パートを始める前に知っておきたい税金のコト

第351回 今日の注目を紹介! ママニュースアンテナ
「子どもの塾の月謝も増えるし、やっぱり、働こうかしら…」。日々家計簿を見つめては、そうぼんやり考えているママも少なくないのでは?

ただ、その前に知っておくべきは税金の基礎知識。パートタイムでたくさん賃金を得た結果、夫の扶養を外れてしまい、結果、出費が多くなってしまったという話はよく聞きます。でも「扶養から外れるってなんで?」と、いまいちわかっていない人も少なくなさそうです。パートで働き始める前に、きちんと税金の知識をおさらいしておきましょう。

パートを始める前に知っておきたい税金のコト

●103万円が重要な金額。その理由を覚えよう

国税庁ウェブサイトによると、配偶者がパート収入を得た場合、その収入金額が103万円以下ならば、他に所得がなければ所得税はかからないということ。所得とは労働によって得る賃金のこと。パートによって得た給与所得を103万以下に抑えるのがひとつのポイントだ。

では、なぜ103万円なのか…というと、少しややこしいですが、説明すると次の通り。

給与が発生すると、通常発生した金額に応じて、所得税を納める義務が発生します。支払う所得税の計算は、もらった金額の全額で計算するのではなく、「給与収入―給与所得控除額」の金額で算出されます。例えば、年間100万円パート収入があった人が、給与所得控除額が40万円ならば、100万円-40万円で、60万円分の所得税を支払う、ということです。

この給与所得控除額は収入に応じて計算式が決まっており、収入が65万円に満たない場合は、65万円全額が所得控除となります。また、所得税には誰でも一律で基礎控除が38万円あり、65+38万円で、つまり103万円までは他に所得がなければ、所得税は発生しないということです。

また、夫婦の場合は、「配偶者控除」があります。「配偶者控除」とは、配偶者の所得金額が38万円以下であれば、納税者本人が「配偶者控除」を受けることができるというもの。具体的には、夫が妻の分の控除を受けて、税負担を減らすことができる、ということです。

ただし、夫がこの「配偶者控除」を受けるには条件が決まっており、その条件が(A)「配偶者の合計所得金額が38万円以下であること」。先ほどの計算式をもう一度見てみると、「基礎控除38万円+給与所得控除65万円」で、103万円までは所得金額が0円になるので、仮に妻の収入が103万円までなら、夫も「配偶者控除」を受けることができます。

ここで、(A)「配偶者の合計所得金額が38万円以下」を良く見てみると、合計所得金額が38万円以下 とあります。つまり、実際には103万円に加えて、38万円程度まで稼いだ141万円までは、「配偶者控除」が受けられるということになりますが、この場合は(B)「納税者本人の合計所得金額が1000万円以下であること」というもうひとつの条件があります。(A)(B)両方を満たしている場合は、141万円未満であれば、配偶者も控除によって税負担を減らすことができます。(A)(B)を満たしている場合は「配偶者特別控除」といいます。

しかし、130万円を超える金額を稼いでしまうと、自身で「社会保険料」を負担する必要があり、これがいわゆる「扶養を外れる」といわれている物です。社会保険料はかなりの出費になるので、注意が必要です。

働いてもらえる収入をきちんと計算しないと、収入は増えた分、夫は「配偶者控除」や「配偶者特別控除」が受けることができなくなり、妻は所得税が発生し…と、結果支出が増えた…ということもあり得ます。月々どのくらいの金額をパートで稼ぎたいのか、あらかじめきちんと考えるとともに、夫ときちんと相談して、損しないパートライフを過ごしましょう!
(文・奈古善晴/考務店)

※本記事の情報は執筆時または公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。