“実家のゴミ屋敷化”に悩む人が急増中!

第1回 実家がゴミ屋敷化! どうしたらいい?
実家に帰るたびに、やたらモノが増え、あちこちに溢れかえっている。廊下や玄関にも不要なものが山積み。ゴミも捨てられないまま部屋の隅に置かれている。掃除もなんだかゆき届いていない…。そんな実家の変化に困惑したことはありませんか? 実は今、実家のゴミ屋敷化に悩む人が急増しているという。

「年々、実家の片づけ問題で相談にいらっしゃる方が増えています。こうした実家に忍び寄る変化に気づきながらも、“まだうちの親は元気だから”と、思っている方が多いのですが、先延ばしにしてしまうと大変な事態になってしまいます」

そう警告するのは、片づけの専門家・渡部亜矢さん。実家の片づけを先延ばしにするツケは、いずれ自分たちにふりかかってくるという。

「生きている時間とともに思い出や物は増えていきますね。最近では、100円ショップなどで安くて便利な物が簡単に手に入り、通販など家に居ながらにして物が手に入ります。その一方で、親の気力や体力は衰えていくので、ゴミ捨てや片づけはなかなか大変で進まず、物が家にどんどん溜まっていってしまうのです」(渡部さん 以下同)

実は、親世代が物を溜めこみ、捨てられないのには子世代にはなかなか理解してもらえない大きな理由があるという。

「われわれ子世代は、モデルルームのようなスッキリとした家を理想とし、快適と考えますね。しかし、戦中の物がない時代を生きてきた親世代にとって、物は豊かさの象徴。つまり、物があること=いいこと。物に囲まれてこそ、安心なんです。だから、“捨てる”という発想がそもそもないのです。捨てなければならないときは、いつも“まだ使える”何かに使える”“高かったから”“いただき物だから”と、捨てなくていい理由を常に探してしまうんです。しかし、このままの状態を放置しておくと、ますます物は増え収拾がつかないことになってしまいます。また、物が雑然としてくれば安全面などにもいろいろ問題が出てきます」

“実家のゴミ屋敷化”に悩む人が急増中!

また、意外と知られていないことは、親が亡くなったあとの遺品整理が、想像以上に大変だということだそう。

「親を亡くしたとたん、これまでゴミと思っていた物もすべて思い出となり、悲しさで物を処分しづらくなる。さらに、溢れかえった物のなかから財産関係の物や貴重品を探すだけでもひと苦労。また、不要品の処分・整理に数十万かかるなど、経済的負担も覚悟しなければならなくなります。だからこそ、実家の片づけは早めにとりかかっておいたほうが、親のためにも子どもたちのためにもいいのです」

では、いつ頃から実家の片づけをはじめたらいいのでしょうか? そこで、実家の片づけをはじめるときのサインを挙げていただきました。

【実家の片づけをはじめるサイン】

●冷蔵庫に賞味期限切れの食品が入ったまま
●趣味や好きなことをする回数、時間が減った
●リビングの親がいつも過ごす場所が乱雑になってきた
●まとめ買いが増えた
●レジ袋に入ったままの物が増えた
●床置きの物が増えた
●掃除がゆき届いていない

「冷蔵庫に賞味期限切れの食品が入っていたり、レジ袋に買ったものが入ったまま、床置きのものが増える…などは、危険がともなうので要注意。毎日の居場所が乱雑になる、趣味の時間が減る、まとめ買いが増えた、掃除がゆき届いていないなどは、親の体力・気力の衰えを知るカギにもなります」

ぜひ、実家の片づけの重要性を念頭に置きつつ、実家に帰省する際は親御さんの様子・家からサインを見逃さないようにしてください!
(構成・文/横田裕美子)

お話をうかがった人

渡部亜矢
渡部亜矢
実家片づけアドバイザー 
銀行、出版社に勤務後、2012年片づけ上手塾エグゼカレッジ表参道校を設立、2016年一般社団法人実家片づけ整理協会の代表理事となり、「実家片づけアドバイザー」養成講座を開講。
銀行、出版社に勤務後、2012年片づけ上手塾エグゼカレッジ表参道校を設立、2016年一般社団法人実家片づけ整理協会の代表理事となり、「実家片づけアドバイザー」養成講座を開講。