ペットとのふれあい、子どもの心をどう変える?

第1回 ペットと子どもの気になるカンケイ
ペット大国といわれる日本。「全国犬猫飼育実態調査」(平成26年)によれば、全国で犬は1034万6000頭、猫は995万9000頭が飼育されているそうです。

なお、前出の調査では、16歳未満の子どもがいる家庭を対象にしたアンケートも実施。ペットを飼うことで「(子どもの)心が豊かに育っている」か否かの問いに対して、「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した人の割合は61.3%に上ったそう。

●ペットを通して命に対する責任を持つ

かわいいペットは癒しを与えてくれるだけでなく、子どもの成長にも良い影響を与えるといわれています。では、具体的には子どもにどのような好影響があるのでしょうか? にほんまつ動物病院の二本松昭宏院長に話を聞きました。
 
「一番は、やはり命の大切さを感じることができるということです。触ると温かく、呼吸をして、ときに病気になる。そして、やがて死を迎えます。子どもにとってはショッキングなことですが、ゲームのようにリセットできないリアリティを、強烈に感じるのではないでしょうか。そうした命あるものとの触れ合いを通して、自分以外の命について責任感が芽生えると思います」(二本松院長、以下同)

自分より小さく儚い命の存在は、慈しみの心を育むのに最適とのこと。ペットを飼うことが、人としてもっとも大切なことを学ぶ入口になるのかもしれません。

ペットと子ども

●ペットとの暮らしから無条件の愛情を知る

また、他者を思いやる想像力も身につくと二本松院長は言います。

「ペットの様子がいつもと違ったときに、『お腹空いているのかな?』『何か困っているかな?』などと考える。すると自然に、相手を思いやる想像力が育まれます。同時に、『この子が元気だと自分も嬉しい』という感覚を持つようになり、いわゆる無条件の愛情が自然と身についてくると思います。幼少期にそうした豊かな心を育てることで、成長してからも自分の利益だけではなく、相手の利益も考えられる大人になっていくと思います」

他者の気持ちに敏感になることは、コミュニケーション能力の向上にも役立ちそう。子どもとペットのふれあいは、心とスキル、2つの側面から大いにメリットがありそうです。

(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)

お話をお聞きした人

二本松昭宏
にほんまつ動物病院 院長
京都府福知山出身。‘97年、北里大学獣医畜産学部卒。兵庫などで代診ののち、地元福知山に戻り開業。福知山市動物園の動物も診察している。
京都府福知山出身。‘97年、北里大学獣医畜産学部卒。兵庫などで代診ののち、地元福知山に戻り開業。福知山市動物園の動物も診察している。