東芝からメモリ事業が分社化…そもそも分社化ってどういう意味?

第752回 今日のこれ注目!ママテナピックアップ
日本の大企業「東芝」。2015年に「粉飾決算」が発覚して以降、原子力事業が数千億円規模の大きな損失を出し、場合によっては債務超過に陥る可能性がでてきました。そこで東芝がとった策は「会社の分社化」。分社化とは一体どんなことをするのでしょうか。過去の例を交えて調べてみました。

東芝からメモリ事業が分社化…そもそも分社化ってどういう意味?

意外と行われている? 大企業の分社化

今は東芝がクローズアップされていますが、過去にも大企業の分社化の事例はあります。具体的には下記の通り。

・2015年8月1日に、日本ヒューレット・パッカードがエンタープライズ事業と、PC・プリンティング事業を分社化
・ソニーは2014年にテレビ事業を分社化、2016年に民生用カメラ事業、放送・業務用製品を中心としたソリューション事業、メディカル事業などを手掛ける組織を分社することを発表

など、名だたる企業が分社化を選択している様子。分社化することで一体どんなメリットが生まれるのでしょうか。

分社化のメリット・デメリット

ウェブサイト「会社分割ドットコム」では、分社化のメリットとデメリットについて、次のように語っています。

【分社化のメリット】
・会社の肥大化を防げる
・倒産リスクを分散・切り離せる
・成果や責任を明確にできる
・財務や税務の調整に使える
・事業承継で活用できる

難しい言葉がズラッと並んでいますが、わかりやすいもので言うと、「倒産リスクを分散・切り離せる」こと。
東芝の場合、もし仮に、東芝が倒産してしまっても、分社化した東芝メモリは生き残ることができる。また、稼ぎ頭である東芝メモリを切り離して、一部株式を売却することにより、東芝自体の巨額損失を穴埋めすることが可能に。そうすることで倒産のリスクを減らすことができます。
また、上述で述べたソニーは、売り上げの約7割は分社化した会社が占めているのだそう。分社化により、競争力を高めるという効果もあるようです。

【分社化のデメリット】
・管理の手間が増える
・人件費など、人にかかるお金が増える可能性がある
・法人の住民税は会社が増える分増えることになる

デメリットとしては、分社化するにあたって、相当な事務手続きが必要であり、人件費や管理の手間が増えること。今まではひとつの会社の管理でよかったものが、2つに分かれるのだから、それなりのコストがかかるのでしょう…。

4月1日に発足する、東芝の分社の名称は「東芝メモリ」。はたして、東芝メモリは東芝を窮地から救い出す立役者になるのか。明治8年から続く東芝。倒産の危機を乗り越えて、日本の技術力を世界に発信し続けて欲しいものです。
(文・山本健太郎/考務店)