簡単にできるフローリング掃除。基本から汚れ別の掃除方法を伝授

第28回 知っておきたいママ情報
フローリングをピカピカに保つ、正しい掃除方法をご存じでしょうか?一見きれいな床も、実は様々な原因で汚れています。基本の掃除方法からたまに行う特別なお手入れ、フローリングを傷めない汚れの落とし方まで徹底的に解説しましょう。

フローリングの種類

フローリングには、主に「複合フローリング」と「無垢フローリング」の2種類があります。まずは、自宅のフローリングがどちらの木材を利用したものなのか確認しておきましょう。

一般的に普及している複合フローリング

現在の住宅で広く使われているのは、ベニア板を重ねた「合板(ごうはん)」と呼ばれる木材です。合板の表面に天然木や木目プリントのシートなどを貼り合わせたものを「複合フローリング」といいます。

合板がどう作られているのかは、厚みのある木材の側面を見るとイメージしやすいかもしれません。大根を桂むきするように薄く切り出した原木を奇数枚重ね、接着剤で貼り合わせてあります。

重ね合わせる際に木目を交差させるようにするため、複合フローリングは「温度や湿度の影響を受けにくい」のが特徴です。

木には伸縮性があり、水を含むと伸び縮みします。合板はその構造上、無垢材に比べてねじれや反りが起こりません。複合フローリングは、掃除の面からも扱いやすい素材といえるでしょう。

無垢フローリングが使われている場合も

「無垢材」を使用した「無垢フローリング」の住宅もあります。無垢材とは、原木から使う形に削り出された木材のことです。

複合フローリングのように、複数枚の板を接着することはしません。そのままフローリングにする場合もありますが、たいていは表面に塗装が施されています。

無垢材は木の温かみや香りが感じられ、どことなくやわらかく優しい感触がするでしょう。製材されても木は呼吸するため、木の構造を残した無垢材は「調湿性能に優れている」のが特徴です。

しかし、吸湿・放湿する際に伸び縮みしてしまうのがデメリットでもあります。反りや曲がりが起こりやすいため、水拭きするときは雑巾を固く絞るなど気をつかう必要があるでしょう。素材によっては、水拭きNGのこともあります。

汚れがたまりやすいフローリング

服に染みがついたら、染みの原因に合った対処をします。同じように、フローリングを掃除するときも、原因がわかっている方が効率よくきれいにできるはずです。ここでは、フローリングを汚す原因について見ていきましょう。

日常で出るゴミや雑菌の繁殖が汚れの原因

フローリングが汚れる原因は、「ホコリ」「食べかす」「髪の毛」といった目に見えるものだけではありません。

日常生活の動線上にある部分には「足の裏の皮脂」がつきやすく、玄関や窓のそばでは「砂ボコリ」などの汚れも多いでしょう。キッチンでは毎日のように細かな油が床に落ちます。

「カビ汚れ」がつきやすいのは、普段カーペットやソファを置いているような場所です。通気性が悪いために湿気がたまりやすく、雑菌が繫殖するのに好条件です。「大掃除で家具をどけてみてビックリ」ということもあるでしょう。

とりわけ、食べかすや皮脂などは「ダニ」や「細菌」の栄養源となり、これらが繁殖することで嫌な臭いが発生することもあります。

基本の掃除方法

フローリング掃除は順番がとても大切です。行った内容が同じでも、順番が違うだけで結果が大違いということもありえます。まずは、基本の掃除手順と方法を押さえておきましょう。

フロアワイパーでホコリを取る

最初に行うのは「ホコリや目立つ汚れを取り除くこと」です。「フロアワイパー」や「モップ」などを使って床全体をから拭きしましょう。

フローリングはホコリが舞い上がりやすく、排気する掃除機を最初から使うのはおすすめできません。また、水拭きはホコリを固めてしまいかねないため、まずはから拭きがベターです。

