テレビのメリット・デメリット 育児への影響をベネッセに聞いてみた

テレビのメリット・デメリット 育児への影響をベネッセに聞いてみた

第2回 子どもとテレビの意外な関係
テレビを子どもに見せすぎてはいけないと思っている親は多いもの。しかし、テレビは映像を通じて子どもの世界を広げる可能性があるとして、最近では必ずしも「悪いものではない」とする見方もあるようだ。

スマホやタブレットなどの新たなデバイスが子守りを担う時代にあって、かつて「絶対悪」とされていたテレビはいま、教育関係者からどのように考えられているのだろうか? 子どもの生活と保護者の関係を研究しているベネッセ教育総合研究所の木村治生さんに、テレビのメリットとデメリットを聞いた。

●テレビのメリット

「テレビは、生活のなかでいろんな情報を知ることができるメディア。音声と画像があるので、文字だけでは理解しにくい事柄も、映像を通じて、直感的に理解させることができます。知識が得られるだけでなく、ドラマや映画では情緒を高めるのにも役立つでしょう」(木村さん 以下同)

情報ツールの観点から見ても、インターネットから流れる情報とは異なり、ある程度のフィルターがかかっているという点も親にとっては安心だ。ただし、そこには「親子のコミュニケーションが必要」と木村さん。

「子どもがその映像を見てどう考えたか、どう感じたかを会話を通じて引き出すようにしましょう。何もしなければ、テレビは“受け身”のメディア。それを能動的に変えていくことで、子どもにとってたくさんのことを学ぶ時間になります」

テレビの前にいる女の子

とはいえ、テレビを見せるのは、それ以外の活動(遊び)の時間が削られることにもなる。失われる時間のデメリットはないのだろうか?

●テレビのデメリット

「以前からテレビの問題点として、外で活動的に遊ばなくなる、友だちとの関わりが弱くなるなどと言われてきました。子どもの自由時間は限らており、テレビの時間が長くなると、それ以外の活動が少なくなるのは事実。子どものときにしておくべき多様な経験が失われていないかは、親として気にしておきたいところです。また、幼児の時点で気をつけるべきなのは、健康的な問題。映像には刺激が強いものもあります。気分が悪くなる子どももいれば、寝付きが悪くなる子どももいるでしょう。健康に影響を及ぼす可能性があるという点は、親が意識しておくべきことといえるでしょう」

現代の子育てにおいてテレビは、メリット・デメリットで考えるよりも、どう見せるか、どう活用していくかを考えることが大切だ。

わが子がテレビっ子過ぎて心配というパパ&ママは、テレビという名のコミュニケーションツールを使って、まずは日常的な会話を楽しむことから始めてみてはいかが?

(根岸達朗+ノオト)

お話をお聞きした人

木村 治生
木村 治生
ベネッセ教育総合研究所
ベネッセ教育総合研究所、副所長・主席研究員。東京大学客員准教授。子ども、保護者、教員を対象とした意識や実態の調査研究を担当。
ベネッセ教育総合研究所、副所長・主席研究員。東京大学客員准教授。子ども、保護者、教員を対象とした意識や実態の調査研究を担当。