カルパスは本当に体に悪い?知っておきたい食品リテラシー

第1回 ネットに拡散する食品の危険・ウソホント!
「子どもが大好きなカルパスが体に悪いってホント?」「加工肉は添加物がたくさん入っているから、子どもには食べさせない方がいい?」など、ネット上に氾濫する“食品の危険”に関する噂。あふれる情報に過敏に反応し、あれもダメ、これもダメと、スーパーに行っても、「いったい何を買えばいいのか?」悩んでしまうママたちもいるのでは?気になる食品にまつわる噂の数々…いったいどこまで気を付ければいいのか?「NPO法人食の安全と安心を科学する会」理事長・山崎毅氏に聞いた。

●不安をあおる記事は、まずは疑うべき! 

「まず、未来を担うお母様方に申しあげておきたいのは、“食品に対する基本概念”を知っておいて頂きたいということ。食品とはいったいどんなものなのか…食品は医薬品とは違い、本来“安全である”ことが大前提で、ネット上に飛び回る噂を信じてしまうお母様方には、まず意識改革をして頂きたいと思います。世の中に出回っている“食品”と呼ばれるもの…まずこれは、ほとんどが安全な商品であると言えます。不安をあおる記事は、“摂取量”の観点が欠落していることが多いので、まずは疑ってかかるべき! これからの時代、消費者は、この疑う力を養い、正しい情報を科学的に判断する“消費者力”を高め、賢い消費者となるべきなのです」(山崎氏 以下同)

カルパスを始めとした加工肉には、発がん性物質が含まれているため、体に悪影響を及ぼすとも言われるが…。

「カルパスや加工肉に関わらず、すべてにおいてそうですが、添加物や保存料に敏感になっておられるお母様方は非常に多いですね。でも、食品に含まれる保存料や添加物が直接体に害を及ぼすとすれば、それは大問題。そんな危険な食品が、いまの日本市場に出回るわけがありません。もちろん、1日に100個食べたら栄養バランスの点で安全とはいえませんが、保存料や添加物はあくまで摂取する“量”が問題であり、1日に1回加工肉を食べたところで、まったく問題はありません」

添加物はがんを促すのか?

上のイメージ図にもあるように、添加物ががんに及ぼす危険性は、「野菜嫌い」などと比べると極めて低いことがよくわかる。添加物は、発がん性が判明すれば、許可されないルールになっている。添加物や保存料は、逆に人の命を守るために必要不可欠なものであると語る山崎氏。

「もしも添加物、保存料がなければ、生鮮食品以外で、今食卓に並ぶほとんどのものは流通しません。添加物や保存料があるからこそ、逆に食品の安全・衛生面が保たれ、食中毒を防ぐことができ、色鮮やかな食材たちが食卓を賑わせることができるのです。現在447品目の指定添加物が認可されていますが、各種動物実験でしっかりと安全性が確認され、使用基準も決められており、主要な添加物は、長年の食経験で健康被害の報告は皆無です。食品に入っている添加物の量は、人が一生食べ続けても健康への影響がないとされる“1日摂取許容量(ADI)”に比べてはるかに少なく、健康影響への心配はないと考えていいでしょう」

「食品の多くは安全」という正しいリテラシーを得て買い物をすれば、健康リスクに怯える必要はない。

(取材・文/蓮池由美子)

お話をうかがった人

山崎毅
山崎毅
獣医師、獣医学博士、「食品コンサルタント NPO法人食の安全と安心を科学する会」理事長
東京大学農学部卒、同大学院畜産獣医学専攻修了。獣医学博士号取得(東京大学大学院農学生命科学研究科)。2011年に「NPO法人食の安全と安心を科学する会」を創立、理事長に就任。食品コンサルタントとして開業し、現在に至る。全国各地で、食にまつわる講演、イベントなどを積極的に開催。
東京大学農学部卒、同大学院畜産獣医学専攻修了。獣医学博士号取得(東京大学大学院農学生命科学研究科)。2011年に「NPO法人食の安全と安心を科学する会」を創立、理事長に就任。食品コンサルタントとして開業し、現在に至る。全国各地で、食にまつわる講演、イベントなどを積極的に開催。