空気中のホコリは、人がいなくなって空気の流れがなくなる夜のうちに、ゆっくり床の上に落ちてきます。再び舞い上がらないように、フロアワイパーだけでも朝一番にかけておくとよいでしょう。

掃除機をかける

続いて、床全体に「掃除機」をかけます。フロアワイパーで取りきれなかったホコリや汚れを取り除いておきましょう。「フローリングの溝」や、床と壁の接着部分を補強する「巾木(はばき)のふち」などにもたまっています。

すき間に詰まったホコリ汚れは、つまようじなど先のとがったもので優しくかき出してから掃除機で吸い上げましょう。掃除機は「なるべくゆっくりかける」のがポイントです。ホコリを取り逃さないよう、「溝に沿って1mにつき往復で5~6秒かける」くらいを目安にするとよいでしょう。

固く絞った雑巾で拭く

最後に、雑巾で「水拭き」をします。フローリングは水に弱いため、できるだけ固く絞りましょう。水拭きの後はすぐにから拭きをして、すばやく水分を取り除きます。もしくは、「拭く部分ごとに霧吹きをかけながら、から拭きしていく」のもおすすめです。

床の雑巾がけをするときは、「奥から手前」に向かってかけて拭いていきます。掃除した部分を踏んで汚さないようにするためです。しっかりから拭きをかけ、水の跡が残らないようにしましょう。

なお、無垢フローリングの場合、「表面に塗装を施してあるもの」は固く絞った雑巾で水拭きできます。一方で、紙やすりやサンドペーパーで仕上げた後に何も表面に塗っていない「無塗装」の場合は、から拭きのみにとどめましょう。

汚れに合わせた掃除方法

「基本通りに掃除しているのに、なんだか薄汚れて見える」というときは、染みついた汚れが残っているのかもしれません。

「黒ずみ」や「ベタつき」は、適切な方法で掃除すればきれいに取り除けます。掃除方法は汚れのタイプによって異なるため、まずは何が原因の汚れなのかチェックしてみましょう。

油汚れや皮脂汚れ

コンロ周りの床が黒ずんでベタベタしていたら、「飛び跳ねた油」が原因であることがほとんどです。裸足で歩くシンク下の床には、「皮脂汚れ」がつきやすいでしょう。

油汚れや皮脂汚れがある場合は、「水で薄めた台所用の中性洗剤」を使って水拭きします。「水1lにつき洗剤小さじ0.5杯」が希釈の目安です。

濃すぎると粘度が高くなるため注意しましょう。赤ちゃんや幼児がいる家庭では、念のために「水拭き+から拭き」で仕上げると安心かもしれません。

中性洗剤には「界面活性剤」が含まれており、本来混ざらない水と油をなじませる働きをもちます。汚れとして、しっかり付着した油汚れを浮かせるのに有効です。

カビ汚れ

カビは種類によって、酸性汚れかアルカリ性の汚れか異なります。また、いわゆる「カビ取り剤」は「塩素系」など中性洗剤よりも強い洗剤で、素材を傷めてしまう可能性も否定できません。

中性洗剤は、一般的な汚れに広く対応できるように作られています。まだ軽いカビ汚れなら「水で薄めた中性洗剤」で対応可能です。希釈の目安も、油汚れと同じく「水1lに洗剤小さじ0.5杯」で十分でしょう。

頑固なカビ汚れには「無水エタノール」を使います。希釈の目安は、「無水エタノールの濃度を80%にすること」です。200ml作るなら、160mlの無水エタノールに水40mlを加えます。

先に水拭きで静かにこすり、カビをできるだけ取り除いておきましょう。その後エタノール水をスプレーで吹きかけ、から拭きで拭き上げます。

中性洗剤や無水エタノールで取れなければ、カビが奥深くまで根づいているのかもしれません。フローリング交換の必要も出てくるため、プロに相談してみるとよいでしょう。

ゴムの跡

家具の脚に「すべり止め」を使用していると、ゴムの跡がフローリングについてしまうことがあります。こうしたゴムのこびりつきには「ハンドクリーム」や「クレンジング剤」が有効です。

