【契約結婚】するなら出産後がベスト!?

第2回 結婚後も可能!”逃げ恥”で話題の契約結婚って何?
今クール話題ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(略して“逃げ恥”)。新垣結衣&星野源が織りなす不器用な恋模様が見どころとなっているが、同作の最大のテーマになっているのが「契約結婚」だ。職探しのスパイラルで疲れていた主人公のみくり(新垣)が、家事代行で出会った恋愛経験皆無のプロの独身男性・平匡(星野)と契約結婚するという物語だが、ドラマを見て、「本当に契約結婚なんてあるの?」「家事でお金がもらえたら…」一瞬でも、そう考えたママはいるのではないだろうか。そもそも契約結婚とは何か? 家族社会学学者の永田夏来氏に聞いた。

●そもそも契約結婚とは?

夫婦のどちらが家事&育児をやるか…。日々「やったやらない」でケンカをするくらいなら、いっそのこと、どちらが何をやるかはっきり決めたい、できることなら『逃げ恥』のように契約にしてしまいたい! そう思うママもいるかもしれないが、そもそも契約結婚とはどんなものなのだろうか。

「日本で言う結婚は、役所に届けを出す『法律婚』のことを指します。これは戸籍を変更する届け出のことで、夫婦は同じ名字を使うことになります。“逃げ恥”の2人は、国に届けを出していませんので、『法律婚』ではありません。作中では、自分たちのことを『事実婚』としていますね。しかし実際には、夫婦として生活している実績はないので、本来は『事実婚』でもないのです。その代わり、家事をはじめとした生活に関わる事柄を書面で取り決めて2人で共有しています。実際に結婚している夫婦が参考にするとするならば、生活に関わる事柄を書面にして確認し合う形でしょう」(永田氏 以下同)

【契約結婚】するなら出産後がベスト?!

●契約締結に適した時期はあるのか?

「書面で生活の事柄を確認する夫婦」をあえて「契約結婚」と呼ぶならば、妻が夫との契約を成功させる秘訣はあるのだろうか。

「もしも契約を考えるなら、一番いい時期があります。それは、後々まで夫婦関係のしこりが残りやすい第1子出産直後です。この時期は睡眠もままならないので契約どころではないかもしれませんが、だからこそやる価値があるのです。夫婦2人の時とは違い、子どもが産まれた途端に環境が激変して、価値観の違いを突きつけられます。母となった妻は、産まれたばかりの乳児の世話で手一杯なところに、さらに家事までこなさなければならない。ここで夫が家事や育児に参加しておかないと、夫は家事に参入しづらくなるので、この段階で家事の分担を決めておくといいでしょう。そうしておかないと、家事と育児をこの先全部、妻がやることになってしまいます」

それでは、今からすぐに実践できる「契約結婚」のやり方は?

「ゴミ出しや買い物、お風呂掃除、この辺りが男の家事と言われていて、妻から見ると“言われたことしかやらない”という不満も多いです。でも男性の場合、何をどうやったらいいか分からないという人も多いのです。そこで朝起きてから寝るまで、妻がどんな家事と育児をしているかをリストにし、“見える化”を図ります。例えば、朝起きたら洗濯機を回して干して、子どもを起こして、朝ご飯を作る、食べさせる…これら全てのチェックリストを作ると膨大な量になります。これを見ただけでも、夫は“こんなにたくさんあるんだ!”とビックリするし、妻の大変さが手に取るようにわかるでしょう。チェックリストを見ながら分担を話し合い、契約するのがおすすめです」

契約を結ぶ際は、具体的に「何の家事を何回やるのか」まで書いておくのが重要だそう。“契約結婚”と聞くと身構えてしまうが、契約することで夫婦が話し合い、お互いの家事や育児を分担し、協力し合って温かい家庭を築くことこそが大切なのかもしれない。

(取材・文/谷亜ヒロコ)

お話をうかがった人

永田夏来
永田夏来
家族社会学者
兵庫教育大学大学院学校教育研究科助教。専門は家族社会学。2004年に早稲田大学にて博士(人間科学)を取得し、若者の恋愛や結婚を中心に調査研究を行なっている。
兵庫教育大学大学院学校教育研究科助教。専門は家族社会学。2004年に早稲田大学にて博士(人間科学)を取得し、若者の恋愛や結婚を中心に調査研究を行なっている。