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アスペルガー症候群の人が身近にいた場合なりやすいカサンドラ症候群
~アスペルガー症候群とカサンドラ症候群~

近年、世の中にもだいぶ認知されはじめた“アスペルガー症候群”。知的障害や言葉の発達の遅れがないため、大人になってから障害があることが判明するケースも少なくないと言われています。実は、そんなアスペルガー症候群の人の家族や身近な人に起こりやすい二次障害があるのをご存知ですか? そこで、『立石流 親も子どもも幸せになる発達障害の子の育て方』の著者・立石美津子さんにお話しを伺いました。

●アスペルガー症候群の人の身近な人に起こりやすい二次障害“カサンドラ症候群”

「アスペルガー症候群の人が身近にいる家族や友人、職場の人たちが、コミュニケーションをうまく築けないことによって、心身に不調が生じるという二次障害を“カサンドラ症候群”といいます」(立石さん 以下同)

2003年に、イギリスの心理学者マクシーン・アストンが名付けた病名だが、米国精神医学会の診断基準には含まれておらず、正式な病名としては認知されてないという。そのため、初めて聞いたという人も多いのでは? しかし、実際にカサンドラ症候群の症状を訴える人は増えているそうで、日常生活もままならず、医療機関を受診するほどまでの高いストレス状態に陥ってしまうこともあるそう。では、その症状と原因とは?

「症状は精神的、肉体的苦痛がおもなものになります。自立神経失調症、偏頭痛、体重の変動、自己喪失感、パニック障害、無気力状態、抑うつ…など、さまざまな症状が生じます」
カサンドラ症候群
 

●アスペルガー症候群の特性について知ることが、相互理解の第一歩

身近な人がこのような状況に陥ってしまう原因には、アスペルガー症候群の“特性”が引き金になっているという。

「原因は大きく分けてふたつあります。ひとつは、アスペルガー症候群の人とのコミュニケーションがうまくいかず、理解してもらえないというストレスです。アスペルガー症候群の人の特性として、曖昧な表現が苦手だったり、場に不適切な表現を使ってしまう“コミュニケーションの問題”。相手の気持ちを理解することが苦手なため、相手を知らぬ間に傷つけてしまったり、自己中心的な言動をしてしまう“対人関係の問題”。興味を持ったことに過剰なほど熱中したり、法則や規則が崩れることを極端に嫌うなど、“限定された物事への強いこだわり”があります。その一方で、特殊な才能を持つ人も少なくありません」

もうひとつの原因は、アスペルガー症候群の人との間に生じている問題を周囲の人に話しても、理解してもらえないという孤独感だという。“カサンドラ症候群”の語源は、ギリシャ神話に登場する“人々から信じてもらえない預言者”・カサンドラ(トロイの女王)からきていうというのも、この原因に由来していると言えよう。

「アスペルガー症候群は、一見わかりにくいため、不平不満を口にしても、多くの人から信じてもらえなかったり、理解してもらえないという心の悩みが生じます。また、特殊な才能を持っているパートナーだったりすると、周りからうらやましがられる一方で、現実は…と、そのギャップに苦しむケースもあるのです」

カサンドラ症候群については、パートナーなど家族に限ったことではなく、友人や職場の人がアスペルガー症候群という場合にも発症する可能性がある。だからこそ、心得ておきたいこととは?

「まず大事なのは、アスペルガー症候群の特性について知ることです。そのうえで、互いの立場を理解し合うことです。例えば、何か指示するときには“あれ、それ、これ”や“適当に”とか“だいたい”などの曖昧な表現でなく具体的に指示する工夫をするのも効果的です。つまり、“アスペルガー症候群の人は察することが苦手”ということを念頭に置き、空気を読むことを求めすぎない。求めても、相手は努力してもできないと思うことで、こちらも気持ちが楽になります。また、発達障害専門のプログラムを受けたり、病院を受診して、当人がアスペルガー症候群であることを理解し、自身で受け入れることもお互いの理解につながります」

まずは、多くの人が“アスペルガー症候群”について知り、その一方に“カサンドラ症候群”という二次障害があることを知る。それこそが、相互理解の第一歩なのではないでしょうか。
(構成・文/横田裕美子)

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