何度も作ってコツ発見! 我が家の秘伝チャーシューレシピ

何度も作ってコツ発見! 我が家の秘伝チャーシューレシピ

第3807回 はじめてライフ
子どもから大人までみんなが大好きな「チャーシュー(焼豚)」。 中でも豚バラを丸めて作る、いわゆる「ラーメン屋さんのチャーシュー」は格別のおいしさですよね。手間も時間もかかって、家庭ではとても作れない......そう思っている人に朗報です! コツをしっかり抑えておけば、家庭でもあのトロトロな豚バラチャーシューが簡単に作れますよ! ごはんのおかずに、お酒のアテに、もちろんラーメンのトッピングにも大活躍。試作を繰り返して行き着いた、「本当は教えたくない」我が家の絶品のチャーシューレシピをご紹介します。

材料はシンプルに! 砂糖はきび砂糖がおすすめ

【材料(15cm程度のチャーシュー2本分)】

●豚バラ肉(ブロック)=500~600g
●たこ糸(2メートル)
<煮汁>
●長ネギの青い部分=1本分
●しょうが=20g程度
●にんにく=2かけ
●しょうゆ=1/2カップ
●料理酒=1/2カップ
●砂糖(きび砂糖)=大さじ4
●水=1と1/2カップ

材料、調味料はいたってシンプル。しょうゆも料理酒も普段おうちで使っているものでOKですが、砂糖はきび砂糖がおすすめ! 白砂糖と違って精製されていないので、独特のコクやうまみがあり、おいしいチャーシューのタレが出来上がります。

豚肉下ごしらえは、作り始める30分前にはしておこう!

まずは豚肉の下ごしらえをしましょう。
チャーシューに限らず、塊肉を調理する際は冷蔵庫から出したてのものを使うのではなく、室温に出しておくのが鉄則です。冷蔵庫から出してすぐ加熱しても、中心が冷たいままで火が均一に入りません。ですので、作り始める30分前には冷蔵庫から出し、下ごしらえを済ませておきましょう。
①豚肉全体に、塩・こしょう(分量外)をふる。

②豚肉にラップをかぶせ、めん棒などでまんべんなく叩く。

この後の工程で肉を巻きやすくするために、少し薄くなるくらいまでめん棒で叩きます。肉がやわらかくなる効果も。
③長さを半分に切り、横方向に丸めてたこ糸でしばる。室温に30分~1時間ほど置く。

鍋に入れやすいサイズに切って、たこ糸でしばります。後の工程で脂身をしっかり焼き付けたいので、脂が表面に来るように巻きましょう。
この状態まで下ごしらえしてから30分ほど休ませると、塩・こしょうもなじみ、肉の温度も室温に戻ります。

余分な脂は「油」で落とす!

次の工程は、「焼き」です。豚肉に香ばしさを加え、余分な油を抜くためのとっても大事な工程。ここを丁寧にするか否かで、仕上がりがガラリと変わってきます。
④サラダ油大さじ2(分量外)をひいたフライパンに③を入れ、中火で全面がきつね色になるまで焼き付ける。

大さじ2のサラダ油となると多いように感じますが、この油は捨てるので大丈夫。それどころか、「油」が豚バラの余分な「脂」を引き出してくれるので、ここではたっぷり使いましょう!
脂を落とすためにサラダ油をたっぷり使うなんて一見矛盾しているようですが、油同士は溶け合う性質があるのです。油をひかないで焼くよりも、たっぷりの油で焼いたほうがより多くの脂が溶け出します。

豚肉をフライパンに並べたら、表面がカリッときつね色になるまでじっくり焼きましょう。
溶け出した肉汁が焼けることで起きる「メイラード反応」という反応が起き、肉の香ばしさやうまみ、風味がグンとアップするのです。

豚肉を取り出してみると、こんなに大量の脂が!
使ったサラダ油は大さじ2だけだと考えると、どれだけ大量の脂が豚肉から溶け出したのか分かりますね。
豚バラ肉はうまみがあってとてもおいしいですが、どうしても脂が気になります。高カロリーなだけでなく、味もしつこくなってしまうので、余分な脂は落としてコラーゲンやうまみだけ残しましょう!

