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妊娠中の体重増加が気になる…!体重管理のコツを医師が解説

第6303回 ベビーカレンダー
この記事では医師監修のもと、妊娠中の体重管理についてお話します。妊娠中の母親はエネルギー不足になるため、糖分の代わりに脂肪を皮下脂肪としてためるようになります。体重管理をするために普段の食事・運動・睡眠を見直して、改善できるところから取り組みましょう。

今回は、妊娠中の体重増加と、なぜ体重管理が大切なのかについてお話しします。

妊娠中に体重が増える理由

通常、妊娠すると妊娠期間を通して体重は8~12㎏程度増えます。赤ちゃんの重さが3kg・胎盤500g・羊水500g・子宮1kg・乳房や体脂肪の増加2kg・全身の血液量や水分が2kg、合計8kgは自然に増加します。妊婦さんによっては、それ以上に体重が増えることもあり、妊娠中に自然にみられる体重増加量は合計8~12kg程度となります。


妊娠中は胎児の発育や成熟のために、体重が増えることはごく自然なことです。 妊娠中の母親の糖分は、優先的に赤ちゃんへ運ばれ、赤ちゃんの脳や体を発育・成熟させます。母親はエネルギー不足になるため、糖分の代わりに脂肪を皮下脂肪としてためるようになります。皮下脂肪は、子宮の保温やおなかの中の赤ちゃんを衝撃から守る役割があります。また、出産時や産後の授乳に必要なエネルギー源にもなります。また、妊娠中は赤ちゃんへ栄養や酸素をスムーズに運ぶために、妊娠前に比べると体内の血液量は40~50%、水分量は20~30%増加します。


最近は、国内の出産年齢にある女性の体格を全体的に見るとやせている傾向にあり、妊娠中の体重増加を嫌う妊婦さんや、妊娠前からの食生活を変化させることが難しい妊婦さんも多いために、妊娠中の体重増加が不十分な妊婦さんもいます。

妊娠中の体重増加量が妊婦さんの健康状態と赤ちゃんの発育状態に影響を及ぼすため、太りすぎや体重の増えすぎだけでなく、不十分な体重増加にも注意が必要です。

体重の増え方には個人差があり、自分の体型に対するイメージも人それぞれ異なります。体重管理や体型の変化について気になることがあれば、担当医や助産師へ相談しましょう。

妊娠中の体重増加量の目安

妊娠中の体重増加量は、妊娠前のBMI(Body Mass Index)によって区分します。出産するまでに望ましい体重増加量の目安は表のとおりです。妊娠期間を通した体重増加量だけでなく、妊娠中期(16週~)以降は、1週間当たりの増加量の目安も参考に体重管理をおこないます。 体重が増えても、脂肪なのか、水分なのか、胎児の成長によるものなのかは体重の数字だけでは判断できません。妊婦健診では、体重以外に血圧やむくみの状態、血液検査の結果などをふまえて、望ましい体重増加の範囲で経過しているか医師や助産師が判断します。


BMIの計算式=妊娠前の体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)


妊娠中の推奨体重増加量(日本肥満学会 肥満症診断基準2011)

※双胎妊娠の場合、日本人のデータを用いた値はありませんが、アメリカのガイドラインの推奨値を参考にします。(参考:産婦人科診療ガイドライン産科編2017)

妊娠前 BMI:18.5-24.9 →16.8-24.5kg 増加
妊娠前 BMI:25.0-29.9 →14.1-22.7kg 増加
妊娠前 BMI:30 以上 →11.4-19.1kg 増加

妊娠中の体重測定が大切な理由

妊婦健診では、妊婦さんの健康状態と赤ちゃんの発育状態を確認するために体重測定をします。医師や助産師、看護師が正しい判断をできるように、妊娠前の体重や妊婦健診当日の体重の数値は、誤魔化さないようにしましょう。

体重測定をすることで、妊婦さんは体重制限を強いられているように感じるかもしれませんが、下記の3つの理由から体重管理はとても大切です。


①妊婦さんの体格や体重増加量によって合併症が起こる可能性や危険性が高くなる

妊娠中の体重が増えすぎても、増えなさすぎても、母体と赤ちゃんの健康状態に影響します。妊婦さんの体格や体重増加量によって合併症の起こる可能性や危険性が高くなります。


妊娠前のBMIが18.5未満やせに属する場合は、胎児発育不全(FGR:fetal growth restriction)や低出生体重児(出生時の体重2500g未満)、切迫早産および早産の起こる可能性が高くなります。


