メディア個別 【第2回】この人、ただ者じゃない!と思われる読書術 | michill (ミチル) | ママの知りたいが集まるアンテナ「ママテナ」
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【第2回】この人、ただ者じゃない!と思われる読書術

第231回 michill (ミチル)
今回は「鬼平犯科帳」!?実は、リーダーシップ論としては目をみはるものがあるとか…?
「ギャップのある人は魅力的」。確かに人は、意外な一面を見せる人に「ハッ」とするもの。職場やご近所づきあいにも役立つ読書術を、作家としてさまざまな顔をもつ堀田純司さんが教えてくれます。

この記事の本の値段

鬼平犯科帳<1> (文春文庫) 605円(税込) 合計…605円(税込)

※2017年1月時点 amazon価格

「鬼平犯科帳」 池波正太郎 文春文庫

政治経済から歴史や哲学、エンタメなど、なんでも口を出すヌエ作家の堀田です。
今回は、日本人のリーダーシップ論のバイブル!鬼平犯科帳を紹介します。

この本は…?
【職場で、後輩とのつきあい方に悩んでいる人にオススメです】

「時代小説かよ! 渋い、渋すぎる!」と思った、そこのあなた! 「鬼平犯科帳」は、現在イケメンアニメ化企画も進行中と言う、幅広い世代に愛される作品なのです!

とは言っても、このシリーズがはじまったのは1967年。芸能人で言えば、織田裕二さんや天海祐希さん、ニコール・キッドマンや、それにプロレスラーの故エディ・ゲレロさんが生まれた年。シリーズの中心読者層は、もしかするともはや退職した人々になるかもしれません。ですが「鬼平」は繰り返し映像化もされ、普遍的に日本人に愛されてきた作品でもあります。特にビジネスの場においては、リーダーシップ論のバイブルとしても読まれてきました。
現役世代にも熱心なファンは多く、このシリーズに通じておくと「すげえな、この人」と思われることは間違いないですし、まだ若いのに鬼平の読者だという人がいたら「この人は違う、信用できる」と感じられることでしょう。職場の後輩とのつきあい方に悩んでいる人には、特におすすめです。

鬼平犯科帳=特別警察のお頭の物語!?

シリーズの主人公は、長谷川平蔵。初登場時は、ちょうど40歳を越えたあたり。ひだまりで猫を抱いているのが似合う、と言われるような、温厚そうな旗本と描写されますが、彼が就いたお役目は、火付盗賊改方の長官。機動力を持って犯罪捜査にあたる、いわば特別警察のお頭です。
その捜査は苛烈。自分自身が体を張って一刀流の剣をふるい「手に余るようなら切り捨てよ」と、盗賊に立ち向かいます。
しかしその一方で平蔵は、情味にあふれた思いやりのある取り計らいを、部下だけでなく盗賊たちにも見せます。
平蔵に心服し、火盗改メの密偵となった元盗賊たちの義理には十分に配慮する。乞われれば金鉄の一言で請ける。「夜鷹殺し」事件のように、奉行所が見捨てた事件を、怒りに燃えて捜査にあたることもある。「泥亀の七蔵」のように、その人物におかしみを感じた時は、痔の具合まで配慮するところもあります。
そうした平蔵に、名補佐役の佐嶋忠介ら部下たちばかりか、時には敵であるはずの盗賊たちでさえ、深い畏敬の念を抱くことになります。

「愛されるより、恐れられよ」とは、マキャベリの「君主論」の言葉。鉄の女、マーガレット・サッチャーも自分のポリシーにしていたといいますが、日本社会では、そうしたリーダー像はあまり受けない。織田信長のような、過酷一点ばりのリーダーはどこかで限界がくるものです。
平蔵のように、オンタイムは厳しいが、オフには、プライベートのことまで気遣ってくれる。そうしたリーダーが理想的で、このことが長くシリーズが愛されてきた理由なのでしょう。

ただ、「鬼平」の世界はさらに深いです。なぜ平蔵は、「鬼の平蔵」として恐れられる一方で、愛される人物でもあるのか。矛盾ではないか。
しかし人間というものは、そうした矛盾を抱えた存在。憎みながら相手を愛し、哀れみながらもぶつからなければならない存在。
善と悪も紙一重。「人とはそうした矛盾を抱えたいきものなのだ」という、著者の池波さんの確固とした人間観が根底にあるからこそ、この物語は愛され、いろんな読み方ができる。リーダーシップ論としての読み方もできる作品になっているのでしょう。

手に取りやすい短編が中心

物語は、少し空いた時間に手に取りやすい短編が中心(長編もあります)。行き帰りの通勤の時に読むのに、ちょうどいいかもしれません。新装版になってからは、ずいぶんと字組も大きくなりました。
作中、昭和ならではの感覚もあるのですが、誰が読んでも心に染み入る人物たちが、時にはユーモラスに、時には哀切に描かれます。日本人社会の、もっとも好まれる風土を感じておく上でも有益です。
一話でも読むと、ハマって全巻読んでしまう人もきっと出てくるはず。「あなたの好きな鬼平のキャラは誰?」とか、そんな話題で盛り上がることもできるでしょう。

もっとも、そういう時は「木村忠吾がかわいくて好きです」ぐらいに答えておくのが無難です。「浜崎の友蔵のお盗めの芸にはしびれます」「雨引の文五郎のことは忘れられませんね」などとあまり渋い、マニアックなことを言うと、いくらなんでもひかれるかもしれません。

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”笑顔が満ちる、ちょっとしあわせなワタシ” michill(ミチル)は、毎日がんばる女性が「もっと日常を便利にしたい」を見つけるために、 役に立つコツやここでしか見られない情報を提案するライフスタイルメディアです。 ファッション、ヘアスタイル、レシピなど専門性の高いライターによる信頼できる情報を中心に配信しています。
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