夫が発達障がいだったら、どう乗り越える?

第2回 もし、夫が発達障害だったら
コミュニケーションが上手くできない、空気が読めない発言をくり返すなどの特徴がある発達障がい。もしも自分の夫が発達障がいだと分かったら、妻はどのように支え、乗り越えればいいのでしょうか? 大人の発達障がいに詳しい、横浜心理ケアセンター代表の椎名あつ子先生に話を聞きました。

●発達障がいが疑われたらまず適切な診察を

椎名先生によると、きちんと診察を受けさせること、そして普段のちょっとした心掛け次第で乗り越えられるといいます。

「発達障がいは脳機能の問題なので、完治することはありませんが、ADHD(注意欠陥)など一部の症状については薬物療法も適用されます。まず発達障がいが疑われる場合は、専門家によるカウンセリングや精神科の受診を検討されるといいと思います。また、“障がい”という言葉が使われているものの、仕事以外の日常生活に大きく支障をきたすようなことは少ないです。ただ、コミュニケーションの難しさによって妻のストレスが溜まり、離婚にいたるケースもあるので、発達障がいについてしっかり理解した上で夫との関係を築いていくことが大事でしょう」(椎名先生、以下同)

●ちょっとした心掛けでお互いのストレスを減らす

では、発達障がいの夫とコミュニケーションを取るうえで、どのようなことが大事になるのでしょう?

「曖昧な表現が苦手なので、選択肢を2択とか消去法で提示します。たとえば、夕飯に何を食べたいか聞きたい場合、『今日夕飯どうする?』という質問ではなく、『今日の夕飯は和食にする?洋食にする?』など、できるだけ分かりやすい質問に落とし込むことで、相手のストレスを軽減させることができます」

感覚的な会話にはなかなか適応できないことから、論理的な言い方をすることでお互いの意思疎通も円滑になるそう。また、発達障がいだからこその良い面を活かすように接することも大事だといいます。

夫が発達障がいだったら、どう乗り越える?

「頼み事をするとしっかりやり遂げてくれるのも、発達障がいの人の特徴です。細かく指示をすると正直に素直に手伝ってくれるので、面倒かもしれないですが、買い物を頼むときは具体的な商品名を伝えるとか、掃除をしてもらいたいときは、どこをどのように掃除してほしいというように伝えましょう」

発達障がいという名前だけ聞くと深刻に捉えがちですが、夫婦間のコミュニケーションのストレスを減らすには、妻の努力が必要になりそうです。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)

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お話をお聞きした人

椎名あつ子
椎名 あつ子
横浜心理ケアセンター代表 心理カウンセラー
2000年にカウンセリングルーム「横浜心理ケアセンター」を設立。 海外駐在でのさまざまな経験を活かし、治療目的のカウンセリングを中心に、特に、親子や夫婦などのファミリーカウンセリングを得意とする。その他、企業向け講演や従業員支援プログラム(EAP)なども行い、各種医療機関や弁護士と協力体制のもと、多種多様な心の問題に対応している。 横浜心理ケアセンター 住所:〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町256-609 Tel:045-226-9733
2000年にカウンセリングルーム「横浜心理ケアセンター」を設立。 海外駐在でのさまざまな経験を活かし、治療目的のカウンセリングを中心に、特に、親子や夫婦などのファミリーカウンセリングを得意とする。その他、企業向け講演や従業員支援プログラム(EAP)なども行い、各種医療機関や弁護士と協力体制のもと、多種多様な心の問題に対応している。 横浜心理ケアセンター 住所:〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町256-609 Tel:045-226-9733