まだ間に合う? 子どもの英語教育

第1回 子どもの英語力を高めるには?
グローバル化の波を受け、幼少期の英語教育の重要度が高まっています。2020年度には、小学校3年生から英語活動は必修に、5・6年生は成績がつく教科になることが決まっています。

また、最近では、英語学習を取り入れる幼稚園や保育園も増加。そんななか「もしかしたら遅れを取ってしまったかも…?」と、不安に感じているママたちもいるかもしれません。そこで、英語教育に詳しい上智大学言語教育研究センター長の吉田研作教授に、幼少期の英語の学び方について話を聞きました。

●英語を慣れ親しむ環境づくりの重要性

吉田教授によると、そもそも子どもに英語を“学ばせる”という考え方を改める必要があるとのこと。

「小さい子どもの場合は、外国語を“学ぶ”という理解ではなく、歌やアニメなど遊びの延長で英語の音に親しむということだけで十分。“慣れ親しむ”ということが大切なのです。『単語をいくつ覚えられた』というのは、幼少期に必要ありません。学習ありきではなく、まずは語学に触れる喜びを実感させることを優先的に考えましょう」(吉田教授 以下同)

最近では、英語教育のスタートは早ければ早いほどいいという考え方もあるようです。しかし、吉田教授はこの風潮に異を唱えます。

「年齢は関係ありません。小さいときからやらないと上達しないというのは間違いなのです。ただ、学習に移行する中学校期の前に、語学に対する好奇心やモチベーションを育むことはメリットかもしれません。そのためには、学習ありきではなく、家にいるときに英語がある環境を作ってあげるというのが大切ですね」

まだ間に合う? 子どもの英語教育

●親も子ども一緒に英語を楽しむ

では、子どもが英語に慣れ親しむ環境づくりをするうえで、親ができることとは?

「親がお子さんと一緒に楽しみながら英語を使ってみることですね。小さいお子さんがどんなときに楽しそうにしているか思い出していただくと、お父さんお母さんと遊んでいるときがほとんどではないでしょうか。英語も同じで、『あなただけやりなさい』と子どもだけにやらせようとするとストレスになり、その反動で英語を嫌いになってしまいます。早く始めた分、早く嫌いになってしまう。そうならないためにも、英語の歌を歌うとか、アニメを見るということを、一緒にやっていただきたいと思います」

親も学ぶという姿勢を示すことが大事と吉田教授。あくまでも英語はコミュニケーションツールのひとつ。そうした意味でも、一番身近な家族との触れ合いのなかに、自然に溶け込ませる環境を作ることが大事なのかもしれません。

(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)

お話をお聞きした人

吉田 研作
上智大学 言語教育研究センター 言語教育研究センター長