プロはこう撮っている! 自分らしい春写真を撮る被写体の探し方

第12回 写真家の川野恭子とむらいさちのワンポイントレッスン
カメラを手にして出かけてみたけど、「何を撮っていいかわからない」という人も多いようです。

そこで今回は、写真家のきょん♪さんと、むらいさちさんに、かわいい春写真をどんな場所で撮影しているか教えてもらいました。みなさんが写真を撮るときのヒントにしてみてください。

●3つのポイントを意識して探してみよう

何を撮りたいかわからない人方は、これからご紹介する(1)色やカタチ、(2) 光の向き、(3)近くにあるものを意識して、周りを観察してみてください。きっと、あなたの「撮ってみたい!」アンテナに引っかかる被写体が見つかるはずです。

【ポイント1 かわいい色やカタチを見つける】

まずは、自分の気に入ったポイントを探します。

撮るもの(被写体)に魅力がなければ、かわいい写真になりません。
写真に写る色は、カラフルで鮮やかな被写体を選ぶと、自然と写真もかわいく写ります。また、色の組み合わせも大切。赤と緑、青と黄色、ピンクと水色のように、反対の色の組み合わせは、色の違いがはっきりするのでポップな印象を与えます。画面を同系色でまとめると、落ちついた印象やまとまり感を与えます。

かわいいカタチのモチーフそのものを撮るのもおすすめです。こちらの写真は、リンゴの絵が描かれた絵馬が「かわいい!」と思ったので、リンゴの絵馬が目立つように撮影しました。リンゴの赤と反対色の緑を組み合わせることで、リンゴの赤がより強調され目立ちます。さらに日の丸構図(被写体を真ん中に配置すること)を使い背景をぼかすことで、いちばん見せたい絵馬を浮かび上がらせることができました。



かわいい鳥(メジロ)を撮影しました。ピンク色の桜を背景に、黄緑色のメジロをポツンと小さく配置。色とカタチが強調され、かわいらしい印象でまとまりました。

友だちに協力してもらい、ミモザを手に取ってもらったところをパチリ。背景の青空に黄色いミモザが映えます。さらに、かわいい女性の手が入ることでストーリーを感じさせる写真になりました。

【ポイント2 きれいな光を見つける】

写真家は光を探します。きれいだとは感じた場面に出会ったら、その場所に光が当たっているかどうかを確認してみましょう。

光の向きでこんなに見え方が変わります。

【順光(撮りたいものに対して正面から当たる光)】
色がきれいに出るので風景におすすめ。ただし、影が後ろにできるので立体感が出にくくなります。

【斜光(斜めから当たる光)】
適度な影ができるので、立体感が出しやすくなります。色もきれいに出るので、オートで撮りたい人にはおすすめの光です。

【逆光(後ろから当たる光)】
被写体が影になり真っ黒に写るのでシルエットで表現できます。明るさを調整(プラス補正)して撮ると、ふんわりかわいい写真になります。

コロコロと丸いフォルムの金柑は、見ているだけでほっこりします。小さな黄色の実は、水玉模様のように写るので、写真にすると、よりかわいく見えます。後ろの窓に落ちた金柑の影の形もきれいですね。

夕方の光が横から当たっていると、光が当たっている箇所はキラキラ光り、影が伸びフォトジェニックな印象を与えます。写真を撮るのにオススメの光ですよ。

普通の人なら通り過ぎてしまいそうな路地脇ですが、写真家はきれいな光を見つけて、ステキな場所を写真で切り取ります。

海のキラキラ輝いている部分を、わざとピンボケで撮影して撮影した1枚。光をぼかして撮ると、抽象的なステキ写真になります。

夕方の空を背景にシルエットを撮るととてもドラマチックです。友だちにポーズを取ってもらい、記録写真とは違う思い出に残る1枚にしました。

【ポイント3 無理しない位置でステキなものを探す】

花などを撮影するとき、自分の手の届く距離にあるものを撮影します。背の届かない場所や遠くのものを無理に撮ろうとすると、余計なものが入りやすくなり、結果、とりとめのない写真になってしまいます。無理せず、自分の近くにある「かわいい」「ステキ」な場所を探して、近寄って撮ってみましょう。

桜を見ると桜の木全体を撮りたくなりますが、黒い枝を撮りたくなかったので花の一部分をクローズアップして、枝が見えないアングルから撮影。丸い桜の房がかわいい写真になりました。

ちょうど顔のあたりの高さで、手に届くくらいすぐ近くにある桜の花を撮っています。

写真家の2人は、自分の目線の近くにあるかわいい被写体を探します。撮りたいものを見つけたら、下から上、寄ったり離れたりと、いろいろな角度から、いちばんかわいく撮れるベストポジションを探して撮っています。

背景を大きくぼかすことで、ピントの合っている白いいちごの花が浮き上がって見えます。いちごの花を右端に寄せ、余白をたくさん作ることでおしゃれな印象を与えることができます。また、背景にぼかしたいちごを配置することで、白い花がいちごの花だとわかりますね。

