ママの復職、成功のカギは手放すこと

ママの復職、成功のカギは手放すこと

第2回 ママの職場復帰 どんなことに気をつける?
子どもの保育園も決まって、いざ職場復帰! 「働くぞ!」とアクセル全開になったやる気とは裏腹に、子育てと仕事の両立は難しく何かとジレンマを抱えることに。上司や同僚が「子育てしながら大変だろう」と余計に気を遣ってくれるため、なんだか職場にフィットしきれないなんてことも。

●上司にキャリアビジョンを伝えよう

育休から復帰した女性を受け入れる体制が整っている会社も増えてきたものの、まだまだ働くママのマネジメントに慣れていない上司が多いのも事実。ご自身も働くママであるキャリアコンサルタントの小倉環さんは、「復帰をしたらキャリアビジョンをしっかり伝えることが大事」といいます。

「上司のなかには『育児・家事が大変だからあまり任せない方がいいかもしれない』と気を遣う人もいます。そのため、産前に比べて仕事の責任も軽くなったり、業務の負担が少ない部署に配属になったりと、職場復帰をしたとしても、やりがいをもって働いているとは言い切れないママたちもいます。それが本人にとって不本意であったとしても、ママ自身にも産前のように働くことができるのか不安があるため、モヤモヤした気持ちが募ってしまうのです。まずはそうした現実をしっかり踏まえて、上司にワーキングマザーとしてのキャリアを相談しましょう。復職1年目は子どもが病気にかかることが多い時期と重なりがちです。しかし、おむつがとれる3歳くらいの頃になると子どももある程度自立しますので、キャリアも前向きに考えられるようになるものです。それを踏まえて、今後職場のなかでどんなポジションを目指したいのか、子育てしながらでもチャレンジする意思があることを伝えられるといいと思います」(小倉さん、以下同)

業績や評価を求められて、大変な思いをするワーキングマザーも多いのは事実。自分なりの理想の働き方を目指すためにも、上司への相談は不可欠なのかもしれません。

「保育所に預ければ問題なし、というほど仕事と育児の両立はあまくありません。ママとしてやらなくてはいけないことは、毎日山ほどあるのです。そうした現実を踏まえて、子どもの成長に寄り添いつつ、遠すぎる目標ではなく足元の目標をひとつずつ乗り越えていくことで、自分にも達成できるという自信(自己効力感)を高めていくといいと思います」

●家庭と仕事、両立のコツは“手放すこと”

仕事に一生懸命取り組むママほど、家事も手を抜かずに頑張り過ぎてしまうと小倉さん。そんなママには2つの“手放すということ”を意識してほしいといいます。

「まず1つ目は、『家事を手放す』ということです。たとえば、食洗器やお掃除ロボットを購入する、ネットの宅配サービスや家事代行の利用というように、自分でやっていた家事を手放す家電やサービスを検討します。また、洗濯はしないといけないけど、干したものは畳まなくても大丈夫、というように優先順位をつけます。2つ目は、『価値観を手放す』ということ。母親はこうあるべきとか、子育てはこうしないといけないという価値観にがんじがらめになっていると、両立はつらくなってきます。『○○するべき、こうあるべき」という考え方を手放して、おおらかに構えることが大事です」

また、なかには子どもを保育所に預けることに、後ろめたさを感じるママも少なくないそうですが、小倉さんはその価値観も手放した方がいいといいます。

「アフリカに『子どもを育てるには100人の村人が必要』ということわざがあります。子どもはたくさんの人と触れ合いながら、成長していくことが大切なのだと思います。育休中はママと子どもがべったりですが、一対一の育児がずっと続くことは、ママにとっても子どもにとってもベストな環境ではないと思います。保育所に預けると子どもが可哀想と思うママも多いですが、ほかの子どもと触れ合うことで自立を促しますし、子育てのプロである保育所の先生や地域の人などと触れ合える貴重な場所です」

ママの復職、成功のカギは手放すこと

育児はママひとりのものじゃなく、皆に支えられることで成り立つもの。会社での上司や同僚、地域社会、そして夫をはじめとする家族、それぞれに頼りながら自分が納得できる働き方を見つけていくことが大切なのかもしれません。
(文・末吉陽子/やじろべえ)

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小倉 環
小倉 環
キャリアハーモニー 代表
キャリアコンサルタントとして就職支援、講師、執筆で活躍中。専門は若年者のキャリアおよび就職支援、女性活躍推進、ワークライフバランス。All Aboutガイド。共働き子育て夫婦のライフとキャリアを支援する「ワーキングペアレンツ」の代表も務め、自身もワーキングマザーとして奮闘中。
キャリアコンサルタントとして就職支援、講師、執筆で活躍中。専門は若年者のキャリアおよび就職支援、女性活躍推進、ワークライフバランス。All Aboutガイド。共働き子育て夫婦のライフとキャリアを支援する「ワーキングペアレンツ」の代表も務め、自身もワーキングマザーとして奮闘中。