子どもが統合失調症かも…親はどうすべき?

第2回 もしものために知っておきたい、統合失調症について
もし子どもに統合失調症の疑いがあると感じたら、親がすべきことは何か。全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)事務局長の小幡恭弘氏に聞いた。

●精神病への抵抗や先入観を捨てよう

「統合失調症は、適切な投薬治療によって、通常の生活を送れるほどに回復することも珍しくありません。同時に、放置すると悪化の一途を辿りやすく、精神科医の受診・治療なしに症状が消えることは期待できない病気です」(小幡さん 以下同)。

日本では、根強い精神疾患や精神科通院への先入観や偏見から、家族に統合失調症の兆候がみられても、かたくなに認めず、治療が遅れてしまうケースが少なくないという。まずは抵抗感や偏見を捨て、子どものためにできる最善のことを考えられるようになろう。

●異変に気付いたら、まずは本人の話をしっかり聞く

さらに、この病気は本人の自覚症状がないか、気づきにくいため、周囲の人が異変に気づき、つじつまの合わない発言や幻聴を訴えるなど、気になる症状が見られた時点で早めに専門医の受診を勧めるのが望ましい。

「とはいっても『あなたはおかしいから病院に行きなさい』と押し付けたり、本人が受診に乗り気じゃないからといってだまして連れて行ったりすると、本人が家族に対して不信感を抱き、関係が悪化して治療が遠のいてしまうケースも少なくないのです」

そのような事態を避けるためにはどうすればよいか。

「すれ違う人がみんな自分の悪口をいってくる」「自分の考えていることが人にばれている」などと、子どもの言動に現実離れした奇妙さが見られるようになった場合、親は慌てずに本人の話を聞くことが大切だ。

「このとき、『そんなことあるわけない』と子どもの話を否定したり、逆に信じたふりをして内容を掘り下げたりするのはよくありません。『そんなことがあったんだね』と、淡々と流しつつ受け止めてください」

そして、ひと通り話を聞いた後に「あなたが心配で、私自身が不安になってきたので、一度病院で話をしてみない?」「私が病院で先生と話してみたいので、一緒にきてほしい」と、受診を勧めていく。

本人も、きちんと自分の話を受け止めてもらったと理解すれば、同意してくれる可能性が高くなる。

診断する医師

●専門家に間に入ってもらい、長く付き合う覚悟を

精神科の受診を勧めながら、保健所の保健師やケースワーカー、地域にある精神保健福祉センターに相談するのも得策だ。

「家族間だけでなんとかしようとするのではなく、その道の専門家に第三者として入ってもらうことで、治療がスムーズに進み、親御さんの接し方をアドバイスしてもらえることも多いです。ぜひ活用してください」

統合失調症は、快方に向かっても、再発の可能性がゼロにはならないため、治療においては「完治」ではなく、症状が落ち着き、病の兆候が見られなくなる「寛解(かんかい)」を目指す病気だ。

「糖尿病などと同じで、家族が『長く付き合っていくもの』という姿勢でいることが非常に重要です。『いつか治るもの』と過剰に期待し、治療が思ったようにいかなかったときに親御さんが悲観し『自分が悪かったから』などと自分を責めてしまうことも」

治療には、家族の理解と協力が必要不可欠な統合失調症。正しい知識を持ち、適切な対応を目指したい。
(ノオト+北東由宇)

お話をお聞きした人

小幡恭弘
小幡恭弘
公益社団法人 全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)
社会福祉士。日本福祉大学社会福祉学部卒業。精神障害者共同作業所、精密機器製造業、社会福祉法人施設長、部長など経て、平成28年より事務局長を務める。
社会福祉士。日本福祉大学社会福祉学部卒業。精神障害者共同作業所、精密機器製造業、社会福祉法人施設長、部長など経て、平成28年より事務局長を務める。