妊娠中、昆布の1日に食べていい量はどれぐらい?食べすぎには要注意?

妊娠中、昆布の1日に食べていい量はどれぐらい?食べすぎには要注意?

この記事では妊娠中の昆布について、医師監修のもと解説します。昆布、わかめ、ひじき、のりなどの海藻類には、ヨウ素がたくさん含まれています。妊娠中にヨウ素を過剰摂取すると、それが赤ちゃんの体内にたまり、胎児に甲状腺機能低下症を引き起こしてしまう可能性があります。

海藻類の中でもだしをとるなど、和食に広く使われる昆布は、日本人の食生活に欠かせないものの1つです。ミネラルや食物繊維が豊富に含まれているため、健康食品としても人気があります。また、「よろこぶ」に通じるとして、昔から縁起物としても重宝されてきました。しかし、妊婦さんは昆布を食べ過ぎないよう注意する必要があります。その理由と対策についてまとめました。

妊娠中の昆布の摂取について。食べ過ぎに注意しなければいけない理由は?

昆布、わかめ、ひじき、のりなどの海藻類には、ヨウ素がたくさん含まれています。ヨウ素は食品中に存在するミネラルで、体内で甲状腺ホルモンを合成するために欠かせないものです。甲状腺ホルモンには、体の発育や新陳代謝を促進させるという重要な役割があり、妊娠中は胎児の骨や脳の発育のためにも欠かせません。妊娠中にヨウ素が不足してしまうと、最悪の場合は流産や死産といった結果を招いてしまうこともあります。

しかし、日本人は日常的にヨウ素を摂取しているため、平均的な食生活をしていれば不足することはほとんどありません。妊婦さんが注意しなくてはいけないのは、栄養素が足りないことではなく摂り過ぎることなのです。妊娠中にヨウ素を過剰摂取すると、それが赤ちゃんの体内にたまり、胎児に甲状腺機能低下症を引き起こしてしまう可能性があります。

甲状腺機能低下症とは、脳神経などの発達に必要不可欠な甲状腺ホルモンの分泌量が、不足してしまう病気です。甲状腺機能低下症は適切な投薬によって治療することができますが、病気の発見が遅れてしまうと、赤ちゃんの体や精神の発達に支障をきたすおそれがあります。こういった病気のリスクを回避するために、ヨウ素の摂取量に注意する必要があるのです。

1日にどれだけの昆布を摂取できる?

厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準」(2015年版)には、必要なヨウ素の量が掲載されています。これによると、18歳以上の女性は1日で130μgを摂取することが推奨されています。この数値は、標準的な日本人の食生活をしていればめったに下回ることはありません。

ただし、妊婦の場合は1日あたりの摂取推奨量が240μgで、かつ上限量は2,000μgという基準が設けられています。昆布に含まれているヨウ素は、100gあたり230,000μgです。昆布に関していえば、1g摂取するだけで2,300μgのヨウ素を摂取することになるわけです。さらに、昆布はだしの材料としてもよく使われますが、ヨウ素はだしにも溶け出します。昆布に含まれているヨウ素のうち、約80%以上がだしに溶け出しているというデータもあります。

ヨウ素を摂り過ぎないために、まずヨウ素をたくさん含む食品について知っておきましょう。昆布のみを避けていればいいわけではありません。ヨウ素の多い代表的な食べ物は海藻類です。以下に示しているのはそれぞれ100gあたりに含まれるヨウ素の量です。

・干しひじき45,000μg
・カットわかめ8,500μg
・焼きのり2,100μg

関連記事: