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しつけと「虐待」の線引きはどこ?

第1回 もしかして虐待? そのとき大人がすべきこと
「帰ったら(虐待を)やろうね」と日頃からLINEでやり取りし、3歳の娘を虐待死に追いやった母親とその恋人。園児に無理やり大量のワサビを塗りつけた唐揚げを食べさせた保育士。生後2カ月の息子の泣き声にイラついて暴行死させた22歳の父親…。

耳をふさぎたくなるような虐待事件の報道が、年明けから相次いでいる。なぜ加害者である大人たちは、か弱い幼子にそんな残忍な行為ができるのか? 彼らはある日突然、虐待を始めてしまうのだろうか? 

社会福祉士、精神保健福祉士、学校心理士などの資格を持ち、児童虐待の現場に詳しい亀田秀子さんに話を聞いた。

泣く女の子

●虐待が起こる理由

「虐待はある日突然始まるものではありません。根底にあるのは保護者の育児不安・ストレス。それが解消されない状態が続いていくなかで、『泣き止まない』『反抗した』などの些細な出来事が引き金となり、怒りが生じて、暴言・暴力が引き起こされてしまうのです」(亀田さん 以下同)

だが育児にまつわる不安やストレスは、多かれ少なかれたいていの親は抱いているはず。そもそもどこまでが「しつけ」でどこからか「虐待」になるのだろう?

「その線引きは大変難しいものがありますが、あえて定義するなら子どもの立場に立って考えたときに、『子どもが心理的に苦痛を感じている、体に傷がついている』などは虐待といえるでしょう。また、子どもの心身の発達を阻害する行為も虐待にあたります」

言い方を変えると、「子どもが今まさに自力でできることを課題にする」ことが「しつけ」であり、「到底、頑張ってもできない理不尽な課題を与える」ことが「虐待」なのだという。

ふさぎこむ女の子

●子どもを不潔にしておくことも虐待?

一方で、目に見える暴力ばかりが「虐待」ではないという。

「虐待には大きく4つの種類があります。殴る蹴るなどの『身体的虐待』、わいせつ行為を強要する『性的虐待』、暴言や罵声を浴びせる『心理的虐待』、そして『ネグレクト』。4種類の虐待のなかでも、もっとも判断に迷うのが、この“消極的な虐待”と呼ばれるネグレクトです」

ネグレクトとは「養育の放棄・怠慢」のこと。たとえば、食事を与えない、風呂に入れない、日常生活の世話を怠るなどもこのネグレクトに分類される。

「養育そのものはある程度なされているけれども、毎日同じ服を着せている、髪や体を不潔なままにしている、連絡帳に目を通している様子がない、子どもの問題行動に他人のような態度を示すなど、気配りでバランスを欠いている状態。これがネグレクトです」

そのほか、病気にかかっても病院へ連れて行かない。子を家に置いてたびたび外出する。これらの行為もすべてネグレクト=虐待にあたる。これらは家庭の経済力や親の教育レベルとも関連が大きいといわれている。

しつけと虐待の線引きはとても曖昧だ。けれど何かのきっかけで不幸や不運が重なれば、誰だってその境界線をふっと越えてしまう日が来るかもしれない。そうならないためにも、虐待としつけの違いはしっかり理解しておこう。
(阿部花恵+ノオト)

お話をお聞きした人

亀田秀子
亀田秀子
十文字学園女子大学(非常勤講師)、 春日部市教育相談センター(学校心理士) 、子ども相談研究所♪天使のとまり木♪
社会福祉士・精神保健福祉士・学校心理士 。公立小学校教員を経て、教育センターのスクールソーシャルワーカー・学校心理士としてカウンセリング、相談援助を展開。
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