ゴム製品は、「油に溶けやすい」性質をもっています。ハンドクリームやクレンジング剤には油分が含まれているため、ゴム汚れと相性がよいのです。

まずゴム汚れにクリームを塗り、クレンジングするようにクルクルとなじませましょう。十分になじんだら、クリームと一緒にゴム汚れを拭き取って完了です。

この方法で掃除した後は、床がすべり転倒しやすくなります。特に小さな子どもがいる場合は、念入りに油分を拭き取りましょう。

フローリングをきれいに保つためのコツ

同じ築年数の家で、似たような暮らしをしていても、フローリングの汚れや傷み具合に差が出てくることがあります。

「汚れやすいかも…」という場合は、見直すべき部分があるのかもしれません。最後に、フローリング生活の注意点について確認しておきましょう。

フロアワイパーでササっと毎日掃除

フロアワイパーでのホコリ取りは、できるだけまめに行いましょう。「家中フローリングで範囲が広すぎる!」というのであれば、場所を限定して掃除するのがおすすめです。

汚れやすいリビングやダイニングだけでも毎日掃除しておけば、ホコリによるこびりつき汚れもつきにくくなります。掃除機をかけるのは、週に2~3回くらいでもかまいません。

定期的にワックスをかける

フローリングは「定期的なワックスがけ」で、きれいな状態を保ちやすくなります。フローリング表面に薄く膜が張ることでツヤが出て、汚れがつきにくくなるのです。

ワックスを雑巾に染み込ませてから軽く絞り、ムラにならないように薄く均一に伸ばしましょう。よく乾燥させる必要があるため、「晴れた日に窓を開けて行う」のが基本です。

なお、ワックスがけの頻度は「半年~1年に1度」が目安とされています。2~3年に1度は専用の「はく離剤」を使ってワックスを剥がして塗り直すと、ワックスに蓄積した汚れが取れて黒ずみもなくなるでしょう。

はく離剤を使う際には、ワックスがとけきらないうちに強くこすったり、必要以上に時間をおいたりするとフローリングを傷める原因になるため注意が必要です。

重曹を使うとワックスが剥がれる可能性がある

家の掃除に「重曹」を使っている人も多いでしょう。重曹は油汚れに強く、キッチン周りで大活躍します。しかし、フローリング掃除への使用は避けた方が賢明です。

アルカリ性の重曹を使うと、汚れだけではなくワックスまで剥がしてしまうかもしれません。むき出しのフローリングは汚れが染み込みやすいうえ、落としにくくなってしまいます。

ダメージを与えないように注意する

長く使えば物が傷むのは当然のことですが、できれば新品のきれいさをキープしたいものです。日常生活のなかでほんの少し気をつけるだけでも、フローリングのダメージは軽減できます。

フローリングは水分に弱いため、水拭きは「週に1度」くらいで十分です。観葉植物の周りや窓の結露などにも注意を払い、水分が落ちたらすぐに拭き取るようにしましょう。

熱にも弱いため、「遮光カーテン」を利用して日光を避けたり、ホットカーペットの下に「断熱マット」を敷いたりといった対策もおすすめです。

家具の脚と床の間には「クッション材」を挟むようにして、掃除や模様替えをするときには家具を引きずらないように十分注意しましょう。

まとめ

視界に入りやすいフローリングは、なるべくきれいにしておきたい場所です。とりわけ幼い子どもがいる場合は、床に転がって遊ぶことも多いため、汚れやゴミが気になるでしょう。

きれいを保つコツは、毎日の簡単な掃除を続けることです。まめに掃除しておけば、落としにくい黒ずみやカビ汚れを未然に防げます。帰ってきたときに「気持ちがいいな」と安らげる家になるよう、フローリングをいつもきれいにしておきましょう。