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「いじめ」の認知件数が過去最多に! その背景にあるものとは?

第1回 いじめの認知件数が過去最多に! その背景にあるものとは?
ニュースでも連日にわたって報道されている学校の“いじめ問題”。これだけ社会的に問題視されながらも、いっこうになくならないのが現状です。そんななかで文部科学省が昨年10月に『児童の問題行動調査』を発表。その調査によると、2015年度に全国の小中高校と特別支援学級で認知されたいじめの件数が1985年の調査開始以来最多(22万4540件)となったことが明らかになりました。その増加の背景にあるものとは? そこで、数々の学校問題に取り組んでいる白梅学園大学教授の増田修治先生にお話しを伺いました。

●気づかれていない“いじめ”は、さらに膨大にある

「いじめ事件が連続していることを受けて、文部科学省は今回の調査では“解決済み”の件数や、“これはいじめではないか?”という疑問符がつくような件数も報告することを求めました。実は、これまで学校では、“いじめゼロ”という学校目標が掲げられ、それ自体が学校の評価の対象となっていました。教師は副校長や校長に評価され、さらに校長や副校長は教育員会に査定され…。そうなると、“いじめゼロ”という報告を上げることがプラスになるわけです。こういったこれまでの姿勢を文部科学省が改めたということが増加の背景のひとつにあります」(増田先生 以下同)

しかし、こういった調査の背景のみならず、実際に“いじめ”自体が増加しているのも事実だという。

「この調査のタイトルからもわかるように、あくまでもこの件数は教師が“認知した”いじめの件数ですから、気づかない数はさらに膨大にあると考えられます」

いじめの認知件数が過去最多に

●いじめなのか? いじめじゃないのか? わかりにくくなっているのが特徴

特に、最近のいじめの特徴がいじめをよりわかりにくくさせていると、増田先生は指摘します。

「今のいじめは、非常にわかりにくいのが特徴です。つまり、いじめなのか? いじめじゃないのか? の境目をうまく渡り歩いているケースが多いのです。被害者の子は、もちろんいじめと感じているのですが、加害者たちは“これはいじめじゃなくて、いじっているだけ。むしろ、いじってやっているんだ”という認識で自分たちのいじめを正当化してやっているので、周りからはわかりづらく、いっこうになくならないのです」

小学校高学年から中学校くらいになると、“帰属意識”が強くなるため、いじめから抜け出せなくなってしまうケースが多いそう。

「どこかの集団に属していたい、その集団に属してないと不安…そういった気持ちから、いじられている、いじめられているとわかっていても、結果的にはその場所で耐えながらやっていかざるをえない状況になってしまうのです」

●社会全体が「いじめ」ができない雰囲気を作っていかないといけない

こういった子どもたちの状況、変化に教師や親といった大人たちがついていけていないのが問題だという。さらに、増田先生は、いじめへの大人の対応についてももっと改善が必要だと指摘する。

「現在のいじめへの対応は、加害者と被害者という当事者同士だけを指導して、その場で謝罪・和解させ表面的に解決したつもりになっているんです。つまり、そういった部分部分で解決していっても意味がないのです。クラス、学年、学校、社会レベルで追求し、“いじめはおかしい”という雰囲気、いじめができない雰囲気を作っていかなきゃいけない。また、いじめる子はなぜいじめるのか? その根本的な原因を掘り下げていかなければまた繰り返すだけなのです。つまり、一番問題としなければならないのは、見て見ぬふりをしている周りも同罪だということにみんなが気づかなければ、いじめはなくならないのです」

いじめの件数を明らかにして終わりではありません。その結果をもとに、なぜいじめるのか? なぜ、いじめがなくならないのか? 対策は? と、あらゆる角度からいじめ問題を追求し、社会全体で真剣に取り組んでいかなければならないのではないでしょうか。
(構成・文/横田裕美子)

お話を伺った人

増田修治
増田修治
白梅学園大学 子ども学部子ども学科教授
埼玉大学教育学部を卒業後、28年間の小学校教員 生活を経て、現職。専攻は、臨床教育学、学級経営論。 小学校教諭を対象とした研修の講師なども務め、さまざ まな学校問題に取り組んでいる。また、新聞、テレビ、雑 誌などメディアのコメントなども多数。「笑う子育て実例集」 (カンゼン)ほか、著書も多数。
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