医師が教える、妊娠中の食事で大切なことは?アレルギー予防はできるの?

医師が教える、妊娠中の食事で大切なことは?アレルギー予防はできるの?

この記事では妊娠中の食事について、医師監修のもと解説します。妊娠中は、つわりがあったり、妊娠していないときより必要な栄養が多くなるため、栄養が偏りやすいといえます。妊娠中の食事で大切なのは、食事に対してストレスを抱えないこと、こだわりすぎないことです。

妊婦が積極的にとりたい栄養素

葉酸

お腹の中の赤ちゃんの身体の発育を促し、母体の赤血球が作られるのを助ける働きをもつため、妊娠期や授乳期には必要不可欠な栄養素です。妊娠初期に葉酸が不足すると、赤ちゃんに二分脊椎症や無脳症など神経管閉鎖障害が起こる可能性があるため、厚生労働省は、妊娠を予定している、または妊娠中の女性は1日当たり0.4mg(400μg)の摂取を勧めています。また、遺伝子の働きを調整する栄養素でもあるため、妊娠前~妊娠12週までと限定せず、妊娠全期間を通して摂り続けたほうがよい栄養素です。葉酸はビタミンB群のひとつで、色の濃い葉もの野菜や果物、豆類に多く含まれています。妊娠したら、妊娠前より緑黄色野菜を多めに食べるように心がけるとよいでしょう。葉酸のサプリメントや栄養補助食品の利用については自己判断せず、必ず産婦人科医へ相談しましょう。食事から葉酸を摂ることが基本ですが、サプリメントや栄養補助食品を併用する場合も1日当たり1mgは超えないようにしましょう。

【葉酸をたくさん含む食材】
ほうれん草 小松菜 モロヘイヤ パセリ 小ねぎ 春菊 ブロッコリー オクラ 豆苗 枝豆 アスパラガス ニラ かぼちゃ アボカド 焼きのり ホタテ貝 納豆 きな粉 いちご ライチ マンゴー 甘栗

鉄分

妊娠初期(妊娠16週頃まで)は、つわりによって十分な食事を摂れないことで、鉄分が不足して貧血が起こりやすい時期です。妊娠中期以降(特に妊娠20週以降~)は、母体の循環血液量が増加に伴って血液が薄まった状態となり、赤血球を作るために必要な鉄分の必要量も増すために、生理的に貧血が起こりやすい時期となります。血液検査の結果、貧血と診断されないことはありますが、母体も赤ちゃんも鉄分を必要としていますので、妊娠全期間を通して食事から鉄分を摂るようにしましょう。

【鉄分をたくさん含む食材】
牛の赤身肉 卵 大豆 カツオ キハダ イワシ ほうれん草 小松菜

カルシウム

母体だけでなく、お腹の中の赤ちゃんの骨や歯をつくるために大切な栄養素です。牛乳やヨーグルト、小魚、大豆製品、海藻類などを毎日摂るように心がけましょう。カルシウムの吸収を促すビタミンD(例:きのこ、干ししいたけ、しらす、鮭、きくらげに含まれる)や、骨を作るのを助けるビタミンK(例:納豆などの発酵食品、肉、卵、ほうれん草、バジル、しそ)と一緒に摂ることがポイントです。

【カルシウムをたくさん含む食材】
牛乳 ヨーグルト プロセスチーズ ししゃも 桜エビ じゃこ 煮干し 木綿納豆
厚揚げ ひじき ワカメ 小松菜 チンゲンサイ 切り干し大根

妊娠中に注意したい飲み物

アルコール

妊娠中に母親がアルコールを飲むと、お腹の中の赤ちゃんの身体の発育、脳の発達へ深刻な影響を与え、胎児性アルコール症候群の赤ちゃんが産まれる可能性が高まります。妊娠中の飲酒量や赤ちゃんへ影響しない許容量は定められていませんが、乾杯程度でも飲酒することはやめましょう。

カフェインを含む飲み物

妊娠中はカフェインを分解や排泄する機能が低下していること、カフェインは胎盤を通過して赤ちゃんへ移行すること、カフェインが血管を収縮させて胎盤を流れる血流を低下させることから、飲むことは控えましょう。1日あたり合計300mg未満を目安に、摂取量を守れば飲むことは問題ありません。カフェイン入りというとコーヒーを思い浮かべる方が多いですが、緑茶や紅茶などの茶葉にも含まれます。カフェインが気になる方は、カフェインを含まない麦茶やカフェインレスのコーヒーや茶葉を選ぶことをおすすめします。

【カフェイン含有量の目安(100mlあたり)】
玉露 160mg
コーヒー 60mg
紅茶 30mg
煎茶 20mg
ほうじ茶 20mg
ウーロン茶 20mg
麦茶 0mg

エナジードリンクや栄養ドリンク

エナジードリンクや栄養ドリンクには、製品によって異なりますが、アルコールやカフェインが含まれていることがあります。効果・効能に「妊娠・授乳期の栄養補給」と記載されている製品は飲んでも問題ありませんが、あくまでも栄養補助食品ですので摂取量や頻度に気を付けましょう。

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