほか、「認可外の事業内保育」や東京都が独自で行っている認証を受けた「認証保育施設」なども含まれます。

ほかにも、ベビーホテル、ベビーシッター、一時預かり事業、病児保育事業、ファミリー・サポート・センター事業と、非常に幅広いサービスが適用対象です。

いずれの施設も都道府県庁に届出を行い、国の定める認可外保育施設の基準を満たしていると認められることが、保育料無償化制度適用の条件となります。

出典:教育・保育の無償化概要: 子ども・子育て本部 - 内閣府

障がい児の発達支援施設

就学前の障がい児を対象とした発達支援施設も、制度の対象です。具体的には、「児童発達支援」「医療型児童発達支援」「居宅訪問型児童発達支援」「保育所等訪問支援」「福祉型障がい児入所施設」「医療型障がい児入所施設」が挙げられます。

制度を活用して施設を利用できるのは、「子どもが満3歳になった後に迎える初めての4月1日から小学校入学まで」の3年間です。

さらに、幼稚園・認可保育施設・認定こども園などと合わせて、障がい児の発達支援施設を利用する場合は、両方の施設が無償となります。

出典:就学前の障がい児の発達支援の無償化について

対象となる子どもの年齢と利用料

保育料無償化の制度を利用する際には、施設だけでなく子どもの年齢にも注意が必要です。すべての子どもに対して適用されるわけではないため、自分の子どもの年齢が条件をクリアしているかを確認しておきましょう。

ケースによっては、全額無償となるわけではなく「ひと月あたりの保育料に補助が出る」という形になる場合もあります。

3~5歳児はすべて無償化対象

3~5歳までの子どもがいる家庭では、どの施設を利用しても無償化の対象です。幼稚園・保育所・認定こども園のほか、地域型保育や企業主導型保育事業などの施設で利用できます。

無償化となる期間は、「満3歳を迎えて以降の4月1日から小学生になるまで」の3年間です。ちなみに、認可外保育施設など一部の施設においては、住んでいる地域の市町村から「保育の必要性の認定」を受ける必要があるため注意しましょう。

保育の必要性の有無とは、たとえばフルタイムやパートタイム(短時間を除く)で共働きをしている夫婦の家庭で、子どもを長時間保育するサポートが必要だと判断される場合などです。

なお、認可外保育施設を利用する場合、「月額3万7000円」までの範囲で無償化する」という条件付きとなります。

出典:幼児教育・保育の無償化概要: 子ども・子育て本部 - 内閣府

幼稚園の場合は上限あり

3~5歳児は保育料無償化の対象ではありますが、幼稚園を利用する場合は全額ではなく、「月額2万5700円」までの範囲が無償化となる点に注意しましょう。

幼稚園は、現在2015年から政府が行う「子ども・子育て支援新制度」に移行した園と、旧制度である「私学助成金制度」のままの幼稚園の2種類があります。

旧制度の幼稚園は「子ども・子育て支援新制度」の対象外ですが、新制度と同じように「月額2万5700円」まで利用料が無償化される仕組みです。ただ、園によっては保育の必要性の認定を受ける必要があるため、居住している市町村に確認しましょう。

0~2歳児は非課税世帯が対象

0~2歳児は「住民税非課税世帯」であれば、保育所や幼稚園、認定こども園の保育料利用料が無償です。住民税非課税世帯は所得金額や世帯人数によって異なりますが、世帯年収が3人家族で約200万円・4人家族で255万円前後でしょう。

さらに、認可保育園を2人以上の子どもが利用している場合、2歳までの第2子は半額、第3子以降は無料となります。

認可外保育施設などの一部の施設では、「月額4万2000円」までの範囲が無償化の対象です。ただし、市町村から「保育の必要性の認定」を受ける必要があることを忘れないようにしましょう。

すべての費用が無償化になる?

利用すればお得な保育料無償化の制度ですが、教育・保育に関係するすべての費用が無償化されるわけではありません。あとで想定外の出費に驚かないためにも、「無償化の対象外となる費用」について知っておきましょう。

利用料以外は対象外

保育料無償化の対象となるのは、「基本的な施設の利用料金」だけです。子どもが施設で食事するための食材料費や行事費、スクールバス利用料などの通園送迎費などは対象外となります。

