子どもを悩ます“モンスター教師”との効果的な戦い方とは?

第2回 モンスターは親だけじゃない、「モンスター教師」に要注意!
過酷な労働環境やモンスターペアレンツなどの存在によって、大きなストレスを抱えているという現代の教師たち。そのストレスを生徒たちにぶつけることで発散する“モンスター教師”が増えているという。

とはいえ、体罰は大きな問題になる昨今。教師たちは問題にならないよう、例えば悪いことをした生徒をあらゆる方法でさらし者にする “グレー”な指導方法を取ることがあるのだとか。

もしそんなさらし者のターゲットが、自分の子どもだったら親はどうすればいいのだろうか?

●感情的にクレームを入れるのは賢いやり方ではない

子どもが親に「先生に机と椅子を廊下に出され、一日中立って授業を受けさせられた」などと訴えたら、理由はどうあれ親の立場だと「ちょっとやりすぎじゃない?」と思うだろう。場合によっては「これはやりすぎだから、先生に文句を言う!」という人もいるかもしれない。

しかし「すぐに学校にクレームを入れるのは控えるべき」と断言するのは、実際に教育現場で複数の問題教師について取材を重ねた経験を持つ、教育ジャーナリストのおおたとしまささん。

「子どもの言っていることが事実だとしても、確証がない段階で感情をぶつけてしまえば、クレーマーということになりかねません。一度こちらに落ち度があると思われると不利になりますし、やはりできるだけ穏便な方法で考えるべきです。安易に対立構造をつくるのは、賢いやり方ではありません」

学校の教師

●まずは情報収集で事実確認。その後に穏便な方法で動く

具体的行動を起こす前にまず親がやるべきことは、子どもの言うことに確証を持つことだという。

「まずは子どもの話をよく聞いて情報収集してください。できれば子どもだけではなく友達やママ友などにも話を聞いてみるといいと思います」(おおたさん、以下同)

子どもや友達などからよく話をきいた上で『やはりうちの子の教師に問題がある』と判断できたとしよう。そうなった時に初めて、親が“穏便な方法”で具体的行動を起こすタイミングとなる。

「『先日、このような状況があったと子どもから聞いたのですが、差し支えなければどのような状況だったのか教えていただけますか?』と疑問型にしてぶつけるのは有効な手段です。ただ追及するだけではなく、ある程度相手にも逃げ道をつくってあげるといいでしょう」

●大人の対応でもらちが明かなければ、強硬手段も視野に

目指すのは、教師が非を認めて謝罪することではなく、事実の共有。それにより「この子にはもう下手なことができない」という意識を持ってもらうことが重要なのだという。

「確かに先生が非を認めて謝罪してくれれば、親としては達成感が得られるでしょう。でも残念ながら、いくら親が行動を起こしても教師の価値観は変わりません。根本解決のためには教師の労働環境を変えることから始めなくてはいけないし、もっと掘り下げるとそれは日本の社会問題にもつながります。だから親としては教師と戦うのではなく“いかにうまくやり過ごすか”を考えるのが賢い選択なのです」

ただし、事実の共有ができても問題が一向に解決せずに子どもが苦しむケースの場合、もう少し具体的に動いてもいいそうだ。

「大人な対応でも子どもに対する対応が変わらないようなら、校長などの管理職に話しましょう。生徒の親からの訴えがあれば、管理者も“指導”の形で改善指示が出せます。それでもダメなら同じクラスの保護者と連携を取りながら、持ち回りで授業を見学する形で見張る方法も有効です。ただこの方法は子どもたちに余計な動揺を与えてしまいますし、本当に最終手段だと思ってください」

モンスター教師の問題は、ただ感情にまかせて怒っても解決しない。親にも大人の対応が求められるのだ。
(高山惠+ノオト)

お話をお聞きした人

おおたとしまさ
おおたとしまさ
雑誌編集者として育児誌、教育誌、妊婦誌、旅行誌などのデスクを歴任。私立小学校での教員経験も持つ。現在は教育ジャーナリストとして育児や教育に関する書籍やコラム執筆・講演活動などを行っている。近著に『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』(祥伝社新書)『習い事狂騒曲 正解のない時代の「習活」の心得』(ポプラ新書)など。
雑誌編集者として育児誌、教育誌、妊婦誌、旅行誌などのデスクを歴任。私立小学校での教員経験も持つ。現在は教育ジャーナリストとして育児や教育に関する書籍やコラム執筆・講演活動などを行っている。近著に『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』(祥伝社新書)『習い事狂騒曲 正解のない時代の「習活」の心得』(ポプラ新書)など。