ママの依存症増加中!「アルコール依存症」チェック項目リスト

第1回 急増中!ママの依存症
育児や家事に理解のない夫の言動にイライラし、気がつけば、ゲームやパチンコ、アルコールに逃げている…。そんなママは要注意。ひょっとすると、あなたはすでに依存症の魔の手に襲われているかも? そこで、『だいじょうぶ!依存症』(現代書館)を執筆し、現在は精神保健福祉士として活動を続ける高部知子(元わらべ)氏にインタビュー。専門家の立場から、依存症の恐怖を語ってくれた。

●“生きづらさ”を感じる人が依存症に陥りやすい

「依存症は、誰でも陥る可能性があると私は考えます。人生が破綻するところまで行ってしまうのか…それとも、どこかで踏み止まり、無事社会復帰できるようになるのか…ここに大きな差があり、その差は、その人の周りに“応援団”がいるかどうかという点に尽きます。応援団がサポート体制にあれば、例え依存症になっても、回復することは可能です。ただし、このサポート方法が間違っていることがよく見受けられます。依存症と戦うには、自分、そして周りの応援団が“正しい知識”を身につけることが大変重要なのです」(高部氏 以下同)

高部知子

高部氏は、「“依存症になりやすい人”には、もともと以下のような感情行動障害があると考えられる」と説く。

1.感情調節障害
強烈な感情にフリーズしてしまう。自分の感情を表現する言語が乏しい。

2.セルフモニタリング障害
自分の感情や疲労に鈍くなっている。自分の感情や疲労を自覚できない。

3.セルフケア障害
危険・不安を感じる能力が未発達である。

もともと持っている感情行動障害のために、様々な生活場面において“生きづらさ”を感じやすく、自身の心の痛みを和らげるために、依存物質に頼るようになるケースがあるという。

「特に“H→hungry(空腹)”“ A →angry(怒り)”“ L→ lonely(寂しさ)”“ T→ tired(疲労)”、この4つの場面に遭遇したとき、依存症が進行しやすくなります。専門家の間では、これを依存症の危険引き金“HALT(ハルト)”と呼んでいます」

高部氏が、世界保健機構WHOが示している「アルコール行動障害」についての診断基準を紹介してくれた。

【過去1年間に次のことがありましたか?】

□1.飲酒したいという強い欲望、または強迫感がある。
□2.飲酒開始、飲酒終了、飲酒量のどれかのコントロールが困難である。
□3.飲酒を中止または減量した時の生理学的離脱状態(手の震え、発汗、不眠、イライラ、麻痺、吐き気など)がある。
□4.耐性(飲み始めた頃の1.5倍以上飲まないと酔えないなど)の証拠がある。
□5.飲酒のために他の楽しみや趣味を無視するようになり、飲んでいる時間が多くなったり、酔いから覚めるのに時間を要するようになる。
□6.明らかに有害な結果が起きているのに、飲酒する。

「現時点では、これが世界的な基準においての“アルコール依存症確定診断基準”となります。どれか1項目でも当てはまれば、専門家の指導を受ける必要があり、3項目以上で、アルコール依存症が疑われます」

アルコールは危険な薬物であり、脳の理性や記憶、情動、最後には生命にかかわる部分を麻痺させると語る高部氏。脳が委縮することから「アルコール性認知症」が増えているとも言われている。もしもチェック項目が当てはまったら…隠さずに、いち早く専門機関を訪れてほしい。

(取材・文/蓮池由美子)

お話をうかがった人

精神保健福祉士・高部知子が依存症を語る
高部知子
悠學塾主宰
1967年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒。心の専門家を育てる「悠學塾」主宰。医療法人「京都十全会グループ」顧問。中学生の時にスカウトされ、NHK『ガラスのうさぎ』でデビュー。以後、『積木くずし』や3人ユニット「わらべ」などで活躍。精神保健福祉士、認定心理士、東京都認定薬物専門講師、浄土宗西山深草派教師などの資格をもち、全国で講演や教育セミナーを行っている。
1967年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒。心の専門家を育てる「悠學塾」主宰。医療法人「京都十全会グループ」顧問。中学生の時にスカウトされ、NHK『ガラスのうさぎ』でデビュー。以後、『積木くずし』や3人ユニット「わらべ」などで活躍。精神保健福祉士、認定心理士、東京都認定薬物専門講師、浄土宗西山深草派教師などの資格をもち、全国で講演や教育セミナーを行っている。