妊娠前のBMIが25.0以上肥満に属する場合は、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、巨大児、児の神経管閉鎖障害が起こる可能性が高くなります。 妊娠中の体重増加が不十分な場合は、胎児発育不全(FGR:fetal growth restriction)や低出生体重児 (出生時の体重2500g未満)の可能性が高くなります。 妊娠中の体重増加が著しい場合は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を合併する確率が高くなります。また、陣痛が弱いために出産が長時間かかったり、出産時に出血多量となる可能性があります。


②妊娠中の栄養状態が赤ちゃんの健康状態に影響する

おなかの中にいる赤ちゃんが低栄養状態にさらされると、赤ちゃんの発育状態や将来的に生活習慣病を発症する確率が高くなることがわかっています。


③妊娠中の体重増加量は母乳の脂肪濃度に影響する

妊娠中の体重増加量は、母乳中の脂肪濃度に影響することがわかっています。母乳中の脂肪は、赤ちゃんの摂取カロリー(エネルギー)や必須脂肪酸(DHAやEPAなど)の供給源として重要です。産後に母乳で育てる予定であれば、妊娠中の体重増加を極端に制限することは好ましくありません。

体重管理をするコツ

体重管理をするために普段の食事・運動・睡眠を見直して、改善できるところから取り組みましょう。

栄養バランスの良い食事を心がける

妊娠中における栄養バランスの良い食事とは、母親と赤ちゃんの体づくりに必要な栄養素を過不足なく摂ることができる食事です。 栄養バランスを考える際に「妊産婦のための食事バランスガイド(作成:厚生労働省)」を参考にすることをおすすめします。


このガイドは主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の5つに分類して説明しています。妊婦が一日になにを、どのくらい食べたら良いかが示されていて、この5つのバランスを考えながら食事することで、結果的に妊娠中に必要な栄養素を過不足なく摂ることができます。

基本のイメージは、ごはん+一汁二菜の定食

栄養バランスを考えるときは、彩りが豊かで旬の食材を使った定食を思い浮かべてください。基本的には、ごはん+一汁二菜の定食形式を1日3回食べることが理想ですが、体調や生活スタイルによって難しいこともあるでしょう。毎日毎食、気にするのは大変ですので、1~2週間単位で食べた食材や量をざっと振り返り、必要な栄養素が摂れているかを確認しましょう。


量を食べすぎた場合は次回から食べる順番やタイミングを変えてみる、同じ食材ばかりに偏った場合は味付けや食材を変える、食べてないと思っていても体重が増える場合は主食を食べすぎていないか確認して次回から代わりに副菜を増やしてみるなど、ストレスにならない程度に工夫しましょう。


また、朝食を食べないと、体温が上がりきれず、基礎代謝量が減り、脂肪が燃焼しにくいです。妊娠中の体調管理のためにも、朝食は欠かさないように心がけましょう。 食事について、自分で考えるのは大変、改善してもなかなか思うようにいかないときは、ひとりで悩まず助産師や栄養士へ相談しましょう。

妊娠経過が順調であれば、適度な運動やストレッチを

妊娠中に適度な運動を行うことで、摂取カロリーを消費するだけでなく、心肺機能や筋力、体力の維持ができるため、妊娠中や産後の生活のために疲れにくい体づくりに役立ちます。妊娠前から運動習慣がない妊婦さんは、1日10分程度の散歩やストレッチでもかまいませんので、できる範囲から開始して継続しましょう。


妊娠12週以降で正常な妊娠経過であること、妊婦健診で医師、助産師から運動を禁止されていなければ、運動をしても良いです。妊娠中の運動については、医師や助産師、運動指導をするトレーナーから専門的な指導と助言を受けましょう。特に、高血圧、糖尿病、肥満などの妊娠中の合併症の予防と治療を目的とする運動については、主治医と相談して十分に注意して行いましょう。

早寝早起きをして、十分な睡眠をとるように心がける

腸の動きは、副交感神経が優位なときに最も活発になります。副交感神経は睡眠中に優位になるので、十分な睡眠をとることは栄養の吸収や排泄を促すのに役立ちます。妊娠中の睡眠について気になることがあれば、担当医や助産師へ相談しましょう。

まとめ

妊娠中の体重の変化には個人差があります。妊娠経過が順調で、おなかの中の赤ちゃんも順調に体重が増えていれば問題はありません。体重の変動や栄養の偏りが気になる、あるいは食欲のコントロールが難しい場合は、助産師や栄養士へ相談しましょう。


<参考>


監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生

順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。

著者:助産師 古谷真紀

一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー

大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。

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