男子も注意!「セクストーション(性的脅迫)」の実態とは?

第1回 サイバー犯罪「セクストーション」から子どもを守る
「セクストーション」とは、「セックス(性的)」と「エクストーション(脅迫・ゆすり)」を合わせた造語で、その名の通り性的脅迫の意を表す。昨今では、日本でも被害が徐々に増えつつあるという「セクストーション」。「裸の画像をばらまくぞ!」などと脅されることも多いというが、そもそもなぜ、性的な画像を相手に渡してしまうのだろうか…? 『リベンジポルノ』の著者であるメディアジャーナリストの渡辺真由子氏に話を聞いた。

●典型的なセクストーションとは?

1.「恥ずかしい姿の見せ合いをしましょう」とSNSで接してきた相手と被害者が仲良くなる。

2.仲良くなった相手から、「もっとエッチなことができるソフトがあると」と勧められた不正アプリをダウンロードしてしまう。

3.不正アプリからスマホの電話帳などのデータを全部抜き取られ、お金をゆすられる。

これらのやり方が一般的。今のところ日本では、成人男性の被害が圧倒的に多いが、未成年を食い物にしようとする悪い犯罪者もいるという。

「SNSで知り合った大人の男性が、『ちょっと服を脱いでみてよ』と中高生の女の子にお願いします。気軽に写真などを送ってしまうと、『もっと楽しい話を別のソフトでしよう』と男性側がURLを送ってきます。ここでふとタップしてしまったら、もう大変。勝手に不正ソフトがインストールされて、スマホの中に入っている電話帳などのデータが全部吸い取られてしまいます。すると『裸の画像をお前の知り合い全部に送るぞ! もっとすごい画像を送れ!』と、さらに脅されることになります」(渡辺氏 以下同)

中高生の場合は、金銭よりこういった画像を要求されるケースが多いという。デジタル画像は、一度犯人に渡ったが最後、簡単にコピー&転送が可能。取り返しがつかないことになってしまう。では、なぜ彼女たちは、こんな罠に引っかかってしまうのだろうか。

「やはり、引っかかりやすいタイプの子が存在するんですね。“日頃から親に相手にされてない”“友だちとの間に悩みがある”とか…。そういう子は、相手から優しくされると、ついつい嬉しくなって送ってしまうのです。こういうタイプのお子さんは、新しい出会いが楽しくて、出会い系のSNSをよく使ってしまい。なかでも“斉藤さん”というアプリは、中高生に人気。“斉藤さん”はランダムな一期一会のテレビ電話ですが、悪い大人は、その1回に勝負をかけ、個人情報を聞き出そうとしたり、“服を脱いで!”などとお願いしてくることもあります」

せくストーションを受ける少女

●悪い大人と繋がるSNS斉藤さんとは?

‘00年頃、カメラ付き携帯の発売以降は、「プロフ」といって、自己紹介系のオリジナルのプロフィールを作れるサイトが人気だったが、今は「斉藤さん」というSNSのアプリが子どもたちの間で主流となっている。気軽に電話したり、動画などを送りあえるアプリで、無作為で選ばれた誰かと話しができるというツールなのだ。またツイッター上で、自身のプロフィールを事細かに書いている女の子も多く存在するが、「女子中学生です」と書くだけで卑猥なメッセージがドンドン送られてくるというので、親としては、ツイッターの危険性も、子どもに伝えておく必要性がありそうだ。

●男子も要注意!子どものスマホに対策を!

「“プロフ”の中で一番メジャーだった“前略プロフィール”というアプリが流行っていた頃は『お小遣い欲しいならキミのパンツを売ってよ』という、女の子に向けてのメッセージが多かったのですが、今は男の子にも魔の手が伸びています。男の子の場合、交流型掲示板などに『小遣い稼ぎにファッションモデルをやりませんか?』と書かれていたら要注意です。撮影に行ってみたら、若い男の子を獲物にするアダルトビデオの撮影だったという報告もあります」

ここで親ができることは、子どものスマートフォンにしっかりとしたフィルタリング対策をすることだが…。

「『フィルタリングをかけると、LINEができないよー』と子どもに言われるかもしれませんが、大丈夫です。制限がかかってもLINEはできます。LINEをやるならば、ID検索をオフにしておくことも重要ですね。18歳未満はLINEのID検索を出来ない設定になっていますが、抜け道もありますから」

SNSで知り合った相手はどんな下心を持っているかわからないし、身元もはっきりしない。もしもこれから子どもにスマホを持たせる予定があるならば、事前に危険性を話し合い、購入店であらかじめフィルタリングをかけておきたい。もう子どもが携帯電話を持っている家庭なら、ぜひともフィリタリング対策を検討してほしい。

(取材・文/谷亜ヒロコ)

お話をうかがった人

渡辺真由子さん
渡辺真由子
メディアジャーナリスト 慶應義塾大学SFC研究所上席所員
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程を経て現職。元テレビ局報道記者。ネット時代の子どもを取り巻く「性」や「いじめ」などの人権問題を18年以上にわたり取材し、賢くSNSと付き合うノウハウを伝授。豊富な取材経験に基づく、子どもの心理分析に定評。
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程を経て現職。元テレビ局報道記者。ネット時代の子どもを取り巻く「性」や「いじめ」などの人権問題を18年以上にわたり取材し、賢くSNSと付き合うノウハウを伝授。豊富な取材経験に基づく、子どもの心理分析に定評。