ママの飲食が母乳に移行する程度

ママの飲食が母乳に移行する程度

第5回 楽しく知る食育
最近ではより食の安全への意識が求められています。家庭でも取り入れられる知っておきたい食のこと、についてお送りします。

母乳について

ママが食べたものが、母乳になるまでどのくらいの時間がかかるのか、どのくらいの量が移行するのか。授乳中の方に、知っておきたい母乳の事をお送りします。

大体の目安

ママが授乳中に食べたものが、どれくらいの量が、もしくはどのくらいの時間で、母乳に含まれるか、食品により異なりますが、大体以下が目安と言われています。

卵は?

卵:個人差や、一緒に食べる食品、調理状態によりますが、母乳に成分が出てくる時間は、大体2~3時間後から、8時間後くらいまでは続けて出てくると言われています。※1~4参照

乳は?

牛乳:ママの飲んだ牛乳200mlから乳成分のなかでアレルゲン成分になるβ-ラクトグロブリンが、母乳内に200pg~800ng/ml含まれるとの報告があります。このβ-ラクトグロブリンは、もともと母乳には含まれない成分で、ママの飲んだ牛乳の乳成分がそのまま移行していることが伺える一つの意見でもありますが、微量でもアレルギー症状のあるお子さんの場合は、ママにおいても乳成分の摂取制限の必要があるかもしれません。※5~7参照

カフェインは?

カフェイン:摂取後、母乳中には15~30分でピークとなり、1~2時間でその大半が母乳中に移行すると言われています(カフェインが母乳に移行する量は0.06~1.5%との報告があります)。ママの体内の半減期(体内から排出され、半分に減るまでの時間)は5時間程度ですが、新生児では半減期が98時間、生後3~5ヵ月には約14時間と排出に時間がかかり、ママが毎日カフェイン飲料を飲み続けると、蓄積された状態が続いてしまいます。※8参照

薬は?

薬の成分により大きく異なりますが、薬によっては母乳に移行する量が多く、移行する時間が短いもの、移行量が微量でも胎児、授乳育児の乳児への健康被害をもたらす可能性が高いものもあります。

授乳中に禁止されているのは、放射線医薬品、麻薬、抗がん剤、抗不整脈、抗精神病薬などです。※9参照

アスピリン(消炎鎮痛剤、心臓病治療)も禁忌になっています。

アスピリンを含む市販薬もいくつかあります。バファリンもそうですが、バファリンの発売元公式ページでも、

「授乳中の服用は避けてください。止むを得ず服用する場合は、授乳を避けることが望ましいです。
もしも服用してしまった場合は、12時間位あけて、さらに授乳したい時間の2~3時間前に溜まった母乳を一度搾り取り、その後溜まった母乳を与えてください。」※10参照
と記載がありますので、何か起こる際に心配されるのであれば、妊娠期、授乳期は服用を控えるのが望ましいかと思います。

尚、小児用バファリンの主成分はアスピリンではなく、アセトアミノフェンになり、乳幼児への体への影響に配慮しています。

主成分が同じでも、市販薬は病院での処方薬と異なる成分を含むものもあります。できるだけ病院で処方される薬を選択するのが望ましいです。
また、病院での処方時もですが、調剤薬局でも授乳時の服用について、再度確認されると尚良いかと思います。

アルコールは?

飲酒をすると、数分後から母乳に移行し、30~90分で母乳中のアルコールはピークに達します。

アルコールにより、胎児や乳児の学習能力への問題、記憶障害、低身長や低体重などの発育障害の可能性があると言われています。
3時間おきの授乳をしている間は、禁酒するのが望ましいところです。大量にママが飲酒した後の母乳で、乳児が急性アルコール中毒で死亡した例も海外ではあります。

どうしても少しだけ飲みたいという場合においては、できれば飲酒前に搾乳しておくのが望ましいです。

搾乳した母乳は冷蔵保存で3時間くらいを目安に、湯せんで人肌温度に戻すと良いかと思います。

喫煙は?

妊娠期に禁煙をしていた方も、授乳期に再開される方もいらっしゃるかもしれません。

喫煙し終わって30分後に母体内のニコチン濃度のピークとなり、3時間後にかなり低下します。

授乳中の喫煙は、母乳産生量を低下させると言われています。

また、母乳を介して赤ちゃんにもニコチン成分が移行しますので、一般的に言われているニコチンによる体への影響が考えられます。

アルコールもタバコも同様に、ママの母体内の代謝に比べ、乳幼児の代謝力はとても低いため、少量移行でも乳幼児の体へのインパクトは相当にあると思っていた方が良いかと思います。

タバコを吸ったママの母乳を飲んだ乳児は、吐きやすかったり、飲んでいる最中、のどがぜーぜー鳴っているという症状が出ることもある、と言われる方もいます。

手の届くところにタバコを置いておき、誤飲する可能性もあります。実際に、乳幼児の誤飲物の1位はタバコである、と調査結果では出ています。

乳幼児が誤飲した場合、タバコ1本分は致死量に相当します。そのまま飲み込んでしまって、胃の内容物に水やミルクが含まれている場合は、タバコの成分を吸収しやすくなります。

ママ自身の体のためにも、妊娠中、授乳中は禁煙が望ましいところです。

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