メディア個別 【第4回】この人、ただ者じゃない!と思われる読書術 | michill (ミチル) | ママの知りたいが集まるアンテナ「ママテナ」
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【第4回】この人、ただ者じゃない!と思われる読書術

第234回 michill (ミチル)
80年代に少年ジャンプで連載され、アニメ化もされた『北斗の拳』を今回はご紹介します。テーマは「愛」。己の拳だけが頼りという世界で、主人公は「ならば俺は愛のために戦おう」と決意し、激闘を繰り広げます。「やった者勝ちの荒野」の現代社会の中で「本当に大切なものはなにか」を思い出させてくれる、そんな物語です。

この記事の本の値段

『北斗の拳』(集英社)1円から(中古品)

※2017年1月時点の価格 amazon

『北斗の拳』 武論尊、原哲夫 集英社

政治経済から歴史や哲学、エンタメなど、なんでも口を出す厚顔な作家の堀田です。ふだんは、大人になりきれない中年詐欺師たちの小説を書いたり、エンタメ分野のノンフィクションを書いたりしています。

この本は…?
【バブル世代、団塊ジュニア世代の男子と共通の話題がほしい。そんな奇特な人にオススメします】

「おまえはもう死んでいる」世界のハードな現実を実感

歴史学には、「すべての歴史は日本史になる」という言葉があるそうです。

日本は極東のはずれにあって、四方が海に囲まれている。だからあまり敵も攻めてこない。気候は温暖で、作物もよくとれる。宗教は多神教で、厳しくない。ということで日本は「自然状態に人間を置いたらこうなる」というモデルケースと見ることができるそうです。

こういう日本で暮らしていると、実感しづらいのですが、世界史は今やすでに激動の時代に突入していて、「新しい中世に突入した」と言われます。新しい中世。それは、頼りになるのは己の拳だけ。やった者勝ちの弱肉強食の世界。アメリカ、ヨーロッパ、中東。今、世界をつつむ激動のハードさを実感するために、この『北斗の拳』という作品は最適です。

『北斗の拳』は「愛」の物語

『北斗の拳』は、1983年に少年ジャンプで連載がはじまりました。翌84年にはアニメも放送され、バブル世代や、40歳を越えた団塊ジュニア世代のおじさんたちを直撃した作品です。この世代の人はたいてい、「おまえはもう死んでいる」という、作中の名セリフが脳内に刷り込まれている。そう考えて間違いありません。

舞台は世紀末。1990年代後半に、核戦争が起こり世界は崩壊する。主人公のケンシロウは、北斗神拳という、2,000年の歴史を持つ暗殺拳の使い手。そしてユリアという最愛の女性をシンに奪われ、荒廃した世界の中で復讐の旅を続けていくことになります。やがてシンの城にたどり着き、彼を倒すのですが、ユリアはすでに身を投げてしまっていました。ケンシロウの旅は終わらず、帝王サウザー、そして兄であるラオウと、次々と強敵を迎えます。

男たちの熱い戦いが描かれる作品ですが、この物語のテーマは「愛」。

兄ラオウは、剛拳の使い手。軍隊を組織し、圧政を敷く。しかし、それには「混沌の世界には恐怖がもらたす秩序が必要」という、彼なりの思想がありました。

現在の中東情勢や、アフリカの崩壊国家と呼ばれる国の状況を見ると、秩序が成立していることがいかに大切なことかがよくわかります。法なき社会では、万人が万人と戦うことになる。そうしたカオスよりは、たとえ独裁者による圧政でも、秩序が成立しているほうがまだいい。「アラブの春」で独裁者を倒してしまった後の中東の混沌を見ると、ラオウの思想も「正しい」と思いたくなります。

ですが、彼には決定的に欠けているものがありました。「愛」です。

愛なき者は、真の秩序を世界にもたらすことはできない。だいたいこの作品には、人を愛することがつらいので俺は愛などいらぬとか、美形の男に美しさを感じた男がハーレムをつくったりとか、俺を愛さないのであれば死ねとか、女の情けは男にとって屈辱とか、愛について極端な方向にふれた登場人物が多いのですが、ケンシロウは「ならば俺は愛のために戦おう」と決意し、激闘を繰り広げます。

「本当に大切なものはなにか」を思い出させてくれる

現代社会も「やった者勝ちの荒野」。コンテンツ・ビジネスでは盗用ギリギリのメディア運営が注目を集め、社会でも企業のブラックぶりが注目される。まともに働く真面目な人間より、平気で人を踏みにじることのできる人間が、もてはやされたりもする。こんな世の中ですが、本当に大切なものはなにか。『北斗の拳』の物語は、それを思い出させてくれます。

ハードな絵柄ですが、実は『北斗の拳 イチゴ味』(ゼノンコミックス)という、楽しいギャグ版スピンアウト作品もあったりします。

『北斗の拳』を読破して、職場で「あの人、天狼星のリュウガと同じくらい、なに考えているのかわかんないですね」「部長って、山のフドウみたいですね」とさりげなく使ったりすると、「この人、ただ者じゃないな」と思われることでしょう。少なくとも僕はそう感じます。「パチンコファンか」と思われるリスクもありますが。

今ですと全巻デジタル配信もされていますので、まとまった休みがあって家でゴロゴロしていたい時に、ダウンロードして一気読みするのもオススメです。

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”笑顔が満ちる、ちょっとしあわせなワタシ” michill(ミチル)は、毎日がんばる女性が「もっと日常を便利にしたい」を見つけるために、 役に立つコツやここでしか見られない情報を提案するライフスタイルメディアです。 ファッション、ヘアスタイル、レシピなど専門性の高いライターによる信頼できる情報を中心に配信しています。
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