スマホの育児利用は6割超…罪悪感アリも●割超

第53回 インターネットメディア「STANDBY」
現代の生活に欠かせないスマートフォン(以下、スマホ)。最近では、専用アプリなども充実し、育児や早期教育に役立てる人も少なくないと聞く。そこで、スマホやタブレットの育児利用について、子どもを持つ既婚男女各111人を対象に、アンケート調査(R25調べ:協力/ファストアスク)を行った。
幼児にスマホを渡すと静かになるものの、集中して長時間やめる気配がないこと多い
幼児にスマホを渡すと静かになるものの、集中して長時間やめる気配がないこと多い

育児にスマホを活用する親は過半数!

そもそも、スマホやタブレットを育児に利用している人は、どれくらいいるものだろうか? 手始めに、「スマホやタブレットを育児で利用することはありますか?」と質問してみると、「よく利用する 24.3%(54人)」「ときどき利用する 38.3%(85人)」「全く利用しない 37.4%(83人)」で、全体の約6割が利用しているという結果に。

頻度こそ違えど、多くのパパママがスマホを育児に活用していることはわかったが、その目的は…? こちらの結果は、ランキング形式で見てみよう。

Q.あなたの育児においてスマホやタブレットの利用目的で当てはまるものをすべてお選びください

Q.あなたの育児においてスマホやタブレットの利用目的で当てはまるものをすべてお選びください。(n=139)

1位:静かにさせるため(親が仕事や家事に集中したい) 54.7%(76人)
2位:ぐずりをあやす/泣き止ますため 38.1%(53人)
3位:知育のため 35.3%(49人)
4位:一緒に遊ぶため 33.1%(46人)
5位:早めにデジタル環境に慣れさせるため 13.7%(19人)
6位:親の言うことを聞かせるため 11.5%(16人)

スマホやタブレットを使って、泣く子をあやす親の姿は、よく見かける。落ち着きがない・泣き止まないは、小さい子どもならよくあることだが、騒ぐ子どもを放っておくこともできない。いつでもどこでも、手軽に動画を観られる、子どもでも簡単に操作できるスマホやタブレットは、親たちにとって心強いあやしのグッズなのだろう。

一方で、「知育のため」「早めにデジタル環境に慣れさせるため」と回答した人も少なくない。最近では、タブレット学習を取り入れる学校もあると聞く。そうした、現代ならではの“感覚”を養おうと考える親も増えているようだ。

スマホ育児に罪悪感も…

多くの親たちが、スマホ育児を実践する一方、罪悪感を抱く親も少なくないという。実際、「あなたはスマホやタブレットを育児で安易に使うことに罪悪感を持つことはありますか?」という問いに、「ある」と答えた人は、63.1%(140名)にも上る。

そこで、「あなたがスマホやタブレットを使った育児で子どもに罪悪感を持った『具体的なシーン』や『理由』を教えてください」という質問を投げかけ、具体的なシーンを深く掘り下げてみると、「自分の都合で使わせている時」「自分が楽をしているようで」「もっとかまってあげたらよかった」「親のエゴ」など。子どもの意思ではなく、自らの都合でスマホを押し付けているのではと、子どもとの向き合い方を反省する親の声が散見される。

また、「目が悪くなりそう」や「成長によくない」、「子どもがスマホにかじりつく」「依存する」といった、子どもへの悪影響を懸念する声も聞かれた。

スマホ育児は、子どもに何か悪影響を及ぼすのだろうか?

「スマホによる育児の話もありますが、親のスマホ依存も子どもに悪影響を与える」

そう話すのは、現代の子どもの教育や保育に詳しい、大阪大谷大学の桜井智恵子教授。

「インスタグラムに毎日わが子のとびきりカワイイ写真をアップしたい。その反応を確認するため、子どもより他者からの承認がほしいと思ってしまう。しかし依存しすぎると親だけでなく子どもにも影響があるのです。乳児でさえ、親が自分に無関心な時はわかっています。親の関心が不安定に感じる子どもは身体症状を表すほか、暴力的になることもあります。また、親がスマホに依存したくなる孤独な育児とIT過剰社会も、子どもが感性豊かな人間に育つ上で、実は大きな問題です。スマホに親も子も支配されないようにくれぐれもご注意を」

スマホは、家事に育児、仕事と、忙しい親の“お助けツール”として役立つが、子どもの健全な発育や親子の信頼関係の構築に大きな影響を与える。子ども・育児とスマホを完全に切り離すのは、難しいかもしれないが、頼りすぎは考えもの。子育てにおけるスマホの活用法を今一度、考え直してはいかがだろうか?

(明日陽樹/考務店)

【取材協力】桜井智恵子/大阪大谷大学教授

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世の中を切り取るインターネットメディア「STANDBY」が配信する記事です。
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