子のギャングエイジって何? その言動の特徴とは?

第1回 子どものギャングエイジをどう乗り切る?
“ギャングエイジ”という言葉をご存じですか? あまり耳慣れない親御さんも多いかと思いますが、実は児童心理学において、子どもの小学生のある時期の発達段階をそう呼ぶそうです。その時期とは?

「一般的には、小学校の中学年(3・4年生)~高学年くらいの時期の子どものことで、典型的な発達的特徴から、そのように呼ばれています」

そう話すのは、東京学芸大学教育学部准教授・松尾直博先生。では、その時期の子どもの発達的特徴とは?

「この時期は、まだ思春期ほどではありませんが、だんだん親から少しずつ離れ始めます。特徴としては、同世代の子ども同士でグループ(ギャンググループ)を作って、大人が居ないところでいろいろ遊んだり、活動するのが楽しい時期なんですね」(松尾先生 以下同)

親御さんたちも、小さいころに親に内緒で近所の空き地に“秘密基地”を友だち作って遊んだりした思い出ありませんか? まさにその時期が“ギャングエイジ”なのです。

「秘密基地を作りたくなるというのは、子どもの先々の自立の準備みたいなものですね。ずっと親が用意した生活でいいというのも、先々困りますよね? やっぱり自分で同世代の仲間と考えたり、行動を起こして自分たちだけの場所を作ったり、自分たちだけのプロジェクトを考えたりっていうのは、成人になるうえでとても必要な術なので、その準備の芽生えみたいなものですね」

ギャングエイジ

●ギャングエイジは、親子双方にとって“自立のスタート地点”

子どもの発達とともに、これまで親が絶対的存在だったのが、仲間からいい面も悪い面も非常に影響を受けやすくなり、親の言うことを聞かなくなったり、口答えをしたり自我も強くなる。つまり、親にとっては成長に喜びを感じる一方で、心配や不安、親子関係の変化などに戸惑う時期でもある。

「まさにこのあとの思春期、青年期に入っていく前段階として、親子双方にとって“自立へのスタート地点”となる重要な時期ではあると思いますね。そうはいっても、まだ完全な自立までには程遠い小学校3・4年生ですから、以前より手は離れても目は離せない時期ということを忘れてはいけません。親として“このくらいなら”と許容して見守る部分と、ここだけは絶対に譲れない! という部分をしっかり見極めて、導いていってあげてください」

子どもの成長の変化にオロオロすることないよう、子どもの発達段階をきちんと理解したうえで、親として毅然とした対応ができるように準備しておきましょう!
(構成・文/横田裕美子)

お話をうかがった人

松尾直博
松尾直博
東京学芸大学教育学部准教授。博士(心理学)
児童臨床心理学、スクールカウンセリング等 を専門領域とし、臨床心理士、学校心理士、 特別支援教育士スーパーバイザーとして、ま た幼稚園、小学校、中学校などでカウンセラ ーとしても活動している。  
児童臨床心理学、スクールカウンセリング等 を専門領域とし、臨床心理士、学校心理士、 特別支援教育士スーパーバイザーとして、ま た幼稚園、小学校、中学校などでカウンセラ ーとしても活動している。