子どもに悪影響なペットの飼い方とは?

第2回 ペットと子どもの気になるカンケイ
幼い子どもがペットと触れ合うことは、命のリアリティを感じさせ、優しい心を育むなどのメリットがあります。しかし、その一方で、親がしっかりペットの面倒を見てやらないと、逆に我が子の心にマイナスの影響を与えてしまうこともあるそう。

子どもがいる家庭でペットを飼う場合の注意点について、にほんまつ動物病院の二本松昭宏院長に伺いました。

●親が責任ある飼育姿を子どもに示す

「ペットとお子さんがいい関係をつくるためにも、親が責任を持って『命あるものを大切にする』姿を見せることが大事なんです。たとえば、ペットの調子が悪くてもほったらかしにしておくとか、毎日きちんと餌をやらないとか、親が大切に世話をしていないと、逆に子どもに悪い影響を与える可能性があります」(二本松院長、以下同)

親がペットをどのように扱うか、子どもはよく見ていると二本松院長は言います。たとえば、世話を放棄して捨ててしまったりすれば、子どもの心にも深い影を落としてしまうようです。

「たとえば、猫をちゃんと避妊していなかったから子どもができてしまい、育てられないからといって捨てたり、保健所に連れていくという無責任なことをする人もいます。子どもはそういう親の姿を見て、『動物の命に対して無責任なことをしてもいいんだ』と思うようになります。そうならないためにも、最後まできちんと面倒を見きれるのかしっかり考えておくことが大切です」

ペットから子どもへ、キケンな病原菌

●ペット飼育を途中で投げ出さないために必要なこと

途中で「やっぱり育てられない…」なんてことにならないためには、ペットの飼育によって起こりうる事態を想定しておくことが重要。二本松院長は、最低でも以下3つの項目を確認したうえで、飼えるかどうか判断するべきといいます。

(1)家のどこで飼うか決めておく…ペットの成長も踏まえて、どこのスペースが適切か考える。

(2)飼う上で最低限必要なことをリストアップ…ワクチンの接種や定期健診、今後どんな備品がいるかなど想定できるものはすべて書き出してみる。

(3)年間どれくらいお金が必要か計算…ペットを飼うにはそれなりの費用がいるもの。経済的に無理ではないかどうかなどを確認する。

こうした項目に基づいて、本当に飼えるかどうかをまずは家族で話し合ってほしいと二本松院長。

また、実際に飼うとなった場合は、子どもにも世話を手伝わせることが大切。

「子どもにも飼うことの責任を負わせることが重要です。子どもが『めんどくさいから世話したくない』と言っても、できることを決めて日課としてやらせるようにしましょう。親がすぐに助け舟を出すと、子どもは『最後は親がやってくれる』と思ってしまうので、できる限り本人に任せてあげてください」

可愛がるだけでは、ペットを育てていくことはできません。子どもの模範になるためにも、まずは親がペットを飼うことへの責任ある態度を示していくことが必要なようです。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)

お話をお聞きした人

二本松昭宏
にほんまつ動物病院 院長
京都府福知山出身。‘97年、北里大学獣医畜産学部卒。兵庫などで代診ののち、地元福知山に戻り開業。福知山市動物園の動物も診察している。
京都府福知山出身。‘97年、北里大学獣医畜産学部卒。兵庫などで代診ののち、地元福知山に戻り開業。福知山市動物園の動物も診察している。