卵子と卵巣にも年齢がある!?

卵子と卵巣にも年齢がある!?

第1回 高齢妊娠のリスクは? 卵子年齢について知ろう
晩婚化が進み、高齢妊娠がめずらしくない時代。高齢妊娠といわれるのは一般的に35歳からで、年齢が上がると不妊のリスクや流産率などが一気に上がるといわれている。

実は、これらの要因のひとつが“卵子年齢”の加齢なのだとか。でも、卵子年齢って実年齢とどう違うの? 東邦大学医療センター大森病院の産婦人科准教授、片桐由起子先生に聞いてみた。

「そもそも卵子とは、細胞のひとつです。卵子はお母さんのお腹のなかにいる胎児のときに作られますが、その後新しく作られることはなく、年を重ねるごとに減っていきます。いわゆる“卵子年齢”とは卵子が卵巣のなかでとどまっている期間のこと。つまり、“実年齢プラス1歳”と覚えておけばわかりやすいですよ」(片桐先生 以下同)

卵子が年を重ねると卵子そのものの質が低下し、妊娠する力である妊孕能(にんようのう)が低下してしまう。さらに、片桐先生は「卵子だけでなく “卵巣年齢”も考慮してください」と指摘する。

年齢が上がると不妊のリスクや流産率などが一気に上がる。その要因のひとつが卵子の加齢にある。

「卵巣年齢とは、卵巣予備能力のことです。卵巣には大きく2つの働きがあって、ひとつはホルモンを分泌する働き、もうひとつは子どもを作る卵子を成熟させる生殖臓器としての役割です。卵巣年齢とはこれから排卵する可能性のある卵子がどれくらい卵巣に残っているかの目安をいいます」

卵巣年齢は個人差があり、「何歳だから卵子が何個ある」という厳密なものがあるわけではない。自分の卵巣年齢と呼ばれる卵巣予備能力がどのくらいなのかは、検査で調べることができる。

「卵巣年齢は血液検査で知ることができます。AMH(アンチミューラリアンホルモン)の値を調べることで卵巣内に残っている卵子の数の目安が分かります。健康保険の適用外のため自費になり、費用は平均で5000~1万円くらいです。ちなみに、卵子の質(受精後に細胞分裂が正常に行われるかどうかなど)を調べる手立てはいまのところありません」

卵子年齢と卵巣年齢は自分の妊娠できる力を把握する一種の目安となる。子どもを産むのか産まないのか、いつ産むのか、2人目はどうするのか、ぜひライフプランを立てる上で参考にしていただきたい。
(石水典子+ノオト)

お話をお聞きした人

片桐由起子
片桐由起子
東邦大学医療センター大森病院
東邦大学医療センター大森病院産婦人科教授。不妊治療やその研究、生殖医療に携わる。妊活セミナーなど、講演活動も行っている。
東邦大学医療センター大森病院産婦人科教授。不妊治療やその研究、生殖医療に携わる。妊活セミナーなど、講演活動も行っている。