最後のひと仕事! トロトロ食感のカギは「下ゆで」にアリ!

焼きが終わったので、いよいよ煮込みの段階――ではありません。さらにもうひと仕事、「下ゆで」も欠かせません。
④豚肉を鍋に入れ、かぶるくらいの水(分量外)を入れて火にかけ、弱火で1時間煮る。

後でまた煮込むのに、なんでこんなに時間をかけるのか……それは、豚肉をやわらかく仕上げるため。
チャーシューや豚の角煮を作ってみて、「何時間も煮たのに逆にパサパサになってしまった」なんて経験、ないでしょうか? これは、煮汁に入っている塩分の影響。塩には食材の水分を奪い身を引き締めるはたらきがあるので、調味料を入れた煮汁で長時間煮込みすぎると、かえって固くなってしまいます。
ですので、まずは調味料の入っていない状態でしっかり下ゆですることで、固くならず、トロトロのチャーシューに仕上がるのです。また、下ゆでしていると、残っていた脂とアクが大量に溶け出してきます。脂と肉のくさみを抜くためにも、下ゆでは欠かせません。
強く沸騰させると肉が固くなってしまうので、沸騰したら弱火を保ってください。また、蒸発して湯が減ってきたら水を足して常に水がかぶる状態にしましょう。1時間たったらお湯を捨て、鍋を軽く洗います。

ここまで来たらあとは簡単! 煮汁でコトコト煮込むだけ。

下ゆでが終わったら、いよいよ調味料を入れて煮込みます。ここまで来たら、あとは簡単! おいしいチャーシューまであと一歩です。
⑥鍋に<煮汁>の材料を入れ、豚肉を加えて落しブタをし火にかける。沸騰したら弱火にし、1時間煮る。

鍋に材料すべてを加えて沸騰させたら、あとは弱火で1時間煮込むだけ。クッキングシートなどで落しブタをし、肉が乾燥しないようにしておきましょう。
⑦煮汁が冷めるまで休ませ、完成!

できあがったらすぐに食べたいところですが、もうひと我慢! 冷めることで肉に味が染み込みますので、煮汁が冷めきるまで休ませましょう。また、温かいまま包丁を入れるとチャーシューがボロボロと崩れやすいので、冷たい状態のほうがきれいにカットできます。

丁寧に作ったチャーシューは、お店で食べるチャーシューをもしのぐおいしさ! 脂をしっかり抜いたので、食感はトロトロなのにしつこさは一切なし。肉のパサつきもまったくなく、しっとり、やわらかな極上チャーシューが出来上がりました。

まずはチャーシューを単体で楽しんで、次の日はラーメンにのせたり、角切りにしてチャーハンの具材にするのも最高です! タレが焦げるくらいに炙って食べるともう、ごはんもビールも止まりません。
タレにも豚においしさがつまっているので、ラーメンやチャーハンの味付けに使ったり、煮たまごを漬けたり、色々楽しめますよ。ああ、書いてるうちにまた食べたくなってきた! 今度は倍量の1kgを仕込んで、たっぷり絶品チャーシューを楽しみま~す!

(文・写真・レシピ:よしもとこゆき)

※本記事の情報は執筆時または公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

●お話を聞いた人

よしもとこゆき
フードコーディネーター、ライター。世界にもっと、「美味しい」魔法を広めるため、レシピ開発やスタイリング、飲食店プロデュースなど食に携わる仕事を中心に、デザインやイラスト、コラムの執筆など幅広く活動中。
フードコーディネーター、ライター。世界にもっと、「美味しい」魔法を広めるため、レシピ開発やスタイリング、飲食店プロデュースなど食に携わる仕事を中心に、デザインやイラスト、コラムの執筆など幅広く活動中。