一見無償化制度の対象にも思える、入園料や施設維持費なども対象外となっているため注意しましょう。制服や教材、文房具などにかかる費用も対象とはなりません。

子どもが通う施設によっては、ほかにも独自の費用が発生する可能性もあります。障がいがある子どもの場合は医療費が発生する場合もありますが、これも無償化の対象外です。

ただし、副食費の免除制度あり

基本的に食材料費は無償化の対象外ですが、牛乳やおやつ代などの「副食費」については、一定の条件を満たしている家庭は免除の対象になります。

免除対象は、幼稚園や認定こども園、認可保育所に通う子どもで、「世帯年収が360万円未満」であるか、もしくは「3人目以降の子ども」であることが条件です。以前の制度では、上記のような条件付きの免除制度はありませんでした。

そのため、まだ新制度が適用されていない幼稚園に通っている場合は、確認が必要です。はじめから減額請求されることもあれば、いったん徴収された後に補足給付金として月4500円までの助成が受けられる市町村などもあります。

住んでいる地域の市町村に問い合わせて、手続きについて尋ねてみましょう。

出典:幼児教育・保育の無償化の実施に伴う 食材料費の取扱いについて

保育料無償化についてのよくある疑問

保育料無償化はお得な制度ですが、子どもや世帯に対する条件や利用する施設に対する条件など様々です。複雑な部分もあるため、おのずと疑問も出てくるでしょう。保育料無償化について、多くの人がもつであろう疑問を紹介します。

預かり保育も対象になる?

保育園の預かり保育を利用する場合も、保育料無償化の対象です。ただし全額無料とならないことは覚えておきましょう。

幼稚園を利用する場合、月額2万5700円までの範囲が無償化となりますが、預かり保育を利用する場合は、さらに「月の預かり保育日数×450円」と「預かり保育の利用料」のうち値の小さい方が「月額1万1300円」まで無償化となります。つまり、合計で月額3万7000円までが無償となるのです。

ただし、預かり保育を利用する場合は、住んでいる地域の市町村から「保育の必要性の認定」を受ける必要があることに注意しましょう。認定がなければ、預かり保育は保育料無償化の対象外です。

2人目以降も対象になる?

保育料無償化は、子どもが複数いる場合でも1人1人に適用されます。ただし適用される軽減額が異なるため注意です。たとえば、3人子どもがいる場合、年齢が2番目の子は保育料「半額」、3番目の子は「無料」です。

ただし、施設によって、対象となる子どもの年齢が異なります。幼稚園や認定こども園などの「1号認定」と呼ばれる施設では、子どもたちの年齢が「2歳以下」の場合と「小学校4年生以上」の場合は人数のカウントに入りません。

保育所や認定こども園、地域型保育などの「2号・3号認定」と呼ばれる施設では、0歳の赤ちゃんから人数のカウントに入れられます。一方で、「小学校1年生」以上は対象外です。つまり、兄弟姉妹が複数人いたとしても、歳の差がある場合は保育料の負担額が変わってくきます。

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利用するための手続き方法は?

幼稚園や認可保育所、認定こども園、地域型保育などは、すでに施設側と市町村の間で新制度に対する利用手続きを済ませています。そのため、利用者が必要な手続きは特にありません。

旧制度のままの幼稚園などを利用している場合は、幼稚園から配られる申請書を受け取りましょう。記入すれば、幼稚園側が市町村に提出します。

ほか、幼稚園の預かり保育の利用や認可外保育施設を利用する場合には、市町村に申請して「保育の必要性の認定」を受けましょう。

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施設には誰が支払うの?

幼稚園や認可保育所、認定こども園の場合は、市区町村が施設に保育料を支払うため、利用者が支払う必要はありません。ただし、保育料が月額の無償化上限額を超えてしまった場合は、自己負担分を直接施設に支払いましょう。

ほか、旧制度のままの幼稚園や預かり保育の保育料、認可外保育施設の保育料などについては、施設によって支払いの方法が異なります。住んでいる地域の市町村に確認しましょう。

旧制度の施設を利用している場合、施設や事業所が発行する「提供証明書」もしくは「領収書」など、支払い内容がわかる書類をなくさないように保存しておきます。市区町村に費用を請求する際、提出が必要です。

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まとめ

保育料無償化は、子育て世代の経済的負担を軽減するために2019年10月から始まった制度です。制度の対象となる施設と子どもの年齢は決まっています。

施設の種類によっては、満額が無償化となる場合もあれば、上限付きで月に一定額の補助が出るという場合も少なくありません。適用となるのは基本的な保育料だけですが、副食費など一部例外もあるため見逃さないようにしましょう。

条件がいくつもあるため一見難しく思えますが、しっかり理解して活用すれば家計を助ける強力な味方になります。疑問を解消し、制度を有効に活用しましょう。