「えっ、こんなモノまで!?」子どもの誤飲事故の盲点

第1回 近年、多発している子どもの事故の盲点と対策とは?
5歳以下の幼児に多いという誤飲事故。なかでも、3歳以下の幼児は80%を占めるそう。発達段階として6カ月ごろになると、手の届くモノはなんでも口に入れてしまうようになり、親御さんはより注意が必要になる時期。そこで、“えっ、こんなモノまで?”と驚かされる事例から、まさかの盲点、防止対策について、子どもの危険回避研究所の所長・横矢真理さんにお話を伺いました。

「お子さんが口にモノを入れてしまう時期は、親御さんも十分に注意していらっしゃると思いますが、“盲点”があるということを知っておくことが大事です。消費者庁に報告が寄せられた子どもの事故の事例を配信している“子ども安全メール”という情報メールがあるのですが、そちらの新しい誤飲の注意喚起では、プラスチックのスプーンをお子さんがかじっているうちに割れて、その破片を飲み込んでしまったという事例でした。子どもに持ちやすいからとプラスチックにしがちですが、こういう盲点があるということなんです」(横矢さん 以下同)

さらに、このほかにも、盲点となる事例をいくつか挙げてくださいました。

●紙切れ、海苔、プリクラシールなど
「これらの破片は、のどの奥にペタンと張り付いてしまい、窒息につながる恐れもあるんです」

●スマホなどのイヤフォン
「最近は、スマホで音楽を聴いたりするママも多いので、それをお子さんがしゃぶっているうちに、パーツが脱落したり切れたりして誤飲する可能性があります。」

●お酒類
「甘いフルーツ味の缶チューハイなどは、子どもがジュースと思って誤飲してしまうので気をつけてください」

●ゴミ箱に捨てた物
「親御さんがゴミ箱に捨てた危険物を誤飲した事例などもあります。危険な物は廃棄するまで別のところに保管し、ゴミ箱の置き場所にも気をつけてください」

子どもの誤飲事故

そして、やはり気をつけなければいけないのが、危険物質を含むボタン電池と誤飲事故の第1位となっているタバコ。

「タバコについては、吸う方がいるご家庭はもちろん日々注意が必要ですが、吸わないご家庭が盲点です。例えば遊びにきたお客さんが、お酒の缶などを灰皿にして、それをお子さんが誤飲してしまう危険性もありますので油断は禁物です。また、ボタン電池は、飲み込むと放電による化学やけどにより、短時間でも食道などに潰瘍ができて穴が開くなど大変危険です。親御さんがスマホなどにつけているキーホルダーには、防犯グッズなどボタン電池が入っている物もあり、お子さんが口に入れてしまう可能性がありますので、気をつけましょう」

さらに、ここ数年、“えっ、こんな物まで!?”という驚くべき誤飲事例が報告され、親御さんの間でも話題に。

「トイレの便器の中に貼り付けるジェル状の芳香洗浄剤を、お子さんが誤飲してしまう事例もここ数年多発しています。えっ、こんな物まで? と思われるかもしれませんが、よく考えてみてください。ちょうどつかまり立ちしたお子さんの目の高さなんですね。そこにキラキラしたいい香りのジェルがあったら、好奇心旺盛な幼児にとっては魅力的ですよね」

子どもの目の高さになってみて、その視界にどんな危険があるのか確認し危険を取り除くようにすることが必要だと、横矢さんは話します。

「親の想定を超えることをするのが子どもです。特に、自宅に新しいグッズなどを導入した際は、その危険性、危険防止対策についてその都度考えるように意識し、消費者庁や国民生活センターなどの注意喚起情報なども定期的に得ておくこともお子さんの事故の回避につながります!」

やはり、あらゆる観点から幾重にも防止対策をしておくことが、想定しにくいお子さんの危険回避につながるようです。
(構成・文/横田裕美子)

お話を伺った人

横矢真理
横矢真理
子どもの危険回避研究所・所長
平成11年より、「親子で生きる力を養う」ためのサイト「子どもの 危険回避研究所」(http://www.kiken-kaihi.org/)を主宰・ 運営し、子どもに関わる事故・犯罪・災害・虐待・環境問題など の情報を提供。全国各地での講演活動、新聞・雑誌への寄稿 など、幅広いフィールドで「生活安全教育」の普及活動を続けている。
平成11年より、「親子で生きる力を養う」ためのサイト「子どもの 危険回避研究所」(http://www.kiken-kaihi.org/)を主宰・ 運営し、子どもに関わる事故・犯罪・災害・虐待・環境問題など の情報を提供。全国各地での講演活動、新聞・雑誌への寄稿 など、幅広いフィールドで「生活安全教育」の普及活動を続けている。