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ママと子どもを襲う【鳥アレルギー性肺炎】

【鳥アレルギー性肺炎】
公園に集まるハトをよちよち歩きで追いかける幼子。ハトは散り散りの方向へ逃げながら、バサバサッと飛び立ってゆくーー。心あたたまる光景ですが、鳥が原因で起こる鳥アレルギー性の肺炎をご存じでしょうか。抗原との接触時間も関係するアレルギー性の病気だけに、高齢者の患者が多いのですが、海外では子どもの発症例も報告されています。
      

●掃除をしていたママが突然亡くなった

世界3位の国際港をもつオランダの国際都市、ロッテルダム。そこに住む、ごく平凡な一家を悲劇が襲いました。

ある日突然、34歳のママが原因不明の肺炎で亡くなったのです。健康だった彼女は突然、体調不良に悩まされるようになります。頭痛と疲労感、ひどいせきと息切れといった症状に襲われ入院しましたが、家族のもとに戻ることはありませんでした。残された8歳から14歳の5人の子どもたちは、まもなく同じ症状で苦しむようになります。施設の整った病院で、鳥によるアレルギー性の肺炎だということがわかりました。

「鳥が原因の肺炎」。そんな病気は、はじめて聞いたというママがほとんどだと思います。池袋大谷クリニックの大谷義夫院長は、長年勤務していた東京医科歯科大学病院の呼吸器科で、この鳥によるアレルギー性の肺炎を発症した患者さんを多く診察してきました。大谷医師がこう説明します。

「ハトやインコといった鳥の羽根やふんに含まれる、タンパク質(抗原)を吸い込むことで、アレルギー反応を起こす肺炎です。正確な診断名を、『鳥関連過敏性肺炎』と呼びます」 

私たちが知っている肺炎は、細菌やウイルスが肺で増殖して炎症を起こす感染症です。しかし、この肺炎はアレルギー性であることが特徴。花粉症と同じように鳥が持つ抗原を繰り返し吸入することで、肺のなかでアレルギー性の炎症が起こります。つまり、肺炎(肺の炎症)なのです。 

オランダに住むママと5人の子どもは、鳥も飼っていません。どこで鳥と接触していたのでしょう。実は、自宅の裏にたくさんのハトが集まる場所があり、放っておくと家の周りはフンと羽根だらけに…。ママと子どもたちは毎日、ハトの羽根やフン掃除をしている間に、アレルギーの原因となる抗原を吸い込んでしまったのです。掃除をしていなかったパパは無事でした。

ママと子どもを襲う【鳥アレルギー性肺炎】

●鳥の羽とフンにあるアレルギーの抗原

大谷医師によれば、鳥のおもな抗原は2種類あります。

1)鳥の羽根に付着する抗原

ひとつは、タンパク質を含む「ブルーム」と呼ばれる抗原で、羽根の表面についたフケのようなものです。

2)鳥のフンに混じる抗原 

2つめは、フンに混じる「免疫グロブリン」という血清タンパク質です。こちらのほうが、より悪さをします。

鳥による過敏性肺炎は、花粉症と同じで、抗原に触れても発症する人としない人がいます。

しかし自宅でインコなど鳥を飼っていたり、オランダの一家のように、自宅近くにハトが集まる環境にあるママたちは、こうした病気が存在することを覚えておくといいですね。大谷医師が続けます。 

「ふつう、せきが2週間続く『かぜ』はありません。そうした場合は、何らかの抗原に反応して炎症が起こる、過敏性肺炎の可能性があります。呼吸器科の専門医に相談しましょう」

日本では鳥アレルギー性肺炎の知識を持つ専門医が少ないこともあり、この病気の実態はまだよくわかっていません。日本で確認されている鳥アレルギー性肺炎の患者さんは、中高年がほとんどです。しかし、海外では10歳前後の子どもへの発症事例が、いくつも報告されています。子どもが遊ぶ公園や自宅近くにハトが集まる環境であれば、フンや羽根に触れないよう注意したほうがよさそうです。

(取材・文/永井貴子 イラスト/南後卓矢)

お話を聞いた人

大谷 義夫
大谷 義夫
池袋大谷クリニック
池袋大谷クリニック院長。群馬大学医学部卒業後、東京医科歯科大学呼吸器内科局長、同大学睡眠制御学講座准教授、米国ミシガン大学留学を経て現職。 日本呼吸器学会呼吸器専門医、指導医。日本アレルギー学会専門医、指導医。 新聞やテレビなどメディア出演、TV番組の監修も多数。呼吸器科のスペシャリストとして知られる。
池袋大谷クリニック院長。群馬大学医学部卒業後、東京医科歯科大学呼吸器内科局長、同大学睡眠制御学講座准教授、米国ミシガン大学留学を経て現職。 日本呼吸器学会呼吸器専門医、指導医。日本アレルギー学会専門医、指導医。 新聞やテレビなどメディア出演、TV番組の監修も多数。呼吸器科のスペシャリストとして知られる。

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