いちごの花は低い位置にあるのでしゃがんで、背景に赤いいちごや葉っぱの緑が来る位置を探して撮影しました。

●ワンポイントアドバイス

きょん♪「ワタシはピンクや赤などかわいい色を意識して探すことが多いです。かわいい色は主役にするだけでなく、ぼかして脇役の背景にすることもあります。背景をぼかすときは、奥行きを感じる場所を探すといいですよ」

むらいさち「光は時間で変化し、同じ場所で撮影しても、朝と昼、夕方で印象が変わります。ときには朝から晩まで、一日中カメラを持って出かけてみると、光を見つける練習になりますよ」

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川野恭子(きょん♪)
川野恭子(きょん♪)
写真家。神奈川県生まれ。Steidl Book Award Japan ノミネート。システムエンジニアの職を経て、「空をより青く撮りたい」という思いからカメラを手にする。キッチンから野の花まで、日常の何気ない景色を独特の色と光で切りとる作風で女性からの人気が高まる。執筆や講師、トークショー、広告撮影のほか、フォトツアーなど、多岐に渡り活動。横浜にて写真教室「Atelier photo*chocot 」を主宰。著書に『はじめてのデジタル一眼撮り方超入門』(成美堂出版)、『写真家きょん♪のふわっとかわいい「ゆるかわ写真」の撮り方ノート』(宝島社)ほか多数。
写真家。神奈川県生まれ。Steidl Book Award Japan ノミネート。システムエンジニアの職を経て、「空をより青く撮りたい」という思いからカメラを手にする。キッチンから野の花まで、日常の何気ない景色を独特の色と光で切りとる作風で女性からの人気が高まる。執筆や講師、トークショー、広告撮影のほか、フォトツアーなど、多岐に渡り活動。横浜にて写真教室「Atelier photo*chocot 」を主宰。著書に『はじめてのデジタル一眼撮り方超入門』(成美堂出版)、『写真家きょん♪のふわっとかわいい「ゆるかわ写真」の撮り方ノート』(宝島社)ほか多数。
むらいさち
むらいさち
沖縄でのダイビングインストラクターを経て写真の世界へ。広告写真家の助手後、ダイビングやリゾート雑誌を出版している出版社のカメラマンとして、日本をはじめ世界の海へ訪れる。その後独立。現在は広告や雑誌の撮影を中心に活動。海だけに限らず世界のありとあらゆる場所で「しあわせのとき」をテーマに撮影を続けており、一年の多くを取材先で過ごしている。著書は写真集『きせきのしま』(小学館)、『LinoLIno』『ALOHEART』(LifeDesignBooks)、『FantaSea』(BUNKADO)。共著『よるのこどものあかるいゆめ』(作: 谷川 俊太郎、写真: むらいさち、 マイクロマガジン社)、『光と色の写真の教科書』(技術評論社)、トラベルマガジン『LUKETH』など多数。
沖縄でのダイビングインストラクターを経て写真の世界へ。広告写真家の助手後、ダイビングやリゾート雑誌を出版している出版社のカメラマンとして、日本をはじめ世界の海へ訪れる。その後独立。現在は広告や雑誌の撮影を中心に活動。海だけに限らず世界のありとあらゆる場所で「しあわせのとき」をテーマに撮影を続けており、一年の多くを取材先で過ごしている。著書は写真集『きせきのしま』(小学館)、『LinoLIno』『ALOHEART』(LifeDesignBooks)、『FantaSea』(BUNKADO)。共著『よるのこどものあかるいゆめ』(作: 谷川 俊太郎、写真: むらいさち、 マイクロマガジン社)、『光と色の写真の教科書』(技術評論社)、トラベルマガジン『LUKETH』など多数。

監修

笠原竜太
写真家むらいさち 川野恭子のフォトライフマガジン『TORIPPLE(とりっぷる)』の創刊に携わる。自由に作品を発表できる場が欲しい…そんなふたりの写真家の想いから、フォトライフマガジン『TORIPPLE』は生まれました。 『TORIPPLE』のコンセプトは、写真家むらいさち と、川野恭子(きょん♪)の「今一番見せたい作品を見せる」というもの。 旅と日常をテーマにしながら、むらいさち、川野恭子の視点で自由気ままに発表しています。
写真家むらいさち 川野恭子のフォトライフマガジン『TORIPPLE(とりっぷる)』の創刊に携わる。自由に作品を発表できる場が欲しい…そんなふたりの写真家の想いから、フォトライフマガジン『TORIPPLE』は生まれました。 『TORIPPLE』のコンセプトは、写真家むらいさち と、川野恭子(きょん♪)の「今一番見せたい作品を見せる」というもの。 旅と日常をテーマにしながら、むらいさち、川野恭子の視点で自由気ままに発表しています。