「仕事をする目的が"自己実現"になっているママはつらい」ワーママに周囲の本音

第638回 今日のこれ注目!ママテナピックアップ
独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、夫婦共働き世帯は1992年に専業主婦世帯を超え914万世帯に(専業主婦世帯は903万世帯)。その後も共働き世帯はじわり数を増やしており、最新の2015年調査結果では共働き世帯数は1114万世帯。専業主婦世帯が687万世帯なので、このまま進めば、あと数年で共働き世帯が専業主婦世帯の倍になりそうです。

共働き世帯が増えている背景には、言わずもがな。近年の賃金減少によって働かざるを得ない家庭が増えていることは間違いありませんが、女性の社会進出機運の高まりが共働き夫婦増加も後押ししてるといえるでしょう。

というのも、日本は超高齢化社会に突入しており、その人口構造上、生産年齢人口(15~64歳の人口)の減少は避けては通れない問題となっています。具体的には、2010年には8000万人以上の生産年齢人口がいましたが、2030年には6700万人ほどになるといわれているのです。生産年齢人口が減れば、当然国のGDPは低迷し、日本経済や労働市場の縮小に直結、つまり、日本が衰退していくことを意味しているのです。

減りゆく生産年齢人口を担う労働力として注目されているのが、出産や育児で職場を離れてしまう30~40代の女性や高齢者、そして、外国人労働者。内閣府も女性の活用に関しては議論を進めており、様々な施策を始めた結果、だんだんと女性の労働力率は高まりつつあります。

さて、日本の労働力担保という意味では、女性の社会進出は効果を見せ始めているようですが、よのなかの反応やいかに。調べる中で、気になる発言が見つかった(以下、一部引用)。

"上司から『時短だから評価は最低ランク』と言われました。時短だからお給料カットで働いているのに… 私は効率的に仕事をまわせるように頑張っているし多少無理もしているという自負があるだけに、ショックでした。"

"乳幼児を抱えての仕事が大変だから残業したくないのは理解できるし、応援できるけど、残業しないために自分の仕事を他の人に振るのはやめてほしい。結果他の人が残業するはめになってるんですよ。そのくせ勤務中は私語で子供のこと話してると、作業スピード上げて!ってつい思っちゃう。 "

"ワーキングマザーという守られた表現を使っている人に特に多いのが、仕事をする目的が「自己実現」になっている人が本当に辛い。じゃあ、旦那は生活の糧を得るために、自己実現も、自由も捨てて社畜になって給料をもらっているんじゃないか?と思うわけ。(実際は違うとしても)"

ワーキングマザーの仕事のとばっちりに不満を持つ人の声は多いようだ。また、家計のために働かざるを得ないワーママがいる一方、特に経済面で困っていないが、自分のキャリアアップのために働き、家庭で職場の愚痴が多いママに対して、批判的な男性も少なくないようです。

一方で、次のような意見も…。

母と娘

●ワーママの気持ちはワーママになってみないとわからない?

"派遣で働いてたとき、正社員の人がよく子供が熱出したって連絡きたからちょっと抜けます!と数時間帰ってこない時が頻繁にあった。(子供を迎えに行き実家に預けてくる時間) 正社員はずるいな~と思ってたけど、子供が出来た今は理解できる。 上司が良しとする範囲で開き直らないと、ワーキングマザーはやってけない。 "

"独身時代はこういうのにイラっときてた。仕事の穴埋めやとばっちりくらってばかりで。でも、結婚して妊娠してる今は、働く母の気持ちが半分はわかる。ただし、子供がいる人が優遇されて、それを子供いない人ばっかりがフォローしなくちゃいけない職場だと、ずるいなーと思ってこういうこと言いたくなるよね"

晩婚化が進み、子を持たない未婚者が多い現在。残念ながら、ワーキングマザーに対しては、どうしても厳しい目になってしまう社会構造があるのかもしれません。ダイバーシティー(多様性)を認め合う組織が当たり前になる日は…、まだまだ先の時代?
(文・清澄はじめ/考務店)