小1に潜む見過ごされがちな“壁”、子どもが不安を感じることは?

第2回 兼業ママに立ちはだかる”小1”の壁とは
夏休みの過ごし方や学童での過ごし方など、共働きの家庭が子どもの小学校入学で新たな問題に直面する“小1の壁”。

最近ではこの言葉が多く取り沙汰されており、子どもが小学校入学前だと「うちは大丈夫かしら?」と心配な兼業ママは少なくないだろう。

しかし、小学校入学で大きな壁に直面するのは、実は仕事を持つ親だけではない。意外と見過ごされがちだが、子どもへの負担も考える必要がある。

保健室の入り口

●意外と多い、春先に学校になじめない小1の壁

「実際小学校に入ると、入学前に考えていた“小1の壁”とは全然違う、予想していないような壁があるものです」

こう指摘するのは、自身も小1の子どものママとして仕事と育児を両立する、キャリアカウンセラーの藤崎葉子さんだ。

「例えば、春先にどうしても学校になじめない子がけっこういるんです。保育園の頃はすごく元気に通っていたのに、小学生になったらママが学校まで送っていかないと学校に行けない。私の子どもは登校はスムーズでしたが、実は『頭が痛い』『おなかが痛い』といって、学校では頻繁に保健室で休んでいたことが後で分かったんです。きっと新しい環境でのストレスや不安があったんでしょうね」(藤崎さん 以下同)

保育園や幼稚園ほど先生のケアが行き届かない小学校。そういった場合も専業ママだとしっかり子どもに向き合いフォローすることができるが、仕事を持つと限りが出てくるのが現状だ。できる範囲で親としてどう子どもと向き合うか? もしものときを考え、その点も入学前に考えたほうがいいかもしれない。

ランドセルを背負った女の子

●小学校では毎日の学校の様子を知る術がない

一方、子どもや親への細かいケアが行き届いていた保育園に通っていた場合、小学校でのケアの差を壁と感じるケースも多いという。

「小学校の連絡帳と保育園の連絡帳って、まったく違いますよね。保育園の連絡帳だと、保育士がちくいちその日の様子を報告してくれますが、小学校はそうではない。つまり学校で子どもがどう過ごしていたかを、親が知る手段がなくなるわけです。手厚い保育園に通っていた親御さんは特に、その点を不安がる人は多いようです」

確かに幼稚園と比べて園で過ごす時間が長い保育園に通っていると、その日の子どもの様子を細かく連絡帳で伝えてくれるのが当たり前と考える親は多いだろう。しかし当然ながら小学校ではそのようなケアはないし、小1の子に「今日は何があったの?」と聞いても、よっぽどしっかりした子以外はたどたどしい答えしか返ってこない。

こういった壁は夏休みのケアや学童の問題などとは違い、親の頑張りや周囲の助けで乗り越えられないのが厄介だ。入学前は気が付かないが、実際対峙するとこちらのほうがある意味厄介な壁かもしれない。乗り越えるには、親も子も新しい環境に“慣れる”しかないという面もあるだろう。

ママ友

●クラス役員になることで学校とのつながりを持つのも手

だが藤崎さんはその解決法の1つとして「クラス役員になるのも手ですよ」と提案する。

「実は私自身立候補して役員をやっていますが、やってみると、いいこともけっこう多いんです。一番はクラスのお母さんや先生とつながりができること。それによって、自分の子どもが学校でどう過ごしているのか? お友達とどうかかわっているのかという情報を得ることができますよ」

確かに仕事を持つママが役員をやるのは大変な面も多い。だが実際には在校中、全員の親が1度はやらなくてはいけないとする学校が多く、それは仕事を持つママも例外ではない。

だったら1年生のうちに役員に立候補し、学校やママ同士のつながりを作るのも、小1の壁を超える秘訣かもしれない。
(高山 惠+ノオト)

お話をお聞きした人

藤崎葉子
藤崎葉子
キャリアカウンセラー・研修講師として企業の女性活躍推進に携わり、2013年には女性労働協会認定講師となる。ライフワークとして女性向けキャリアカウンセリングを実施。
キャリアカウンセラー・研修講師として企業の女性活躍推進に携わり、2013年には女性労働協会認定講師となる。ライフワークとして女性向けキャリアカウンセリングを実施。