夫婦喧嘩で夫が無視する心理と原因は?仲直りには妻の言動が重要

第1回 夫が無視したり、帰宅恐怖症になったりするのはなぜ?
ネットで「夫婦げんか」を検索すると、関連ワードで出る言葉がある。それが、「無視」。

「夫婦げんかをすると、無視する夫」に悩んでいる女性は多いようだ。けんかをすると、なぜ夫は無視に走るのか、恋愛セラピストのあづまやすしさんに聞いた。

「夫婦げんかの本当の原因は、実は結婚前から作られています。夫婦は、ジグソーパズルの凸と凹のように、感情を出す人と出さない人とが一緒になっている場合が多いもの。近視眼的に居心地良い相手と自然に一緒になることが多いですが、モノをはっきり言わない人のほうが本当は難しいんですよ」(あづまさん 以下同)

夫婦げんかの後、いつも夫が「無視する」「だんまりになる」のは、反論したくても、言うとさらに厄介になることがわかっているから。それは、「妻が夫に、話してもらう関係性を作っていない」せいもあるそう。

耳を傾ける女性

●ダンナの無視は、育児参加への協力度も表す

「こっちが話し合おうと言っても、何も言わないの」「話を聞こうとしても、ダメ」と言う奥さんも多いかもしれない。

「聞く姿勢は1回見せれば良いわけじゃありません。人は、相手の印象で行動を決めています。『話し合い』といっても、たいてい一方的に言うだけ、あるいはケンカになるだけになっていませんか? 話し合いじゃなく、むしろ日頃から『聞き合い』をする必要があるのです」

聞く姿勢を見せても相手が話さなくても、それを根気よく続けること。相手が抱いている「反論すればすぐ言い返される」という印象を変えるには、1年くらいかかると指摘する。

「あまりモノを言わない人であっても、本当は誰しも欲求を持っているものです。長い目でみれば、それが出てくるはず。モノを言わない人は、外に感情を出さないからこそ、それを上手に引き出さなきゃいけないのです」

ちなみに、夫婦げんかでは、育児が原因になることも多々ある。けんかしてだんまりになる夫は、子育てに非協力的なケースも少なくないそうだ。

「子育てにかかわる時間は女性のほうが長く、子どもを注意する場合、必然的に妻の役割になることは多いです。本来、妻も道徳や倫理の規範がしっかりしていないと、そうした叱り役をやるのは自分自身の負担になり、イライラするもの。すると、夫はイライラする妻をみて、余計にだんまりになります。でも、イライラを見て、叱り役を肩代わりしてくれるような男性なら、こうした問題は起きにくいです」

そもそも日本は母性的な社会と言われており、絶対的な規範がなく、「世間に見られて恥ずかしくないか」が基準になっている人が多いため、道徳や倫理が必要とされる「叱り役」をするのが不得手だそう。

無視する夫を改善する方法は、話を聞くだけでなく「褒める」ことも重要だという。例えば、たまには「叱り役などをやってほしい」と夫に頼んでみる。そして、行動に移してくれたら「ありがとう」と言い、褒める。プラスの動機づけをすると、夫にできることが増え、次第に妻が伝えたことに対する「無視」はなくなるようだ。
(田幸和歌子+ノオト)

お話をお聞きした人

あづまやすし
あづまやすし
恋愛セラピスト/パーソナルコンサルタント
東大大学院卒業、工学博士。現在は、恋愛セラピストとして男女問題の解決を心理学の立場からサポート。著書に『あなたの恋愛がうまくいかない本当の理由』がある。
東大大学院卒業、工学博士。現在は、恋愛セラピストとして男女問題の解決を心理学の立場からサポート。著書に『あなたの恋愛がうまくいかない本当の理由』がある。