春に注意したい子どものSOS行動

第3回 「環境の変化に弱い子」への接し方
環境が変わる春には、ストレスや不安から、子どもにさまざまな変化が起こりがち。特に環境の変化に弱い子は、どんな風にSOSを出すのだろうか。

「SOSの出し方は、人それぞれです。まずは自分の子がどんなタイプかを知っておくことが大切です」と言うのは、淀屋橋心理療法センター所長の福田俊一先生。

「環境の変化に弱い子には、人一倍気を遣うタイプも多いです。その場合、親に心配をかけちゃいけないと思い、自分を抑える傾向がありますが、体にSOSが出ることも多いのです」(福田先生 以下同)

多い症状は「お腹を壊しやすくなる」「頭痛を訴える」「ジンマシンなどが出る」などだそう。これらの場合、病院に行っても何も診断がつかないことが多いという。

「ただし、自分で怒りや不満などを表面に出せるようになると、症状が治ることも多いんですよ」

涙目の女の子

●長所を伸ばすうちに短所が変わり、SOS行動が改善

また、落ち込んでふさぎこむタイプの場合、急に親と話さなくなるのが特徴という。

「ふさぎこむ子の場合、何があったのかなどと直接聞くのではなく、アニメでもゲームでもなんでも良いので、その子の得意分野の話にまず付き合ってあげると、次第にいろいろ話し始めますよ」

なかには「もう学校に行かない!」「クラスでうまくいかない」などと訴える子もいるけど、親はどう接するべき?

「訴えるタイプの子は、基本的に日頃から学校の様子などもよく話すので、まずはしっかり話を聞いてあげること。そのうえで、イジメられているのか、仲間に上手く入れないのかなど、情報を集めましょう」

ただし、子どもは気持ちをうまく表現できないことや、逆に、自分にとって都合の良いことだけ話すこともあるもの。

だからこそ、子どもの言うことをすぐに鵜呑みにするのではなく、「学校の先生に相談してみる」「周りのママ友などにそれとなく聞いてみる」など、多角的にみる必要があるそうだ。

また、親としては「変化になじめない」などの短所ばかり気になりがちだが、それを分かったうえで、無理に変えようとするのではなく、まずは長所を伸ばすサポートをしてあげることがオススメだそう。

「不思議なもので、長所を伸ばすとイキイキしてきて、自然と短所も良い方向に変わってくることがあるのです」

子どもが発するSOSは注意深く見守ってあげながらも、まずは他愛のない話をたっぷり聞いてあげ、「長所」に目をむけてみることが子どもの気持ちをラクにするのかも。
(田幸和歌子+ノオト)

お話をお聞きした人

福田俊一
福田俊一
淀屋橋心理療法センター 所長
大阪大学医学部卒。大阪大学精神神経科、大阪府立病院神経科勤務を経て、米国フィラデルフィア・チャイルド・ガイダンス・クリニックにて家族療法を学ぶ。83年に開院。
大阪大学医学部卒。大阪大学精神神経科、大阪府立病院神経科勤務を経て、米国フィラデルフィア・チャイルド・ガイダンス・クリニックにて家族療法を学ぶ。83年に開院。