【心理カウンセラー監修】職場でいじめられやすい大人の特徴とは?

第2回 いじめられやすい人の特徴とは?
パワハラやモラハラ、過重労働…わが子が大人になり、社会人になったらなったで、親としては、また別の心配事が始まるが、はたして、職場で“いじめられやすい・標的になりやすい大人”の特徴はあるのだろうか? 心理カウンセラーとして高い人気を誇る那賀まき氏に分析してもらった。

●いじめられやすい大人の特徴とは?

1)立場が弱く、おとなしく自己主張しない人
 「No」を言わない、自己主張しない、おとなしい、こういう要素を持つ人は、「言うことを聞いてくれる人」と認識されやすく、上下関係の「下」に置かれたり、他の人が嫌がる仕事を押し付けられたり、ストレスのはけ口にされたりします。特に、新しく入った人、派遣やパートなど立場が弱い人は「いじめ」の対象になりやすいようです。

2)空気が読めない人
場の空気に合わない行動が周りの人をイラっとさせることがあります。職場独特のルールがあることも多いので、新しく入った人がそのルールを無視するような行動をとると、以前からいる人は自分たちのやり方を否定されたように感じ、不快になることもあります。日本人は「空気を読んで動く」文化をもっていますから、いちいち言わないとわからない人や、場の空気に気づかず行動する人に不快感を感じることが多いようです。

3)被害者意識の強い人
仕事のミスを注意すると、いつまでも落ち込んでクヨクヨする人や、嫌われた、意地悪されたと思う人は「扱いにくい人」「面倒くさい人」と思われ、距離をとられやすくなります。また、いつまでも気にされると、ミスを指摘した人は、次第に「私が悪いの?」という気持ちになり、それを否定するために、「いつまでも気にしているあなたが悪い」と責めるようにもなります。

4)周りから嫉妬される要素をもっている人
 人は「若い」「かわいい」「学歴がいい」など、「うらやましい」と感じさせる要素を持った人に対し、自分のコンプレックスを刺激されたり、嫉妬心が生まれたりします。周囲の嫉妬心があると、悪意のない、ちょっとした行動であっても「ちやほやされている」「生意気だ」「鼻にかけている」と思われいじめの対象となっていきます。また、自分や会社、仕事に対する不満が大きいほど、自分より恵まれている人に対する劣等感や嫉妬は大きくなります。

5)仕事ができなかったり、依存心が強い人
仕事が遅い、ミスが多いなどは、本人だけでなく、周りの人の段取りを狂わせます。繰り返しそのようなことが起こると、周囲が「迷惑だ」「邪魔だ」と感じるので、邪険に扱いたくなったり、怒りをぶつける対象になりがちです。また、職場の基本は、「自立した大人同士の付き合い」なので、依存的な人は「甘えている」と捉えられます。「泣き言を言わない」「甘えない」と自分に禁止している「依存」を表に出されると、多くの人が反感を覚えやすくなり、いじめのターゲットとされてしまいます

もしもいじめにあったら?

●大人のいじめ・家庭での兆候は?

それではもしも職場でのいじめがあった場合、家庭では、娘や息子にどのような兆候が表れるのだろうか。那賀氏によれば、以下の兆候が見られたら、要注意だという。

・イライラしたり怒りっぽくなる
・ふさぎ込む
・話しかけても上の空である
・職場の愚痴が増える
・急におしゃべりになったり、明るく振る舞う
・仕事を辞めたい、休みたいとほのめかす
・体調不良になる

親であれば、誰もが子の異変に気づくだろうが、息子や娘が大人になった今、関わりが薄くなれば、その発見が遅れることも…。わが子が実家暮らしでも、遠く離れた1人暮らしでも、やはりある程度の親子のコミュニケーションは必要だ。わが子が大人になった今こそ、上記の5箇条をさりげなくナビゲーションして伝えることで、わずらわしい揉め事から回避することができるかもしれないし、子育て真っ最中のママは、これらを心に留めておくだけで、将来“いじめられない大人”へと、わが子を成長させることができるのかもしれない。

(取材・文/吉富慶子)

お話をうかがった人

心理カウンセラー・那賀まき
那賀まき
カウンセリングサービス
大阪や徳島県を拠点にカウンセリングを行う。夫婦関係や子育て・家族の問題、職場での人間関係に関するサポートが得意。また、知的障害を持つ妹とともに育った経験を生かし、障害児のきょうだい・家族へのサポートも行っている。
大阪や徳島県を拠点にカウンセリングを行う。夫婦関係や子育て・家族の問題、職場での人間関係に関するサポートが得意。また、知的障害を持つ妹とともに育った経験を生かし、障害児のきょうだい・家族へのサポートも行っている。